麻生太郎氏が動かす自民党内力学 高市首相支援グループ「国力研究会」とは
自民党内で高市早苗首相を支える新たな議員グループ「国力研究会」が発足し、その舞台裏で麻生太郎副総裁の存在感が改めて注目を集めています。党所属議員の約8割が名を連ねる巨大グループとなり、「呉越同舟」ともいわれる幅広い顔ぶれが集まったことで、永田町では「麻生氏の権力復権」といった見方まで出ています。
本記事では、この国力研究会とはどのような組織なのか、テレビ番組で紹介された反応や、参加議員たちの本音、そして麻生氏の狙いはどこにあるのかを、やさしい言葉で丁寧に解説していきます。
高市首相を支える「国力研究会」発足の背景
国力研究会は、高市早苗首相(自民党総裁)を政策面・党内基盤の両面から支えるために立ち上げられた自民党内の議員グループです。複数の党関係者によると、発起人の中心にいるのが麻生太郎副総裁で、高市氏をめぐる政権運営と次の政局を見据えた動きとして位置づけられています。
グループ名の「国力研究会」は、高市首相が以前から掲げてきたスローガンや勉強会に由来します。高市氏は首相就任前から「『日本のチカラ』研究会」を立ち上げ、令和5年には『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』という書籍も出版しており、そこから名前を取ったとされています。
また、英語名の略称「JiB」は、高市氏が総裁選で掲げたスローガン「JAPAN IS BACK」の頭文字から取られており、日本の国力回復を前面に打ち出したグループであることが分かります。
発起人に麻生太郎氏、小泉防衛相ら 「呉越同舟」の顔ぶれ
国力研究会の特徴としてまず挙げられるのが、その発起人メンバーの広がりです。TBSなどの報道によれば、発起人には、2025年の総裁選で高市氏を強く推した麻生太郎副総裁のほか、総裁選で高市氏と競い合った小泉防衛大臣らが名を連ねています。
本来であれば総裁選で争った側と支えた側は距離ができてもおかしくありませんが、今回は同じグループに参加する形となりました。この「競い合ったライバルまで同じ船に乗る」という構図が、「呉越同舟」と表現されるゆえんです。
政治的な立場や考え方が微妙に違う人たちも、高市政権の下での政権安定や自民党内での影響力維持という共通の目的のため、ひとつの枠組みに集結しつつあるという見方ができます。
役職人事ににじむ麻生氏の存在感
国力研究会の役員体制を見ると、そこでの麻生氏の位置づけがよりはっきりと見えてきます。報道によると、国力研究会では最高顧問に麻生太郎氏が就き、実務を担う幹部には、萩生田光一幹事長代行が幹事長、木原稔官房長官が事務総長という布陣が敷かれています。
萩生田氏や木原氏はいずれも政権中枢に深く関わる要職にあり、党運営と内閣運営の両方のパイプがこのグループに集中しているとも言えます。
こうした人事から、国力研究会は単なる勉強会というよりも、党内最大級の「政権支持基盤」かつ「政策推進エンジン」として期待されていることがうかがえます。その頂点に立つ「最高顧問」というポジションを押さえたことで、「麻生氏の影響力が再び高まっている」との記事も出ています。
約8割・300人超が参加 迷いながらも「流れ」をうかがう議員たち
国力研究会のもう一つの特徴は、その圧倒的な参加人数です。日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」の報道では、自民党所属国会議員の約8割が参加し、「超」が付くほどの大型グループになったと伝えられています。別の報道では、入会者は320~347人規模に達したとされ、事実上の「党内最大会派」と呼べるような数字です。
一方で、政治ジャーナリストの青山氏によるテレビ番組でのコメントによると、参加を迷う議員も少なくなかったようです。
「参加を迷う複数の議員から『他の人たちはどういう状況?』と“探り合い”があった」といった話が紹介され、「乗り遅れると損かもしれないが、今すぐ前のめりになるのも怖い」という、永田町特有の微妙な空気があったことがうかがえます。
つまり、多くの議員は「高市政権の下での主流派」に入っておきたい一方で、今後の政局の行方もにらみ、慎重に“空気を読む”形で参加を決めていったと考えられます。こうした姿勢が、「呉越同舟」「大連合」といった表現とともに報じられている背景です。
