レバンガ北海道、新アリーナ候補地は4カ所へ 札幌市との調整で建設地決定は延期の見通し
プロバスケットボールBリーグのレバンガ北海道が構想を進めている新アリーナ建設計画をめぐり、候補地が苗穂エリア、中島公園周辺、真駒内公園周辺など4カ所に絞られていることが明らかになりました。一方で、札幌市の秋元克広市長は、市内での複数アリーナ建設に対して慎重な考えを示しており、その影響もあって建設地の正式決定は延期される見通しとなっています。
レバンガ北海道が目指す「新アリーナ構想」とは
レバンガ北海道は、Bリーグの中でも長く札幌を本拠地として活動してきたクラブで、現在は既存のアリーナを利用しながらホームゲームを開催しています。しかし、クラブの中長期的な成長や、Bリーグ全体で進むアリーナ整備・エンターテインメント性向上の流れの中で、独自の新ホームアリーナを持つ構想を進めてきました。
新アリーナは、単に試合を行うための会場というだけでなく、
- 観客が試合以外の時間も楽しめるエンターテインメント空間
- 地域住民が日常的に利用できる多目的施設
- 国内外から人を呼び込む都市の新たな魅力拠点
としての役割も期待されています。そのため、どこに建設するかという立地選びは、クラブにとっても札幌市にとっても非常に重要なテーマとなっています。
候補地は苗穂・中島公園・真駒内公園など4カ所
関係者への取材などから、レバンガ北海道の新アリーナ候補地として検討されているのは、主に次の4カ所とされています。
- 苗穂エリア(札幌駅東側の再開発が進む地域)
- 中島公園周辺(市中心部に近い緑豊かなエリア)
- 真駒内公園周辺(スポーツ・イベント施設が集積するエリア)
- このほか、市内の別の一カ所(詳細な地名は現時点で公表されていない候補地)
レバンガ北海道を運営するクラブ側のトップである小川オーナー(会長)は、新アリーナ構想について説明する中で、これらの候補地を挙げたうえで、「それぞれの場所にメリットとハードルがある」と慎重な姿勢を示しています。
例えば、中心部に近い苗穂や中島公園周辺は、アクセス性や話題性の面で魅力がある一方、用地確保や周辺環境との調和など、クリアすべき課題が多いとみられます。また、既にスポーツ施設がある真駒内公園周辺は、スポーツ拠点としての相乗効果が期待できる半面、交通手段や冬季のアクセスの確保などが検討課題になる可能性があります。
札幌市・秋元市長は「複数アリーナ建設」に慎重姿勢
こうしたクラブ側の動きに対し、札幌市も市全体のまちづくりや財政運営の観点から、アリーナ構想を注視しています。札幌市の秋元克広市長は、報道陣の取材に対して、市内で複数の新アリーナ建設構想が持ち上がっている現状に触れ、次のような趣旨の発言をしています。
「まずは1つのアリーナの経営をしっかりやっていくことが重要だ」
この発言には、札幌市として、
- 新たな大規模アリーナ建設が本当に採算を取れるのか
- 市内に複数アリーナをつくった場合、それぞれが十分なイベント・観客を確保できるのか
- 市の財政や都市計画の観点から、過度な施設整備は避けるべきではないか
といった問題意識があると読み取れます。現在、札幌市内では、他のスポーツやイベント関連でもアリーナ・スタジアム整備の構想が存在しており、それらとのバランスをどう取るかが、市政の大きなテーマとなっている状況です。
決定は「延期」へ 小川会長「それぞれにハードルがある」
レバンガ北海道側は、当初は新アリーナの建設地を一定の時期までに決定したい考えを示していました。しかし、候補地ごとに
- 土地利用の制約
- 周辺の交通インフラの整備状況
- 事業費の規模や資金調達の方法
- 市や道、民間事業者との連携スキーム
といったさまざまな課題(ハードル)があり、簡単には絞り込めないのが現状です。
このため、クラブを率いる小川嶺会長は、報道を通じて「新アリーナ建設地の決定は延期する方向である」と説明し、「どの候補地にもクリアすべきハードルがある」としたうえで、今後も札幌市や関係者と協議を続けていく考えを示しました。
延期という判断の背景には、
- 拙速に場所を決めて失敗するよりも、長期的に持続可能な計画をつくるべきだというクラブ側の判断
- 札幌市側の慎重なスタンスを踏まえ、行政との連携や調整を丁寧に進める必要性
