たった172psでも車重590kg!ケータハム・スーパー・セブンが教えてくれる「走る楽しさ」の原点

自動車の世界では、SUVやミニバン、電気自動車(EV)がすっかり主役になりました。そんな中で、あえて「軽さ」と「シンプルさ」にこだわり続けるブランドがあります。それがケータハムです。
最近、自動車評論家が注目輸入車を一気に試乗する企画の中で、このケータハム・スーパー・セブンが大きな話題になりました。「たった172psでも車重は590kgしかないので動力性能は文句なし」というコメントは、多くのクルマ好きの心をつかんでいます。

この記事では、話題のケータハム・スーパー・セブンを中心に、その魅力や背景をわかりやすく解説しつつ、同じ企画で取り上げられたフォルクスワーゲン ID.バズルノー・グランカングーとの対比にも触れていきます。
「ミニバンやSUVばかりでちょっと食傷気味…」「クルマ本来の楽しさって何だろう?」と感じている方にこそ、ぜひ知ってほしい内容です。

ケータハムとは?「セブン」に全てを捧げる小さなメーカー

ケータハムカーズは、イギリスの小規模な自動車メーカーです。1973年にイングランド南部サリー州のケイタラムで設立され、ロータス・カーズからロータス・セブンの生産権を引き継いだことで知られています。
それ以来、1960年代から基本構造がほとんど変わらないライトウェイトスポーツカー「セブン」シリーズの生産・販売を続けてきました。

日本とのつながりも深く、現在は日本のVTホールディングスの100%子会社となっており、日本市場向けの展開にも非常に積極的です。
ケータハムのラインナップは、大手メーカーのようにセダンやSUV、ミニバンがずらりと並ぶわけではありません。基本的には「セブン」一筋。この一点突破の姿勢こそが、ケータハムというブランドの個性を際立たせています。

スーパー・セブン2000の「172ps×590kg」という世界

今回のニュースで話題となっているのはケータハム・スーパー・セブン2000です。自動車評論家が試乗したこのモデルについて、「車重590kgで172馬力、楽しさは乗ればわかる」と紹介されています。

最近のスポーツカーを見ると、200psや300psは当たり前、中には400psを超えるモデルも珍しくありません。その中で172psという数字だけを見ると、「少し物足りないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、スーパー・セブン2000の車重はわずか590kg。この軽さこそが、このクルマの本質です。

一般的なコンパクトカーでも1,000〜1,200kg前後、ミニバンやSUVなら1,500〜2,000kgという重量が珍しくない中で、590kgという数字はまさに別世界です。
軽さはそのまま加速性能、ブレーキ性能、コーナリング性能、そして楽しさにつながります。「たった172psでも文句なし」と評されるのは、まさにパワーより“軽さ”を優先した設計思想があるからです。

最新の「スーパー・セブン600/2000」と日本市場

ケータハムは日本市場向けに「スーパー・セブン600」と「スーパー・セブン2000」という新しいモデルを投入しています。
スーパー・セブン600は、よりクラシックな雰囲気と手頃なパワーを持つモデルで、軽自動車枠に収まる仕様として紹介されています。
一方でスーパー・セブン2000は、より力強いエンジンを搭載し、ロードユースからスポーツ走行まで幅広く楽しめるグレードという位置づけです。

ボディサイズについては、標準シャシー(Series 3、ナローボディー)に加えて、スーパー・セブン2000では大型シャシー(ワイドボディー、Series 5)も用意されており、体格や用途に応じた選択ができるようになっています。
価格帯はおおよそ約866万円〜1146万円とされており、日本国内でも本格的なスポーツカーとして位置づけられるモデルです。

「走る楽しさ」に特化した、今では貴重な存在

ケータハム・セブンシリーズの特徴は、とにかく無駄をそぎ落としたシンプルな構造にあります。
快適装備や豪華なインテリア、最新の運転支援システムなどは、一般的な乗用車と比べるとかなり質素に感じられるかもしれません。
しかし、その代わりに得られるのが、ドライバーがクルマを「操っている」と強く実感できる感覚です。

軽量な車体にほどよいパワー、そしてアナログ感の強いステアリングやペダルフィール。
「楽しさは乗ればわかる」と評されたのは、スペック表だけでは伝わらないダイレクトなフィードバック一体感があるからです。

また、ケータハムは同じライトウェイトスポーツの系譜にあるセブン170やセブン340などのモデルも展開しており、近年は為替や資材高騰の影響で価格改定が行われたことも話題になりました。それでもなお、「軽さと楽しさ」重視の哲学は一貫して守られています。

「黒塗りミニバンよりこっちに乗りたい」――ID.バズとの対比

同じ試乗企画の中では、自動車評論家・飯田裕子氏がフォルクスワーゲン ID.バズなど、ほかの注目輸入車にも試乗しています。その中で出てきたコメントが、「食傷気味な黒塗りミニバンよりこっちに乗りたい!」というものです。