初会合の様子 テレビ番組も「なかなか見たことない光景」と注目
国力研究会は5月21日に初会合を開きました。報道によれば、この初会合には大勢の議員が詰めかけ、会場は立ち見が出るほどの盛況となりました。
講師にはアメリカのグラス駐日大使が招かれ、安全保障や日米関係などについて講演を行ったとされています。外交・安全保障をテーマに据えたことは、国力研究会が単に党内人事のための集まりではなく、憲法改正や防衛力強化などを視野に入れた政策集団であることを印象付けました。
この初会合の様子は、TBS系の情報番組などでも大きく取り上げられました。
「サンデーモーニング」に出演した膳場貴子キャスターは、映像を見ながら「なかなか見たことない光景」とコメントしています。自民党の中枢を担う議員から若手まで、これほど多くが一堂に会し、特定の首相を支えるためのグループとして集結した場面は、視聴者にも新鮮に映ったようです。
番組内では、「高市政権の安定には追い風だが、党内の多様な議論が弱まるおそれもある」といった趣旨の指摘もなされ、巨大グループの誕生が持つ「光」と「影」の両方が論じられました。
憲法改正、皇室典範…「国力」強化へ狙う政策とは
自民党関係者によると、国力研究会には明確な政策的狙いがあります。それは、憲法改正や皇室典範改正など、長年自民党が掲げながらも実現に至っていない重要テーマを前に進めることです。
高市首相はこれまでも、安全保障や経済安全保障、サイバー防衛などを重視してきました。国力研究会は、そうした分野に加え、エネルギー政策や地方の活性化など、日本の総合的な「国力」を高めるための議論を行うとされています。
大人数のグループが一体となって政策課題に取り組むことで、国会審議や党内調整での説得力を高め、高市政権としての成果を積み上げていく狙いがあると見られます。
麻生氏の「権力復権」か 永田町が注目する理由
こうした国力研究会の動きとともに、永田町でささやかれているのが「麻生太郎氏の権力復権」という見方です。
週刊誌系の報道では、国力研究会の発足と巨大化の背後で「影響力を誇った人物が『麻生さんです』」と指摘する自民党関係者の声が紹介されています。
もともと麻生氏は、派閥領袖や副総裁として、長年にわたり自民党内で強い発言力を持ってきました。岸田政権期以降、派閥政治への逆風などもあり、「かつてほどの影響力はないのでは」との見方もありましたが、
今回、高市首相を支える最大級の党内グループの「最高顧問」となったことで、再び“キングメーカー”的な存在感を取り戻しつつあるのではないか、と受け止められています。
もちろん、国力研究会は「高市政権を支える」という建前のもとに動いていますが、将来の総裁選や政権の行方を左右する場にもなり得ます。その意味で、麻生氏がどのようにこのグループを動かし、どこまで影響力を発揮するのかは、今後も大きな注目を集めるでしょう。
今後の焦点:巨大グループは政権安定の支えか、それとも党内力学の新たな火種か
国力研究会の発足により、高市政権は党内に強固な支持基盤を得た形になりました。これだけ多くの議員が名を連ねれば、国会運営や党内調整において、大きな後ろ盾となるのは間違いありません。
一方で、あまりにも大きな「一枚岩」のグループが生まれることで、自民党内の多様な意見や、少数派の声が通りにくくなる懸念も指摘されています。
テレビ番組で紹介されたように、参加を迷う議員が「他の人はどうするのか」と探り合った事実は、「政権に近い立場を確保しなければ、将来自分の立場が弱くなるかもしれない」という不安の裏返しとも言えます。
これから、国力研究会がどのような政策を打ち出し、党内の議論をどのようにリードしていくのか。高市首相のリーダーシップだけでなく、麻生副総裁をはじめとするベテラン政治家たちの動きからも目が離せません。
「なかなか見たことない光景」と評された国力研究会の船出は、日本の政治の行方を占ううえで、重要な意味を持つ出来事となっています。
今後も、憲法改正や安全保障、経済政策などの議論が進むなかで、この巨大グループがどのように国のかじ取りに関わっていくのか、丁寧に見ていく必要がありそうです。


