米国で中国系EVの販売禁止へ――「つながる車」規制が広げる波紋

米国政府が、いわゆる「つながる車(コネクテッドカー)」を対象とした新たな規制を打ち出し、中国系の電気自動車(EV)の販売を認めない方針を示しました。さらに、スウェーデン発の高級EVブランド「ポールスター(Polestar)」

「つながる車」規制とは?――コネクテッドカーに焦点を当てた新ルール

今回のニュースの背景には、米商務省が進めているコネクテッドカー向けの安全保障規制

米商務省産業安全保障局(BIS)は、このコネクテッドカーについて、車両に搭載される通信機能やソフトウェア、部品の供給元

重要なのは、車そのものが米国製かどうかにかかわらず

中国系EV販売認めず――狙いは「安全保障」と「産業保護」

ニュース内容1で伝えられている「中国系EVの販売認めず」という方針は、このコネクテッドカー規制の延長線上にあります。米国政府は、電気自動車がネットワークにつながる「走るIT機器」

具体的には、車両に搭載された通信システムやセンサーが、位置情報や映像データなどの大量の情報を収集し、海外に送信できる可能性

同時に、米国自動車業界は、中国メーカーが持つ価格競争力と技術力壊滅的な打撃

そのため、今回の「中国系EV販売認めず」という方針は、国家安全保障上の懸念経済安全保障

ポールスターにも規制――中国メーカーが主要株主のスウェーデンEV

ニュース内容2・3では、スウェーデン発の高級EVブランド「ポールスター」

米商務省がコネクテッドカー規制で問題視しているのは、企業の「所有・支配」関係中国系EVとみなされる可能性

ポールスターのように、中国メーカーが主要株主であるスウェーデンEVに対して「販売を認めない」という方針が打ち出されたのは、まさにこの考え方に基づくものです。米国政府は、ブランドの国籍表示よりも、背後にいる資本や技術の出どころ

さらに、規制には猶予期間が設けられており、ソフトウェアについては2027年モデルから2030年モデルから

なぜEVが標的に?――中国の存在感と米国の危機感

米国政府がここまで電気自動車(EV)

  • EVサプライチェーンにおける中国の圧倒的な存在感
    バッテリー原材料の採掘・精錬から、セル生産、完成車の組み立てまで、中国企業はEVサプライチェーンの多くの段階で高いシェアを持っています。米国は経済安全保障の観点から、こうした依存度を下げる政策を続けてきました。
  • 安価で高性能な中国製EVへの米消費者の関心
    米国では、中国製EVが比較的低価格で高機能なことから、若い世代を中心に関心が高まっているという調査もあります。もし規制がなければ、中国ブランドのEVが急速に市場シェアを拡大する可能性があると見られています。
  • 税制や補助金による「中国排除」の流れ
    米政府はすでに、EV購入者向けの税優遇制度から、中国製バッテリーや中国企業の素材を使った車を対象外とする方針を打ち出しています。今回のコネクテッドカー規制は、この流れをさらに強めるものです。

こうした政策により、米国政府は「EVシフトを進めつつ、中国依存を減らす」

米国市場での中国製EVの現状とこれから

現時点では、米国で直接販売されている中国ブランドのEVはまだごく限定的メキシコや南米など別市場

しかし、テキサス州などにおいては、メキシコで購入した中国製車が街を走っている様子が報じられるなど、国境をまたいだ販売・利用

今回の「つながる車」規制が本格的に導入されれば、中国から直接輸入されるEVだけでなく、中国企業が部品やソフトウェアを供給している他国ブランドのEV

日本や他国への影響――世界のEVビジネスに広がる波

米国のこうした動きは、日本を含む他国の自動車メーカーやEVビジネスにも、少なからず影響を与えます。

  • 部品調達の見直し
    日本や欧州のメーカーであっても、コスト面や技術面から中国製のバッテリーや電子部品、ソフトウェアを採用しているケースは少なくありません。米国向けの車両については、今後、調達先を変更するなどの対応が求められる可能性があります。
  • サプライチェーンの再構築
    2027年モデル以降のソフトウェア、2030年モデル以降の部品が規制対象になることで、各社は中長期のサプライチェーン戦略
  • ブランド戦略・資本構成への影響
    ポールスターのように、中国メーカーが主要株主となっているブランドは、米国市場での事業継続が難しくなるため、資本構成や事業戦略の再検討を余儀なくされるかもしれません。

EV市場は、環境政策だけでなく、安全保障・産業政策・国際政治

今後の焦点――安全と競争、両立への道はあるのか

今回のニュースは、米国が中国系EVや中国資本の入った海外ブランドEVを安全保障上のリスクとみなし、段階的に市場から排除しようとしている

つまり、米国は「環境政策」と「安全保障・産業保護」の間で難しいバランス調整

電気自動車は、単なる新しい乗り物ではなく、「走るコンピューター」かつ「巨大なデータ端末」

今回の「つながる車」規制と中国系EV販売禁止の動きは、その象徴的な一歩と言えます。今後、各国がどのようなルールを整え、どのように他国メーカーと付き合っていくのか。EVをめぐる国際ルールづくりは、環境と安全、自由な競争と国の守りをどう両立させるかを考えるうえで、大きな試金石となりそうです。

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