大丸神戸店が19年ぶりの快挙 売上高1,000億円超えとデパ地下刷新で存在感を強める
兵庫・神戸の老舗百貨店「大丸神戸店」が、2025年度の売上高で19年ぶりに1,000億円の大台を突破しました。富裕層向けの高付加価値商品や、訪日外国人客(インバウンド)による消費が伸びたことが追い風となり、神戸を代表する百貨店としての存在感を改めて示しています。
あわせて、館内の人気エリアであるデパ地下(食品フロア)では、和の老舗ブランドを中心とした大規模なリニューアルを実施。「茅乃舎(かやのや)」をはじめ、「満月」、「神宗(かんそう)」、「不室屋(ふむろや)」という4つの人気ブランドが新規出店・改装オープンし、「和の銘店」が一層充実したことで注目を集めています。
19年ぶりに売上1,000億円を突破 背景にある3つの追い風
大丸神戸店の売上が1,000億円を超えるのは、およそ19年ぶりのことです。この数字は単なる景気回復の象徴にとどまらず、「神戸の街」と「百貨店ビジネス」の変化を映し出すものでもあります。ここでは、その背景にある主な要因を3つに分けて見ていきます。
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1. 富裕層向け高額品の売上が好調
大丸神戸店では、外商顧客や地元の富裕層を中心に、美術品、宝飾品、高級時計、ラグジュアリーブランドなどの高額品の売り上げが伸びました。コロナ禍以降、「モノよりコト」と言われた消費トレンドに変化が生まれ、長く愛用できる質の高い商品や、自分へのご褒美としての高級品を求める動きが強まっています。 -
2. インバウンド需要の本格回復
訪日外国人観光客(インバウンド)の増加も、売上増加を力強く後押ししました。神戸は、港町としての景観や異人館街など国際色豊かな観光資源に恵まれており、大丸神戸店には、免税対応や多言語での接客を求めて多くの観光客が訪れています。特に化粧品、ラグジュアリーブランド、食品ギフトなどは、インバウンド需要の中心的な商材です。 -
3. 地元密着とブランド力の両立
大丸神戸店は、長年にわたり「神戸の顔」として地域に根ざしてきました。地元の洋菓子ブランドや老舗飲食店との協業、地域イベントとのタイアップなど、「神戸らしさ」を打ち出した企画が多いことも特徴です。こうした地元密着の姿勢が、リピーター顧客の支持を支え、結果として売上の下支えになっています。
このように、富裕層・インバウンド・地元客という三つの軸がバランスよく機能したことで、19年ぶりとなる売上1,000億円超えという結果につながりました。
デパ地下リニューアルの目玉 4つの和ブランドが集結
売上好調の勢いをさらに高めるべく、大丸神戸店は地下食品フロア(デパ地下)のリニューアルを行いました。今回の中心テーマは、「和の銘店の充実」です。
新たに4ブランドがニューオープン・リニューアルされ、惣菜から土産菓子、調味料・だし、加賀麩まで、さまざまな「和の味」が楽しめるようになりました。
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茅乃舎(かやのや)
九州・福岡発のだしと調味料の専門店として人気を集めるブランドです。化学調味料や保存料に頼らない「茅乃舎だし」は、自宅での料理をワンランクアップさせてくれる商品として全国的にファンが増えています。大丸神戸店への出店により、関西圏の利用者がより気軽に「だし文化」を楽しめる環境が整いました。 -
満月
京都の老舗和菓子店として知られ、とりわけ「阿闍梨餅」で有名です。もっちりとした皮としっとりしたあんが特徴の阿闍梨餅は、京都みやげの定番として全国的な知名度を誇ります。大丸神戸店のデパ地下リニューアルでは、この人気銘菓を求める人の列ができることも期待されます。 -
神宗(かんそう)
大阪で創業した塩昆布・佃煮の老舗です。看板商品である塩昆布は、厳選された昆布を長年培ってきた技術で仕上げたもので、ご飯のお供としてだけでなく、贈答品としても高い評価を得ています。関西発の味として、地元客はもちろん、観光客にとっても嬉しいラインアップです。 -
不室屋(ふむろや)
金沢を拠点とする加賀麩の老舗で、伝統的な麩を使った商品を数多く展開しています。お湯を注ぐと色とりどりの具材が広がる「不室屋のお吸い物」などは、手軽で美しい和の一品として人気が高く、ギフト需要も豊富です。大丸神戸店では、日常使いと贈答用の両方で支持を集めそうです。
これら4ブランドの登場により、大丸神戸店のデパ地下は、全国の「和の老舗」が集うフロアとしての魅力をいっそう高めています。日々の食卓を豊かにするアイテムから、手土産・ギフトまで、多彩なシーンに対応できるラインアップが整いました。
「デパ地下」はなぜ人気なのか 大丸神戸店が選ばれる理由
近年、百貨店の中でも「デパ地下」は、特に集客力の高い売り場として注目されています。大丸神戸店の食品フロアがリニューアルによって存在感を増している背景には、次のような理由があります。
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1. 日常と特別感の境目にある楽しさ
デパ地下は、日々の食卓に使える惣菜や食材と、記念日・贈答用のスイーツや高級食材が同じフロアに並ぶ、独特の売り場です。「今日はちょっと贅沢しよう」「手土産を買って帰ろう」といった日常の延長線上にある特別感が、多くの人を惹きつけています。 -
