ソ・ギョンドク教授、W杯を前に「旭日旗」応援へ警鐘 日本世論に波紋広がる

北中米で開催される次回サッカーW杯を前に、韓国の徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授が日本国内で高まる「旭日旗制限への反発」や「神風応援」への警告を発し、日韓双方で議論を呼んでいます。ここでは、最近の報道内容を整理しながら、問題の背景と今後の課題をわかりやすく解説します。

「旭日旗制限にFIFAへ抗議を」高まる日本世論

報道によると、日本ではサッカー国際大会における旭日旗の掲出制限をめぐり、「FIFA(国際サッカー連盟)に抗議すべきだ」という声が一部で高まっています。スタジアムで旭日旗の使用が制限されたり、懸念が示されたりするケースが出てきたことから、「日本の伝統的なデザインや自衛隊旗がなぜ問題視されるのか」と疑問を抱く人も少なくありません。

こうした世論の動きに対して、韓国側から強い問題提起を行っている人物が、韓国の誠信女子大学校教授であり、長年にわたり歴史広報・対外広報活動を行ってきた徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授です。

ソ・ギョンドク教授「歴史を正しく習っていない」発言の意味

中央日報日本語版の報道によれば、徐教授は、日本国内で「旭日旗制限はおかしい」「FIFAに抗議しよう」といった声が出ていることについて、次のようなおおよその趣旨の指摘をしています。

  • 旭日旗に対する国際的な批判や懸念は、単なる「感情論」ではなく、歴史的背景に根ざしていること
  • にもかかわらず、日本国内の一部では、その歴史的意味を十分に学ばず、「問題ない」という前提で議論していること
  • そのため、「歴史を正しく習っていない」と言わざるを得ない状況が見られること

徐教授の発言は、決して日本人全体を一括りに批判するものではなく、「歴史教育や認識のギャップ」に焦点を当てたものと受け止められています。ただし、「歴史を正しく習っていない」という表現の強さから、日本側では反発や違和感の声も出ており、日韓の認識のずれが改めて浮き彫りになりました。

街頭を覆う旭日旗 日本サポーターの応援スタイル

別の報道では、サッカー日本代表戦の街頭応援で、旭日旗を掲げる日本のサポーターの姿が写真付きで紹介されています。ユニフォームや日本国旗とともに、旭日旗デザインの旗やタオル、衣装を身につけ、試合を盛り上げる姿は、国内では「熱狂的な応援の象徴」として捉えられることが多いものです。

日本のサポーターの多くにとって、旭日模様は

  • 「昔からある伝統的な意匠」
  • 「めでたい・おめでたいイメージ」
  • 「太陽が昇る日本らしさを表すデザイン」

といった認識で使われており、戦争や軍国主義を意図して掲げているわけではない、という声が多数派です。そのため、「なぜ海外でここまで問題視されるのか分からない」と戸惑う人も少なくありません。

一方で、韓国や一部の東アジア諸国では、旭日旗は旧日本軍の象徴として、植民地支配や戦争被害の記憶と結び付けられており、サッカー会場などの国際的な場で掲げられることに強い反発があります。この認識のギャップこそが、今回の議論の根本にある問題と言えます。

「神風応援を阻止すべき」ソ・ギョンドク教授のW杯前の警告

中央日報日本語版の別の記事では、徐教授が「神風応援を阻止すべき」と警告したことも伝えられています。「神風」は第二次世界大戦末期の特攻隊を連想させる言葉であり、戦争と深く結びついた歴史的な用語です。

徐教授は、次回の北中米W杯を前に、

  • 旭日旗や「神風」など、戦争と結びついた象徴やスローガンを用いた応援が国際大会で行われれば、
  • 被害国や国際社会から強い批判を受ける可能性があること
  • スポーツの場が、歴史問題をめぐる対立やヘイト表現の舞台になってはならないこと

といった趣旨の警鐘を鳴らしています。特にW杯は世界中の視線が集まるイベントであり、スタジアム内外の応援がSNSなどを通じて瞬時に拡散します。ひとたび問題行為と見なされれば、選手やサポーターだけでなく、開催国や関係団体にも大きなイメージダウンをもたらす可能性があります。

