中国の海洋調査船、尖閣諸島沖の日本EEZで活動相次ぐ 与那国南方では護衛艦も同行
沖縄県・尖閣諸島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海洋調査船によるとみられる活動が続いています。
第11管区海上保安本部(那覇)は6月28日昼、調査船がパイプのような器材を海中に下ろしている様子を確認し、日本側の同意なき海洋調査は認められないとして、無線で中止を求めました。
日本のEEZでは2026年3月末以降、中国船による同様の行動が繰り返し確認されており、与那国島南方の海域では、中国艦船が調査船を護衛しながら航行する動きも続いています。
尖閣諸島沖で確認された中国調査船の具体的な行動
第11管区海上保安本部によると、6月28日午後0時15分ごろ、尖閣諸島・魚釣島の西南西約57キロ付近の海域で、中国の海洋調査船がパイプ状の器材を海中へ伸ばしているのが確認されました。
この海域は日本が国際法上の手続きに基づき設定している排他的経済水域に含まれ、日本の同意なしに他国が海洋の科学的調査を行うことは認められないとされています。
海上保安庁の巡視船は、中国側に対して無線で「日本のEEZ内での同意なき調査活動は認められない」と伝え、直ちに行為を中止するよう警告しました。
海保は、調査船の行動が海底資源や海洋環境に関する情報収集である可能性も踏まえ、動向を継続的に監視しているとされています。
報道によれば、同型の中国調査船は4月末から5月初めにかけても、尖閣諸島・魚釣島の西北西約65キロの海域で、ほぼ同様の器材を海中に下ろす行動を取っていたとされます。
その際も第11管区海上保安本部が中止を求めましたが、中国船は一定時間活動を続けた後に離脱する形で、行動が繰り返されている状況です。
3月以降「特異な行動」が相次ぐ日本EEZ内の中国船
沖縄の地方紙などの報道によると、日本のEEZ内では2026年3月30日以降、中国船による海洋調査とみられる特異行動が立て続けに確認されています。
具体的には、尖閣諸島周辺だけでなく、沖縄本島周辺や与那国島南方の海域などでも、中国の調査船が低速で一定のパターンを描くように航行したり、海中に器材を投入したりするケースが見られています。
海上保安庁の「海上保安レポート」などによれば、尖閣諸島周辺では中国海警局所属船の活動がほぼ毎日確認されており、2023年の年間確認日数は352日と過去最多を更新しました。
こうした警備船の常態的な活動に加え、近年は海洋調査船や軍艦・補給艦などがEEZ内で活動するケースも増えており、日本側は海上保安庁と海上自衛隊が連携して警戒監視を強めています。
与那国南方海域での中国艦船による「護衛付き調査」
尖閣諸島沖での調査船活動と並行して、沖縄県与那国島の南方海域では、中国の艦船が調査船を護衛しながら航行する動きが常態化していると伝えられています。
与那国島は日本の最西端に位置し、台湾に近いことから、周辺海域は安全保障上の要衝とされています。
この海域では、中国の海洋調査船が海中に器材を伸ばして測定や採取を行っていると思われる場面に加え、その周囲を中国海軍の艦艇や公船が警戒しながら伴走するケースが確認されています。
日本のEEZ内で、他国の軍艦や公船が「護衛」的な態勢を取る形で調査活動を支える動きについて、日本側は管轄権の行使を試みているものだとの見方を示しており、国際法上の解釈や外交的な対応が問われています。
EEZにおいて、沿岸国には海洋資源の探査・開発に関する主権的権利や、海洋環境保護に関する管轄権が認められていますが、他国の艦艇は航行の自由を主張しながら活動を継続することがあり、双方の認識の違いが現場の緊張につながる場合もあります。
排他的経済水域(EEZ)とは?やさしく解説
今回のニュースを理解するうえで重要なEEZ(排他的経済水域)について、少しやさしく説明します。
EEZは、国連海洋法条約に基づいて、沿岸国の海岸線から最大200海里(約370キロ)までの海域に設定できる特別な海のエリアです。
- その国に魚や海底資源を探したり、採ったりする主権的な権利があるエリア
- 海洋調査や海洋環境を守るための一定のルールを決める権限も持っています