- ファンや地域住民にとっても、利用しやすく愛されるアリーナとなる場所を見極めたいという思い
などがあると考えられます。
なぜ新アリーナがそれほど重要なのか
ここまでの動きを理解するために、改めて「なぜレバンガ北海道に新アリーナが必要なのか」を整理してみます。
- Bリーグ全体の流れ
近年、Bリーグでは、観戦環境を高めるための専用アリーナ整備が進んでいます。観客席の見やすさや音響・照明、飲食・グッズ販売などの設備を充実させることで、試合を「一つのイベント」として楽しめる場にする動きが広がっています。 - クラブの収益力強化
自前のアリーナや、クラブが主導権を持てる会場を持つことで、チケット収入だけでなく、飲食・物販・スポンサーなど、多様な収入源を確保しやすくなります。これは、地方クラブが安定した経営を維持するうえで大きな意味を持ちます。 - 地域の新たな拠点づくり
アリーナは、バスケットボールの試合だけでなく、コンサートや各種イベント、地域のスポーツ・文化活動にも利用できる多目的施設になり得ます。レバンガ北海道の新アリーナも、そうした地域の交流拠点となることが期待されています。
こうした理由から、クラブにとって新アリーナの建設は、単なる設備投資ではなく、クラブの未来を左右するプロジェクトとなっています。
札幌市側が重視する「持続可能なアリーナ運営」
一方で、札幌市の視点に立つと、アリーナ建設は長期にわたる運営と採算性が問われる大きなテーマになります。秋元市長が「まずは1つのアリーナの経営をしっかりやっていくことが重要」と述べた背景には、
- 大規模施設の建設・維持には、多額の費用がかかること
- 人口減少や少子高齢化が進む中で、将来にわたって利用者を確保できるのかという不安
- 市内の既存施設との役割分担を明確にしないと、施設同士が競合し共倒れになるリスクがあること
といった懸念があります。
札幌市としては、新アリーナが
- 公的負担を膨らませすぎない民間主導の事業スキーム
- 市民が日常的に利用できる開かれた施設
- 市全体のスポーツ・文化振興に貢献する拠点
となることを重視しているとみられ、そのためには、事業主体であるレバンガ北海道側との丁寧な調整が不可欠になっています。
ファン・市民の期待と不安が交錯
レバンガ北海道の新アリーナ構想には、多くのファンや地域住民
- 「新しいアリーナでレバンガを応援したい」
- 「アクセスの良い場所にできてほしい」
- 「バスケだけでなく、イベントも楽しめる施設になるといい」
といった期待の声があがる一方で、
- 「本当に採算がとれるのか心配」
- 「市のお金がどれくらい使われるのか知りたい」
- 「交通渋滞や騒音など、周辺環境への影響は大丈夫なのか」
といった不安や疑問も聞かれます。
こうした市民の声に丁寧に向き合いながら、クラブと行政が情報を発信し、説明を重ねていくことが、今後の大きな課題となりそうです。
今後の行方:丁寧な調整と情報発信がカギに
現時点では、新アリーナの具体的な開業時期や、最終的な建設地はまだ決まっていません。候補地は苗穂・中島公園・真駒内公園など4カ所に絞られたものの、いずれの場所にも課題があり、レバンガ北海道の小川会長が語るように、「それぞれにハードルがある」状況です。
一方で、札幌市の秋元市長は、複数アリーナ建設に慎重な姿勢を示しつつも、「まずは1つのアリーナの経営をしっかり」という考え方を示しており、持続可能な形でのアリーナ整備を模索している段階だといえます。
レバンガ北海道にとって、新アリーナはクラブの未来を左右する大きな一歩です。そして札幌市にとっても、アリーナは都市の魅力や経済に影響する重要な社会資本です。今後、
- クラブと行政がどのように役割分担をしながらプロジェクトを進めるのか
- 市民やファンにどのように情報を伝え、理解を得ていくのか
- 他のアリーナ構想や既存施設とのバランスをどう取るのか
といった点が、計画の成否を分けることになりそうです。
新アリーナ建設地の決定が延期されたことで、ファンにとっては少しもどかしい時間が続くかもしれません。しかし、その裏側では、より良い形でアリーナを実現するための調整が続けられています。レバンガ北海道と札幌市が、時間をかけてでも納得のいく答えを導き出し、バスケットボールと街の未来を明るくする選択をしていけるのか、これからの動きが注目されます。




