マイケル・セイラー氏率いるストラテジー、32BTC売却で「売らない方針」に転換か 市場に波紋
ビットコインを大量保有する米ストラテジーが、保有資産の一部である32BTCを売却したことが明らかになりました。2022年以来初めての売却とされ、創業者のマイケル・セイラー氏が長年示してきた「ビットコインは売らない」という姿勢に変化が出たとして、仮想通貨市場で注目を集めています。
今回の動きは、単なる保有調整ではなく、同社の資本政策や配当対応をめぐる考え方の転換として受け止められています。従来、ストラテジーはビットコインを企業財務の中核資産として位置づけ、追加取得を続ける立場を鮮明にしてきました。しかし最近の決算説明会では、必要に応じてビットコインを売却し、優先株の配当原資に充てる可能性を示しており、市場に驚きを与えました。
「決して売らない」から「条件付きで売却へ」
マイケル・セイラー氏は、これまでビットコインの長期保有を強く主張してきた人物として知られています。ところが、2026年第1四半期の決算発表では、配当支払いの資金を確保するために、保有するビットコインの一部を売却する可能性があると説明しました。
BeInCryptoによると、セイラー氏はアナリスト向けに、優先株主への配当を維持する目的でBTCを売却する可能性に言及しました。同社は2026年第1四半期に125億4000万ドルの損失を計上しており、ビットコイン価格の下落による未実現損失も大きかったとされています。
また、同社が保有するBTCは81万8334BTCとされ、巨額の保有残高を持つ企業として知られています。そのため、わずかな売却であっても市場心理への影響は小さくありません。
売却の背景にあるのは配当負担
今回の売却判断で焦点となっているのは、ストラテジーが抱える配当義務です。BeInCryptoは、同社が年間15億ドル規模の配当負担に対応するため、保有ビットコインの一部を売却する可能性があると報じています。
CoinPostも、セイラー氏が決算説明会で、配当支払いのためにビットコインを売却する可能性が高いと述べたと伝えています。これは、これまでの「純購入者」であり続ける姿勢から、資金需要に応じて保有資産を動かす実務的な方針へと移ったことを示すものです。
さらにセイラー氏は、売却について「市場を安心させるため」といった趣旨の説明も行い、単なる資産処分ではなく、配当制度を維持するための戦略的手段だと位置づけています。
市場では「方針転換」と受け止められる
このニュースを受けて、仮想通貨市況は軟調に推移しています。ウェルスアドバイザーの報道では、米ストラテジーによるBTC売却が話題となり、投資家の警戒感が強まったとされています。[ニュース内容2]
市場が反応した理由は明確です。ストラテジーは、ビットコインを企業価値の中心に据えてきた代表的な保有企業であり、そのトップであるセイラー氏は象徴的存在でした。その人物が売却に言及し、実際に32BTCを売ったことで、これまでの強硬な姿勢が和らいだと受け止められたのです。
一方で、Yahoo!ファイナンス掲載の報道では、セイラー氏は価格下落を理由に売却を余儀なくされるとの懸念について「根拠がない」と否定し、今後もBTCの追加取得を止める計画はないと説明したとされています。
「売却」と「撤退」は同じではない
今回の売却は、ストラテジーがビットコイン戦略を放棄したことを意味するわけではありません。PANewsの報道では、同社の主要なビットコイン蓄積エンジンはSTRCであり、資本調達の設計を通じてBTC保有を支える構造が続いていると説明されています。
つまり、売却は長期戦略の否定ではなく、配当や資金繰りを維持するための調整と見るのが自然です。セイラー氏自身も、BTC価格が一定以上の成長を続ければ、少額売却で配当を賄える可能性があると述べており、保有全体を手放すという話ではありません。
ただし、これまで市場に与えてきたメッセージは非常に強かったため、少量とはいえ売却実績が出たこと自体に意味があります。投資家にとっては、「ビットコインは絶対に売らない」という前提が崩れたように映りやすく、今後の説明や追加の開示内容が注目されます。
今回のポイント
- ストラテジーが32BTCを売却し、2022年以来初の売却と報じられました。
- マイケル・セイラー氏は、配当支払いのためにBTC売却を検討する姿勢を示しました。
- 同社はなお、ビットコインの長期保有と追加取得の方針を完全には崩していないと説明しています。
- 市場では、セイラー氏の方針転換が仮想通貨相場の重しになったとの見方が広がっています。[ニュース内容2]
ストラテジーの今回の判断は、巨大なビットコイン保有企業が、理想論だけでなく配当や資金需要にも対応しなければならない現実を示しています。マイケル・セイラー氏の発言と実際の売却が重なったことで、ビットコインをめぐる企業財務のあり方が、あらためて注目されています。