なぜ旭日旗が国際的な論争を呼ぶのか

旭日旗をめぐる議論を理解するには、その歴史的背景を避けて通ることはできません。ここでは、ポイントをかんたんに整理します。

  • 軍旗としての歴史
    旭日旗は、明治期以降、旧日本軍の軍旗として広く使われてきました。このため、アジア・太平洋戦争の経験を持つ国や地域では、「日本の軍国主義」「侵略戦争」を象徴する旗として記憶されている側面があります。
  • 現在も使われるデザイン
    一方で、現在も海上自衛隊の自衛艦旗に使われているほか、企業や商品、応援グッズなどで「デザイン」として用いられる例も多く、日本国内では「伝統的な模様」として受け止められている面があります。
  • ナチス・ハーケンクロイツとの比較
    韓国などでは、旭日旗をナチスのハーケンクロイツになぞらえ、「国際社会でも禁止すべきだ」と主張する声が上がっています。一方、日本側では「両者は歴史的・法的な位置付けが異なる」として同列視に反発する意見も根強く、ここにも大きな認識の隔たりがあります。

こうした背景の違いを理解せずに、国内の感覚だけで「なぜダメなのか分からない」と主張すると、国際社会からは「歴史への無理解」と受け止められるおそれもあります。徐教授の「歴史を正しく習っていない」というコメントは、まさにこの点を指摘したものと考えられます。

スポーツと政治・歴史問題 どこまで切り離せるのか

多くの人が「スポーツに政治や歴史を持ち込むべきではない」と感じています。一方で、実際の国際大会では、

  • 応援旗や横断幕に歴史・政治的なメッセージが含まれる
  • 過去の戦争や民族対立を想起させる表現が問題視される
  • FIFAやIOCなどが差別・ヘイト表現への規制を強化している

といった現実があります。特に近年は、人種差別・ヘイトスピーチ・歴史修正主義などへの国際的な感度が高まっており、スポーツ団体も対応を迫られています。

旭日旗や「神風」といった表現が、歴史的な文脈や他国の人々の記憶と結び付いて見られる以上、「国内では問題ないから」「昔から使っているから」という理由だけで押し通すのは難しくなりつつあります。逆に、過剰な政治的攻撃や一方的な糾弾も、スポーツの場を緊張させかねません。

日韓の認識ギャップをどう埋めるか

今回の一連の報道は、日韓での歴史認識の違いが、今なおスポーツや文化交流の場で影響を及ぼしていることを改めて示しました。お互いの立場を理解するためには、次のような視点が重要になりそうです。

  • 相手の「痛み」を知ろうとする姿勢
    旭日旗を見て何を思い出すのか、日本人と韓国人ではイメージが大きく異なります。まずは、その違いが生まれた歴史的な経緯を知ろうとすることが、対話の出発点になります。
  • 自国中心の認識から一歩外に出る
    「自分たちの国ではこうだ」という前提だけでは、国際的な場で誤解や摩擦が生まれやすくなります。他国の教科書やメディア、研究などにも目を向け、多角的に歴史を学ぶことが求められます。
  • スポーツの場を守るための工夫
    選手やサポーターが気持ちよく応援できる環境を守るために、過去の戦争や差別を想起させる表現を避ける、事前にガイドラインを共有するなど、現実的なルール作りも必要です。

徐教授の発言に賛否はあるものの、「国際大会で日本がどのように見られているか」「どんな応援が歓迎され、どんな表現が問題視されうるか」を真剣に考えるきっかけとして受け止めることもできるでしょう。

これからのW杯応援に求められる視点

北中米W杯では、日本代表の活躍とともに、サポーターによる応援も世界中から注目されます。応援スタイルはそれぞれの国の文化や個性を表す大切な要素ですが、その一方で、世界の人々が共有する歴史への配慮尊重も求められます。

旭日旗や「神風」といった表現をめぐる議論は、単に「使うべきか、やめるべきか」という二択だけでは語り尽くせません。大切なのは、

  • なぜ相手がそれを問題だと感じるのか
  • 自分たちはそれをどう認識してきたのか
  • スポーツの場をより良いものにするために、どのような配慮や工夫ができるのか

といった問いを、一人ひとりが考えることです。

徐坰徳教授の発言は、ときに刺激的に聞こえるかもしれませんが、そこには「歴史への理解を深めてほしい」「スポーツの場が対立ではなく共感の場になってほしい」という問題提起が込められているとも受け取れます。日本側も感情的な反発に終わらせず、冷静に事実と向き合い、国際社会の中でどう振る舞うべきかを考えることが求められています。

W杯本番までの時間は、単なる応援グッズの準備だけでなく、「歴史」と「スポーツの価値」について、それぞれが学び直し、考えを深めるための貴重な期間とも言えるのかもしれません。

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