スペースX、史上最大級IPOへ ― 需要は4倍超、評価額は約1.8兆ドルに

米民間宇宙企業SpaceX(スペースX)が、新規株式公開(IPO)を目前に控え、世界の投資家から大きな注目を集めています。
事情に詳しい関係者によると、IPO株への需要はすでに募集額の約4倍に迫る応募超過となっており、近年まれに見る「超人気案件」となっています。評価額はおよそ1.75〜1.8兆ドル(約280兆円規模)と報じられ、実現すれば史上最大級のIPOになる見通しです。

SpaceXとはどんな企業か?

SpaceXは、イーロン・マスク氏が率いる米国の民間宇宙開発企業で、正式名称はSpace Exploration Technologies Corp.です。ロケットの再利用技術や民間宇宙輸送、さらには衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」など、宇宙関連のさまざまな分野で世界をリードしています。

これまでSpaceXは、株式を非公開のまま資金調達を重ね、高い技術開発力と事業拡大によって企業価値を大きく高めてきました。その結果、今回のIPOに先立つ評価額は約1.75兆ドル〜2兆ドル前後とも見込まれており、「スタートアップから約1.8兆ドル企業へ」と語られるほどの成長を遂げています。

IPOの概要:上場日はいつ?どこに上場する?

現時点で報じられている情報を総合すると、SpaceXは米ナスダック市場への上場を予定しており、ティッカー(銘柄コード)は「SPCX」となる見通しです。
報道によれば、SpaceXはすでに米証券取引委員会(SEC)にForm S-1(目論見書)を提出しており、正式なIPOプロセスに入っています。

上場スケジュールについては、2026年6月12日に取引開始とする計画が報じられており、6月4日から投資家向けロードショーを開始、11日に公開価格を決定するという流れが伝えられています。
なお、一部では「6月下旬〜7月上旬に取引が開始される」との見通しも紹介されており、最終的な日程は市場環境や当局の手続きなどによって調整される可能性があります。

過熱する需要:応募は4倍近いオーバーサブスクライブ

ブルームバーグなどの報道によると、SpaceXのIPOは大幅な応募超過(オーバーサブスクライブ)となっており、需要は発行株数の約4倍に迫る水準だと伝えられています。
主幹事証券の関係者によれば、機関投資家からの注文受付は6月10日の米国市場引け後に締め切られる予定で、その段階ですでに十分な需要を確保しているとされています。

IPOの人気の背景には、ロケット・衛星通信・AIなど多岐にわたる事業ポテンシャルに加え、イーロン・マスク氏への期待感、そして「宇宙ビジネス」という成長テーマへの投資機会が重なっていることが挙げられます。

評価額は約1.8兆ドル ― 史上最大級のIPOに

SpaceXのIPOでは、時価総額が約1.75兆ドル〜2兆ドル前後になるとの見方が広がっています。
SPACE CONNECTなどの報道によれば、SpaceXは1.75兆ドル規模の評価額を目指しており、これは日本円にしておよそ280兆円規模とされます。また、野村證券のレポートも、「調達額約750億ドル、市場評価2兆ドル前後」と紹介しており、史上最大規模のIPOになる可能性を指摘しています。

もしこの評価額が実現すれば、これまでの大型IPOを大きく上回る規模となり、世界の株式市場にとっても非常にインパクトの大きいイベントとなります。過去の大型IPOとしては、アリババやソフトバンクグループ傘下のArmなどが知られますが、SpaceXはそのさらに上をいくサイズになると見られています。

どれくらい資金を調達するのか?

報道や目論見書の内容によると、SpaceXは今回のIPOで最大750億ドル(約12兆円)規模の調達を目指しているとされています。
日本国内向けの募集だけを見ても、20億〜25億ドル(約3,178億〜3,973億円)という巨大な規模であることが明らかになっています。

このように、全世界での売り出し総額は史上最大級となり、調達した資金はロケット開発、衛星の打ち上げ、スターリンク網の拡充、さらにはAI分野への投資など、長期的な成長戦略に充てられると見込まれています。

投資家は誰が参加してきたのか?初期投資家の「勝ち組」ぶり

今回のIPOは、「スタートアップ時代からSpaceXに賭けた投資家」が大きなリターンを手にするタイミングでもあります。
非公開企業として成長してきたSpaceXには、ベンチャーキャピタルや一部の機関投資家、富裕層などが長年資金を提供してきました。宇宙開発というリスクの高い分野に早くから資金を投じたこれらの投資家は、企業価値が約1.8兆ドル規模にまで膨らんだことで、莫大な含み益を抱えることになります。

