政府施設へのペロブスカイト太陽電池導入目標、2035年・2040年に向けて本格始動
政府が次世代太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池の導入を、政府施設で大きく拡大していく方針を明確にしました。環境省は、2035年と2040年を節目とする導入目標案を示し、政府部門全体としてペロブスカイト太陽電池の需要創出を支援していく考えです。2035年には50〜70MW(5万〜7万kW)、2040年には100MW以上という新たな目標案が示されており、政府施設における再生可能エネルギー導入が、次のステージに入ろうとしています。
ペロブスカイト太陽電池とは?やわらかくて軽い「次世代の太陽光」
ペロブスカイト太陽電池は、現在主流のシリコン系太陽電池とは異なる材料と構造を持つ、次世代型の太陽電池です。特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- 薄くて軽量であるため、ビルの壁面や窓ガラス、屋根など、従来は設置が難しかった場所にも設置しやすい
- フィルム状に加工できるなど柔軟性
- 発電効率の向上が期待されており、将来的にはシリコン系と同等以上の性能を目指している
こうした特性によって、工場や店舗、自治体庁舎、道路の防護壁、鉄道駅、空港など、従来の太陽光パネルの設置が難しかった公共施設やインフラへの活用が期待されています。政府がペロブスカイト太陽電池に注目している背景には、「限られたスペースでも効率的に再生可能エネルギーを導入できる」技術として、大きなポテンシャルを持つことが挙げられます。
政府施設への導入目標:2035年に最大7万kW、2040年に100MW以上
環境省は、政府部門におけるペロブスカイト太陽電池の導入について、2035年と2040年を目標年最大7万kW(70MW)
報道では、2035年の政府施設へのペロブスカイト太陽電池の設置目標として50〜70MW100MW以上
環境省の資料によれば、こうした政府施設への導入目標は、国内全体として2040年に20GWのペロブスカイト太陽電池導入
環境省による「需要創出支援」:政府部門が率先導入
環境省は、「政府部門におけるペロブスカイト太陽電池の率先導入について」と題した資料の中で、導入目標や支援策の方向性を示しています。そのなかで、政府施設における導入目標の策定にあたって、次のような方針が記されています。
- 目標年は2035年と2040年
- 政府施設のポテンシャル調査結果を踏まえたうえで、2040年に国内全体で20GWバックキャスト
- 各府省庁ごとではなく、政府部門全体の目標として設定する
また、環境省はペロブスカイト太陽電池の供給体制についても言及しており、100MW規模の供給体制を2027年度に稼働開始
政府が率先して導入することで、新技術であるペロブスカイト太陽電池の「実績作り」が進み、民間企業や自治体が安心して採用しやすくなる効果も期待されています。加えて、政府施設は比較的長期的な運用が前提となるため、耐久性やメンテナンス面での知見を蓄積する場にもなります。
補助制度や支援策:導入コストを下げて普及を後押し
ペロブスカイト太陽電池は、まだ発展途上の技術であり、量産体制や発電コストの面で改善が必要とされています。そのため、政府は価格低減と普及を後押しするための補助制度や支援事業
環境省の資料では、政府施設への導入にあたり補助率を2/3
また、別途の支援事業として、ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業も進められており、予算案として数十億円規模
一方、経済産業省は、工場や店舗などエネルギー消費量の多い事業者に対して、屋根置き太陽光パネルの導入目標の策定を義務化
国内全体のロードマップ:2040年に20GW導入を目指す
政府はペロブスカイト太陽電池について、2030年頃までに生産体制を確立し、2040年に国内で約20GW導入する
ロードマップでは、2030年度までにペロブスカイト太陽電池の発電コストを14円/kWh以下12円/kWh以下
また、固定価格買取制度(FIT)や市場連動型のFIP制度において、新たな区分を設けてペロブスカイト太陽電池の発電を支援することも検討されています。これにより、初期導入段階でも一定の収益性を確保しやすくなり、民間投資を呼び込む効果が見込まれます。
公共施設・インフラでの活用事例と期待される効果
ペロブスカイト太陽電池の導入が想定されている政府施設や公共インフラには、次のようなものがあります。
- 各省庁の庁舎や出先機関の建物(屋根・外壁・窓など)
- 避難所として指定されている公共施設の屋根や外壁
- 道路の防護壁や遮音壁
- 鉄道駅のホーム上屋や外壁
- 空港ターミナルビルの屋根・窓面
- 駐車場の屋根やカーポート
こうした場所にペロブスカイト太陽電池を導入することで、施設自身が発電機能を持つ「エネルギーを生み出す建物」に生まれ変わります。特に、避難施設への導入は、災害時における電源確保という観点からも重要であり、レジリエンス強化の役割も期待されています。
さらに、公共施設への導入は、市民にとって新技術への「見える化された実例」となり、「自分の家や職場でも導入できるのではないか」と考えるきっかけにもなります。東京都など一部自治体では、ペロブスカイト太陽電池の設置を100%助成
今後の課題:耐久性・コスト・制度設計
一方で、ペロブスカイト太陽電池には、解決すべき課題も残されています。代表的なものとして、次のような点が挙げられます。
- 耐久性の向上:屋外で長期間使用するためには、雨風や紫外線、温度変化に対する耐久性が不可欠
- 量産体制の確立:安定供給とコスト低減のためには、大規模な生産ラインの整備が必要
- 安全性・リサイクル:使用材料の安全性や、使用後のリサイクル・廃棄の仕組みづくりが重要
- 制度面の整備:FIT/FIPや補助制度などを通じた十分な支援と、普及段階に応じた制度の見直し
政府はこれらの課題に対応するため、研究開発支援、実証事業、補助制度などを組み合わせて進めていく方針です。2025年頃から実証・導入支援を開始し、価格低減や性能向上を目指す動きもすでに始まっています。
ペロブスカイト太陽電池は「脱炭素社会」への重要な一歩
政府施設へのペロブスカイト太陽電池導入目標は、単なる設備更新ではなく、日本全体の脱炭素社会の実現
2035年に50〜70MW100MW以上20GW導入