ここでいう「黒塗りミニバン」は、日本の街中でよく見かける、便利で快適だけれど少し画一化してしまった大柄なミニバン群を指しています。
これに対してID.バズは、レトロなデザインとEVならではの静かさ・滑らかさ、そして独特の世界観を持つモデルとして注目されています。
「同じようなミニバンばかりではつまらない」「ちょっと人と違うクルマに乗りたい」という気持ちは、ケータハムのような車種に心ひかれる人とも通じる部分があります。

ケータハムはEVではありませんが、周囲と違う価値観楽しさ優先のクルマ選びという意味では、ID.バズと同様、「黒塗りミニバン一辺倒」の流れに対するささやかなカウンターとも言える存在です。

「7人乗りでも本気」――ルノー・グランカングーとの対比

さらに同企画では、自動車評論家・竹岡圭氏がルノー・グランカングーなどの注目輸入車にも試乗し、「7人乗りでもパイオニアとしての意地と本気が見える観音開きバックドア」と評価しています。

グランカングーは、もともとレジャーや仕事用途にも使える多用途ミニバン/MPVとして知られ、初代カングーから続く「遊び心のある実用車」というイメージを持っています。
観音開きのバックドアは、荷物の積み下ろしや使い勝手の面で優れ、カングーらしい個性を保ちながら、7人乗りという実用性をしっかり追求している点が評価されています。

一方で、ケータハム・スーパー・セブンは、実用性という点ではグランカングーとは真逆の存在です。
荷物も人もたくさんは載せられませんし、全天候に対応する快適性があるわけでもありません。
それでもなお、「走る楽しさ」という一点においては、どんなミニバンにも負けない魅力を持っています。

グランカングーのように「実用性も遊びも両立したい」という方向性もあれば、ケータハムのように「遊び=走る楽しさ」に全振りした選択肢もある。
この多様性こそ、今のクルマ選びを豊かにしていると言えるでしょう。

「軽さ」と「楽しさ」を求める人に、ケータハムが刺さる理由

日本の道路事情やライフスタイルを考えると、ミニバンやSUVが売れるのは自然な流れです。家族での移動、買い物、レジャーなど、1台で何でもこなせる万能さは、大きな魅力です。
しかし一方で、「運転そのものを楽しみたい」「休日だけは、クルマと向き合う時間にしたい」と考える人が一定数いるのも事実です。

そうした人たちにとって、ケータハム・スーパー・セブンのようなクルマは「趣味の道具」であり、時には「人生の楽しみそのもの」になり得ます。

  • 172ps×590kgという圧倒的な軽量・高レスポンスの世界
  • ロータス・セブンから受け継がれた原始的でピュアなスポーツカー体験
  • 最新モデルでも基本構造を守り続ける一貫した哲学
  • 日本市場に合わせたスーパー・セブン600/2000の展開

こうした要素が重なり合い、「食傷気味な黒塗りミニバンより、こういうクルマに乗りたい」と感じる人の心に刺さっているのです。

便利さだけでは測れない「クルマの価値」

ID.バズのようなEVミニバンや、グランカングーのような多用途MPV、そしてケータハム・スーパー・セブンのようなライトウェイトスポーツ。
いずれも方向性は違いますが、共通しているのは「単なる移動手段以上の価値」をユーザーに提供しようとしている点です。

ケータハムの場合、その価値はとてもシンプルです。
「走ることそのものが楽しい」――たったこれだけです。しかし、その「たったこれだけ」を実現するために、徹底的な軽量化やシンプルな設計が貫かれています。

多人数でゆったり移動するならグランカングーや一般的なミニバンが適していますし、環境性能や新しさを重視するならID.バズのようなEVが選択肢になります。
その一方で、「運転する喜び」を最優先にしたければ、ケータハムのようなクルマが強い存在感を放つのです。

これからの時代にこそ光る、ケータハムの存在意義

世界的には電動化や自動運転技術が進み、クルマはますます「安全で静かでスムーズな移動手段」として進化していくでしょう。
その流れ自体は多くの人にとってメリットがありますが、同時にアナログな楽しさや人間らしい感覚が薄れていく危うさもはらんでいます。

そんな中で、ケータハムのように「軽くて、うるさくて、手がかかるけれど、とびきり楽しい」クルマが存在し続けることには、特別な意味があります。
それは、クルマという文化の多様性を守ることであり、運転する喜びを次の世代に伝えることでもあります。

自動車評論家が「たった172psでも車重は590kgしかないので動力性能は文句なし」と熱く語り、「楽しさは乗ればわかる」と強調する背景には、こうした時代への問題提起もにじんでいると言えるでしょう。

ミニバンやSUVが悪いわけではありません。ただ、それとはまったく違う価値軸でクルマを選ぶ人たちがいて、その選択肢としてケータハム・スーパー・セブンのようなモデルが存在している。
その事実自体が、クルマ好きにとってはとても心強いニュースなのかもしれません。

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