IPOに伴う既存株主からの売り出しも予定されており、初期からの出資者が一部の持ち株を売却することで、長年のリスクに対する「報酬」を得る形になります。まさに、「スタートアップに賭けた投資家が、今その果実を手にしつつある」という状況です。

個人投資家にも門戸 ― 日本からも参加可能

今回のSpaceXのIPOでは、個人投資家に多くの株を配分する方針が特徴のひとつとされています。CFOのブレット・ジョンセン氏は、個人向けの動画を通じて事業説明を行い、総額750億ドル規模の売り出しの最大30%を個人投資家に割り当てる見通しであることが示されています。

日本でも、みずほ証券・楽天証券・SBI証券などが国内投資家からの申込みを受け付けており、米国の大型IPOに個人が直接参加できる貴重な機会となっています。
具体的には、目論見書によると日本での発行株数は1,481万4,815株〜1,851万8,518株が予定されており、募集額は20億〜25億ドルとされています。

公募価格と仮条件

SpaceXは、1株あたり135ドルを公募価格として提示しており、通常のIPOのような価格幅ではなく「1本値」での提示となっています。
この135ドルという価格をベースに、時価総額を1.75兆ドル規模とした場合、発行済株式数はおよそ130億株前後になる計算です(実際の株数は目論見書に基づきます)。

日本国内の証券会社では、この135ドルを基準に、円貨での申込み・決済が行われます。例えば、ある試算では1ドル=158.91円とした場合、日本での募集額は約3,178億〜3,973億円と紹介されています。

日本の証券会社ごとの取り扱い

楽天証券

楽天証券では、総合口座と外国証券口座を開設していれば、SpaceXのIPOに申し込むことができます。
決済通貨は円のみで、NISA成長投資枠・特定口座・一般口座で購入可能です。
ブックビルディング(需要申告)の申込期間は、2026年6月5日から12日2:00までと案内されており、公開価格決定日の前に必要資金を用意しておく必要があります。

SBI証券

SBI証券は、同社として初めて米国株式のIPO株を取り扱うと発表しており、総合口座と外国株式取引口座を持つ投資家が申込み可能です。
こちらもNISA成長投資枠・特定口座・一般口座で購入でき、申込みの締め切りは6月11日10時59分とされています。
さらに、SBIハイパー預金残高が一定額以上あると、当選確率がアップする仕組みも用意されています。

みずほ証券など

日本国内での募集は、米国みずほ証券から委託を受ける形で、みずほ証券・楽天証券・SBI証券が取り扱っており、日本の個人投資家もこれらの証券会社を通じて需要申告を行うことができます。

市場全体への影響と今後の焦点

野村證券などの調査では、SpaceXのような大型IPOは、米国株式市場全体にも大きな影響を与える可能性があると指摘されています。
調達額が約750億ドル、評価額が2兆ドル前後に達することで、S&P500指数の構成銘柄に加わる可能性や、関連する宇宙・通信・AI関連銘柄への資金の流入など、さまざまな波及効果が注目されています。

一方で、TradingKeyなどの分析では、過去の大型IPO(アリババやUberなど)が、上場直後は注目を集めたものの、長期的には必ずしも市場平均を上回ってこなかった例も挙げられており、IPO直後の熱狂と長期的な投資成績は別物であることにも注意が必要とされています。

まとめ:宇宙ビジネスの転換点となるIPO

SpaceXのIPOは、単に一企業の上場というだけでなく、民間宇宙ビジネスが本格的に株式市場の主役級になった象徴的な出来事と言えます。
スタートアップとして始まったSpaceXが、ロケット再利用やスターリンクを通じて事業を拡大し、いまや約1.8兆ドル規模の巨大企業として株式市場に登場しようとしていることは、多くの投資家にとっても新しい時代の到来を感じさせるニュースです。

需要はすでに4倍近い応募超過となり、世界中の機関投資家と個人投資家がこの歴史的な上場に注目しています。
日本の投資家にとっても、楽天証券やSBI証券などを通じて参加できる稀有な機会であり、宇宙ビジネスという成長テーマに直接アクセスする手段として関心が高まっています。

今後、公開価格の最終決定と初値の動き、そして上場後の中長期的な成長戦略が、世界中から注目され続けることになりそうです。

参考元