2. 「試して選ぶ」楽しさ
試食や実演販売、季節ごとのフェアなど、目と舌で楽しめる仕掛けが多いのもデパ地下の魅力です。大丸神戸店でも、和洋のスイーツ、惣菜、パンなどの人気ショップと並んで、新たに加わった和の銘店が、味わいの多様性をさらに広げています。 -
3. 神戸らしい「おしゃれな食文化」との相性
神戸は、洋菓子やパンの街として知られ、異国情緒あふれる港町のイメージも相まって、食文化の面でも全国的な知名度があります。そこに今回、和の老舗ブランドが加わることで、「洋と和」がバランス良く揃ったフロア構成となり、神戸らしい多彩な食の楽しみ方ができるようになりました。
このような特徴が、地元のファミリー層から会社員、シニア層、そして観光客に至るまで、幅広い層の支持を集めています。
インバウンドと富裕層需要にどう応えるのか
売上1,000億円超えの要因として挙げられるインバウンドと富裕層は、今後も百貨店にとって重要な顧客層です。大丸神戸店がこれらの需要にどのように対応しているのかを整理してみましょう。
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インバウンドへの対応
観光客向けには、免税手続きのスムーズさ、英語や中国語などによる表示・案内が求められます。また、持ち帰りやすい日本らしいギフト商品も重要です。今回のデパ地下リニューアルで加わった茅乃舎や不室屋などは、「軽くて日持ちがする」「パッケージが美しい」など、インバウンドに好まれる要素を備えています。 -
富裕層への対応
富裕層に対しては、高品質な商品ラインアップに加え、接客の質やプライベート感のある空間が重視されます。大丸神戸店では、ラグジュアリーブランドや高級時計、宝飾、アートなどの売り場に加えて、食品フロアでも贈答用の高級ギフトが充実しており、「百貨店ならではの安心感と品格」が選ばれる理由のひとつとなっています。
こうした取り組みにより、大丸神戸店は、単なる「買い物の場所」を超えて、神戸を訪れる人々の体験の一部として選ばれる存在になりつつあります。
地域の暮らしと観光をつなぐハブとしての役割
大丸神戸店の動きは、神戸という街全体の流れとも密接に関わっています。人口減少や消費行動の変化の中で、百貨店が生き残るには、地域の暮らしと観光をつなぐ「ハブ」としての役割がますます重要になっています。
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地元客にとっての「安心して行ける場所」
長年通い慣れた百貨店は、地元の人にとって「品質への信頼」と「過ごしやすい空間」を兼ね備えた場所です。食品フロアのリニューアルや話題のブランド誘致は、日常の買い物にちょっとした楽しみを添え、「また来たい」と思わせてくれます。 -
観光客にとっての「神戸のショーケース」
観光客にとって百貨店は、その街の食文化やファッション、ライフスタイルを一度に感じ取ることができる場所でもあります。神戸発のブランドと全国の銘店が同じフロアに並ぶことで、「神戸らしさ」と「日本各地の魅力」の両方を体感できるのは、大丸神戸店ならではの強みです。
今後も、イベントやフェア、季節ごとの限定商品などを通じて、地域と観光をつなぐ企画が展開されていくことが期待されます。
百貨店ビジネスのこれからと大丸神戸店の位置づけ
インターネット通販の拡大や消費者ニーズの多様化により、百貨店業界は厳しい環境に置かれてきました。その中で、大丸神戸店が19年ぶりの1,000億円突破という成果を挙げたことは、百貨店ビジネスの可能性を示すものでもあります。
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「モノを売る」から「体験を提供する」へ
ただ商品を並べるだけではなく、ブランドの背景や職人のこだわりを伝えたり、試食・実演・イベントなどの体験を通じて、買い物そのものを楽しんでもらうことが重要になっています。今回の和ブランドの充実も、「日本の食文化を知り、味わう」という体験を提供する試みの一環といえます。 -
リアル店舗だからこその「信頼」と「発見」
ネット通販が便利な一方で、実際に手に取って確かめたい、その場でスタッフに相談したいというニーズは根強く存在します。また、デパ地下を歩いていて「こんなお店があるんだ」と偶然の出会いが生まれることも、リアル店舗ならではの価値です。
大丸神戸店の取り組みは、こうした百貨店の役割を改めて問い直しながら、地域とともに進化していくモデルケースのひとつといえるでしょう。
まとめ:神戸の街に根ざしつつ、さらなる進化へ
大丸神戸店は、19年ぶりの売上1,000億円超えという節目を迎え、さらにデパ地下リニューアルによる和の銘店の充実で、新たなステージへと歩みを進めています。
富裕層やインバウンドの需要を的確にとらえつつ、地元客の日常にも寄り添うことで、「神戸の顔」としての百貨店の役割を再確認する一年となりました。今後も、茅乃舎、満月、神宗、不室屋といった魅力的なブランドをはじめ、多彩なショップとともに、神戸の食と暮らしを豊かに彩っていくことが期待されます。
買い物や贈り物選びはもちろん、「今日はちょっといいものを」と気分転換したい日にも、リニューアルした大丸神戸店のデパ地下は、立ち寄るたびに新しい発見がある場所になりそうです。


