『ファイナルファンタジーVII リメイク』完結編ディレクター、「ストリーミング時代のRPG」に危機感──プレイヤー主体の体験はどう変わるのか
「ファイナルファンタジーVII リメイク」シリーズ完結編となる『FINAL FANTASY VII REVELATION(ファイナルファンタジーVII リベレーション)』のディレクターが、昨今のRPGとゲーム配信文化について語った発言が大きな話題になっています。
ディレクターはインタビューの中で、「現代のRPGは、より強く“プレイヤーの主体性(エージェンシー)”を求められている」としたうえで、ストリーミング文化の発展がRPGジャンルにとって「ちょっとした危機」になりつつあると指摘しました。視聴者が配信を「見るだけ」で満足してしまい、自らゲームをプレイする動機が弱まるのではないか、という問題意識です。
『FFVII リメイク』三部作の完結編「REVELATION」とは
まず前提として、今回の発言が出てきた背景にある作品について整理しておきましょう。
1997年に初代PlayStation向けに発売された『ファイナルファンタジーVII』は、日本のみならず世界的に高い評価を受けたRPGであり、そのフルリメイクプロジェクトが「ファイナルファンタジーVII リメイク」三部作です。第一作『FINAL FANTASY VII REMAKE』は2020年にPS4向けに発売され、原作のミッドガル脱出までを大きく再構成した内容となりました。
その後、2024年には第2作となる『FINAL FANTASY VII REBIRTH(リバース)』がPS5向けに発売され、ミッドガルを出たクラウドたちの旅がオープンなフィールドで描かれています。スクウェア・エニックスは、リメイクプロジェクトを全3部作として展開する方針を以前から明言しており、その完結編が『FINAL FANTASY VII REVELATION』です。
『リベレーション』はファンから長らく「FF7R3」という仮称で呼ばれてきましたが、正式タイトルが発表され、2027年春に発売予定の完結編として大きな注目を集めています。対応プラットフォームとしてはPS5を中心に、次世代機やPCなどでのマルチプラットフォーム展開が予定されています。
ディレクターが語る「ストリーミング時代の危機」とは
今回取り上げられているのは、この『FFVII リベレーション』のディレクターによる、「RPGとゲーム配信(ストリーミング)の関係」に関する発言です。
ディレクターは、近年のRPGを取り巻く環境について次のような趣旨のことを述べています。
- ゲーム実況やプレイ配信が当たり前になり、多くのファンが発売と同時にストリーマーの配信を見るようになった
- その結果、「自分ではプレイせず、配信を見るだけで満足する」という遊び方も一般的になってきた
- とくにストーリー重視のRPGでは、物語の大部分を配信で一気に把握できてしまう
- 物語の結末まで見てしまったプレイヤーが「もう自分で買わなくていい」と判断してしまう可能性がある
- それが積み重なると、RPGというジャンル自体のビジネス的な基盤にとって「小さくない危機」になりうる
このような問題意識から、ディレクターは「だからこそ、現代のRPGにはより大きなプレイヤーの主体性、つまり“自分の物語”を作っていく要素が求められている」と語りました。
「見る」だけでは味わえない体験をどう作るか
ディレクターが強調しているのは、「配信で見ただけでは体験しきれないゲームデザイン」の必要性です。具体的には、次のような方向性が考えられます。
- プレイヤーごとに展開が変わる選択と分岐
ストーリーの重要な局面で複数の選択肢があり、その結果によってイベントや結末が変化するような構造にすれば、「自分ならどうするか」を確かめるために実際にプレイしたくなります。 - 戦略性の高いバトルや成長システム
配信で見ていると、どんな強さの敵もスムーズに倒しているように見えますが、実際にはパーティ編成やマテリア構成、アビリティの組み合わせなど、プレイヤーごとに大きく個性が出ます。 - 探索・寄り道・サイドクエストの充実
配信ではメインストーリーを中心に追うことが多く、細かな寄り道や隠し要素までは網羅されないこともあります。そこに「自分だけの発見」があると、プレイする楽しさが増します。 - マルチエンディングや周回要素
一度物語を見終わった後に、別の選択肢で最初からやり直すことで、新しいイベントやエンディングにたどり着ける仕組みも、配信視聴だけでは味わえない魅力となります。
ディレクターが言う「プレイヤーエージェンシー(主体性)」とは、まさにこうした「自分の選択が確かに世界を変えていると実感できる感覚」のことです。これは、視聴者として配信を眺めているだけではなかなか得られない体験であり、RPGというジャンルの大きな醍醐味でもあります。
『FFVII リメイク』シリーズとプレイヤー主体の物語
『ファイナルファンタジーVII リメイク』三部作自体も、こうした「プレイヤー主体の体験」を意識した構成になってきました。
第1作『REMAKE』では、原作のミッドガル編をベースにしつつ、アクション性の増したバトルや新しいキャラクター描写、追加エピソードが盛り込まれました。第2作『REBIRTH』では、フィールド探索やサイドクエスト、ワールドマップの広がりを通じて、プレイヤーがどこへ行き、誰と過ごし、どんな順番で物語を追うかという「旅の組み立て方」に大きな自由度が与えられています。
完結編『REVELATION』でも、こうした流れをさらに発展させ、プレイヤー自身の選択や行動が、クラウドたちの結末や世界の行く末にどう関わっていくかが重要なテーマになると見られています。ディレクターの「プレイヤーエージェンシーが必要」という発言は、単なる理論的な問題意識ではなく、実際のゲームデザインに直結するものと考えられます。
「配信」と「RPG」は本当に相性が悪い?