- ただし、EEZは「領海」とは違い、他国の船の航行や上空の飛行は基本的に自由とされています
ポイントは、他国の船が通ること自体は認められていても、その海の資源や環境に関わる科学的な調査や資源探査を勝手に行ってはいけないという点です。
日本政府は、この原則に基づき、EEZ内での無許可の海洋調査に対して「中止を求める」対応を続けています。
海上保安庁・海上自衛隊の対応と課題
尖閣諸島や与那国近海で活動する中国船に対して、日本側は主に海上保安庁が前面に立って対応しています。
海保の巡視船は、現場海域で中国船の行動を確認し、国際法や国内法に基づいて無線警告や監視活動を実施しています。
また、軍艦や公船が関わるケースでは、海上自衛隊の艦艇や航空機が必要に応じて情報収集や警戒監視を行い、海上保安庁と連携しながら対応しているとされます。
近年は、尖閣周辺での中国公船の活動日数が増え続けていることから、日本側では人員や装備の増強が続いています。
しかし、広大なEEZ全域を常時監視することは容易ではなく、
- 多くの巡視船や航空機を必要とすること
- 長期間にわたる緊張状態が続くこと
- 相手国との外交関係への影響
など、さまざまな課題があります。
そのため、日本は国際社会との協力や情報共有を進めながら、海洋秩序を守る取り組みを強化しているところです。
なぜ中国はこの海域で調査船を活動させるのか
中国の海洋調査船が尖閣諸島沖や与那国南方の日本EEZ内で活動を続ける背景について、報道や専門家の分析ではいくつかの理由が指摘されています。
- 海底資源や海洋環境の情報収集
この海域には、海底資源や漁業資源の可能性があるとされ、海流や地形などを含めた海洋データを取得することで、将来の資源利用や海洋進出の戦略に役立つと考えられます。 - 自国の「管轄権」主張の一環
調査船に艦艇が護衛する形で航行することは、その海域で自国の権限を行使しようとする動きと受け止められ、日本側が設定したEEZに対し別の管轄権を重ねて主張している可能性も指摘されています。 - 安全保障上の存在感の強化
台湾や東シナ海に近い海域で継続的に活動することで、地域における軍事的・政治的な存在感を高めたいという思惑があると見る向きもあります。
日本側はこうした動きに対し、冷静に国際法に基づく立場を説明しながら、現場では安全を確保しつつ毅然とした対応を取ることが重要だとしています。
尖閣諸島・与那国島周辺海域の重要性
尖閣諸島と与那国島周辺は、日本にとって安全保障・海洋資源・海上交通の三つの面で非常に重要な海域です。
- 安全保障の面
尖閣諸島は中国や台湾が存在を主張する地域に近く、与那国島は台湾まで約110キロと非常に近い位置にあります。
このため、周辺海域の状況は日本の防衛政策と深く関わっています。 - 海洋資源の面
東シナ海一帯は、漁業資源や海底資源の可能性が指摘されている海域で、EEZ内での調査や開発が将来のエネルギー・食料に影響する可能性があります。 - 海上交通の面
周辺海域は、アジアと世界を結ぶ海上交通路の一部でもあり、多くの船舶が行き交う重要な航路となっています。
こうした背景から、日本は尖閣諸島沖や与那国南方の海域で発生する小さな動きであっても、長期的な影響を考慮しながら慎重に対応しています。
今後に向けて求められる冷静な議論
中国の海洋調査船や艦船による活動が続くなか、日本国内では安全保障や海洋権益をどう守るかについての議論が高まっています。
一方で、海は多くの国が利用する共同の場でもあり、緊張を高めることなく国際ルールに基づいて秩序を保つ工夫も求められています。
今回の尖閣沖や与那国南方での動きは、日中両国だけでなく、地域全体の海洋秩序に関わる重要なテーマです。
ニュースを知る私たちにとっても、
- EEZとは何か
- どんなルールに基づいて海が利用されているのか
- 国際社会がどのように海の安全と自由を両立させようとしているのか
といった点に目を向けるきっかけとなる出来事だといえるでしょう。
海上保安庁や関係機関は、現場の安全を守りつつ、国際法と外交を通じて、東シナ海一帯の安定した海洋秩序の維持を目指しています。