一方で、ディレクターの発言を受けて、「ゲーム配信は本当にRPGにとって“危機”なのか」という議論もあります。
肯定的な側面としては、次のような点もよく指摘されます。
- 配信は無料の宣伝効果が高く、新しいファンを連れてきてくれる
- プレイが難しそう、長そうと感じている人にとって、配信は「まず様子を見る」入り口になる
- 推しの配信者が遊んでいるのを見て、「自分もやってみたい」と購入に至るケースも多い
- マニアックなRPGや、昔のタイトルが再評価されるきっかけにもなる
つまり「配信=悪影響」と単純に捉えるのではなく、プラス面とマイナス面が共存していると見ることもできます。
ディレクターも、配信そのものを否定しているわけではなく、「配信全盛の時代に、RPGをどう設計していくべきか」という課題を率直に語ったものと受け取るのが自然でしょう。
「物語を見る」から「物語を一緒に作る」へ
今回の発言を、もう少しポジティブな角度から捉えることもできます。それは、RPGがかつての「用意された長編ストーリーを味わう」形から、より一歩進んで「プレイヤーと一緒に物語を形作っていく」方向に進化していく、という見方です。
『FFVII』原作が発売された1997年当時、ゲームの物語体験は、映画や小説と比べても非常に新鮮なインタラクティブ性を持っていました。プレイヤーの操作によって世界を歩き回り、自分のペースで物語に触れられること自体が新しかったのです。
しかし、現在は映像・演出・ボイスなどが飛躍的に進化し、配信で視聴するだけでもある程度「物語を追える」時代です。そこでRPGに求められるのは、「視聴では完結しない体験」をどれだけ組み込めるか、という挑戦になっていきます。
ディレクターが言う「プレイヤーエージェンシー」とは、こうした新しい時代のRPGにおいて、欠かせないキーワードになりつつあるのかもしれません。
ファンとしてどう向き合うか
ストリーミング環境が整った今、「まず配信で様子を見る」という人もいれば、「発売日から自分でじっくりプレイしたい」という人もいます。
どちらが正しい・誤っているという話ではなく、遊び方の選択肢が増えたと捉えることもできます。ただ、ゲームを作る側から見れば、「どうすれば『見て終わり』ではなく『自分も遊びたい』と思ってもらえるか」は、今後ますます重要なテーマになっていくでしょう。
『ファイナルファンタジーVII リメイク』シリーズは、原作から長年のファン、リメイクから入った新しいプレイヤー、そして配信を通じてシリーズを知った人々など、非常に幅広い層が注目するタイトルです。完結編『REVELATION』の開発陣が、そうした多様なプレイヤーに向けてどのような「主体的な体験」を用意するのかは、RPGの未来を占う意味でも大きな関心事と言えるでしょう。
ディレクターの「ストリーマーがRPGジャンルにちょっとした危機をもたらしている」という発言は、一見すると刺激的な言葉ですが、その裏には「それでもなお、RPGという形でプレイヤーに何を届けられるのか」という真剣な問いかけがあります。
配信で見るのも、実際にプレイするのも、どちらもゲームの楽しみ方の一つです。そのうえで、プレイヤーそれぞれが「自分にとって一番ワクワクする楽しみ方」を選べるような作品が、これからのRPGには求められているのかもしれません。
参考元
- Final Fantasy VII Revelation director says today’s RPGs need more player agency because fans may be satisfied just watching streams
- Final Fantasy 7 Revelation Director Says Gameplay Streams Pose a Huge Challenge to RPGs
- Final Fantasy VII trilogy director says streamers are causing “a bit of a crisis” for the RPG genre


