「起きた瞬間に世界が見える」──慢性ドライアイに悩んだ林ゆめさんが選んだICLという選択

「コンタクトを外した途端、世界がぼやける。目は常に乾いてつらい」──そんな悩みを抱える人は、日本でも決して少なくありません。高校生の頃から慢性的なドライアイに苦しんできたタレントの林ゆめさんも、そのひとりでした。コンタクトなしでは生活が成り立たない一方で、コンタクトそのものがドライアイを悪化させる原因にもなりうるというジレンマの中で、林さんが選んだのがICL手術(眼内コンタクトレンズ手術)です。

この記事では、林ゆめさんのエピソードを手がかりに、慢性ドライアイとICL手術の関係、そして同じような悩みを抱える人が知っておきたいポイントを、できるだけわかりやすく丁寧に解説します。

高校生の頃から続いた「慢性ドライアイ」という悩み

ドライアイは、涙の量や質が低下し、目の表面が十分に潤わない状態が慢性的に続く病気です。日本眼科医会は、ドライアイを「生活の質(QOL)を落とす慢性の疾患」であり、完治ではなく上手に付き合いながら症状をコントロールしていく病気だと説明しています。

林ゆめさんは、高校生の頃から慢性的なドライアイに悩まされてきました。コンタクトレンズを装用していると目の乾燥が強まり、長時間の装用や空調がきいた室内、スマートフォンやパソコンの長時間利用など、現代的な生活環境がさらに症状を悪化させます。

ドライアイの主な症状として、次のようなものが知られています。

  • 目の乾き・ゴロゴロした違和感
  • 充血や痛み
  • かすみや見えにくさ
  • 光がまぶしく感じる
  • 長時間の作業で目がすぐ疲れる

このような症状は、コンタクトレンズユーザーに特に起こりやすく、コンタクトレンズそのものがドライアイの悪化要因の一つになることも多くの眼科で指摘されています。

ドライアイを悪化させた「コンタクトレンズ生活」の不便さ

林さんがICL手術を受けようと考えたきっかけは、コンタクトによるドライアイと日常の不便さでした。コンタクトレンズは視力矯正に非常に便利なツールですが、ドライアイの人にとっては負担になることがあります。

コンタクトレンズがドライアイを悪化させる主な理由として、以下のような点が挙げられます。

  • 角膜上にレンズが乗ることで涙の層が乱れやすくなる
  • 長時間装用により、涙の蒸発量が増える
  • レンズの汚れやフィッティング不良により、刺激が増す

実際、多くの眼科は「コンタクトレンズの使用はドライアイの悪化要因になりうる」とし、ドライアイの患者の中には、コンタクトをやめることで症状が軽くなるケースがあると説明しています。

林さんも、仕事やプライベートでコンタクトが欠かせない一方で、飛行機移動などの乾燥した環境や長時間の撮影の場面では、強い乾きや不快感に悩まされていたといいます。コンタクトの装着とドライアイのつらさを天秤にかける生活は、決して楽なものではありません。

「起きた瞬間に世界が見える」──ICL手術を選んだ理由

そんな中で林さんが選んだのがICL手術でした。編集部とのインタビューで彼女は、ICL手術を受けようと思った理由として、コンタクトによるドライアイのつらさと、見えない不便さから解放されたいという思いを挙げています。

ICL(Implantable Collamer Lens)は、眼の中に小さなレンズを埋め込む視力矯正手術で、「眼内コンタクトレンズ」と呼ばれることもあります。レーシックのように角膜を大きく削るのではなく、角膜に約3mmほどの小さな切開を行い、レンズを挿入するという方法です。

大きな特徴は次の通りです。

  • 角膜を広範囲に削らないため、角膜へのダメージが少ない
  • レンズは取り外し可能で、将来視力が変化した場合などにも対応しやすい
  • 術後の見え方の質が高く、夜間の見え方も安定しやすいとされる

林さんが口にした「起きた瞬間に世界が見える」という言葉は、ICL手術の最大のメリットである裸眼での良好な視力を象徴しています。朝起きてすぐに時計が読める、風呂場やプールでも視界がクリア、コンタクトを入れる・外すという手間から解放される──そんな日常の変化が、彼女の言葉からも伝わってきます。

ドライアイでもICL手術は受けられるのか?

ドライアイの人にとって、視力矯正手術はハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、複数の専門クリニックや眼科医の解説では、「ドライアイの方でもICL手術を受けることは可能」と明記されています。

特にポイントとなるのは、次のような点です。

  • ICL手術によって新たにドライアイになったり、悪化することは基本的にない
  • 角膜の切開は約3mmと非常に小さく、涙の分泌量や質に大きな影響を与えないとされる
  • ICLは角膜を広範囲に削らないため、角膜の神経へのダメージが少なく、涙の分泌に影響しにくい

ももの木眼科や複数のクリニックの説明では、「ICL手術によってドライアイになることは基本的にはない」という結論が繰り返し強調されています。

一方で、手術直後には切開や術後の点眼などの影響により、一時的に目の乾燥感や違和感が出ることはあるとされています。このような場合は、処方された点眼薬や保湿ケアによって症状をやわらげることが可能です。

ICLは「ドライアイの治療」ではないが、コンタクトが原因なら症状が軽くなることも

ここで重要なのは、ICL手術そのものがドライアイを直接治す手術ではないという点です。中京眼科など複数の施設は、次のように明確に述べています。

  • ICLは涙の量を増やしたり、涙の質を変えたりする手術ではない
  • そのため、ドライアイの症状を手術によって完治させることはできない

日本眼科医会も、ドライアイが完治というよりは、点眼などの治療を続けながらコントロールしていく慢性疾患であることを強調しています。つまり、ICLを受けてもドライアイへのケアは引き続き必要になります。

ただし、ドライアイの原因の一つがコンタクトレンズである場合、ICLによってコンタクトレンズ装用が不要になることで、結果的にドライアイ症状が軽減するケースがあると説明されています。

中京眼科やよしだ眼科クリニックの解説では、次の点が示されています。

  • コンタクトレンズがドライアイの悪化原因である場合、コンタクトをやめることで症状が改善することがある
  • ICL手術により裸眼で生活できるようになれば、コンタクトによる乾燥の負担がなくなる

林ゆめさんの場合も、高校生の頃から続いていたコンタクトによる慢性的なドライアイのつらさから解放されることが、ICLを選択した大きな理由のひとつだったと考えられます。ICLはドライアイの治療ではなく視力矯正の手段ですが、コンタクト依存から離れることで、ドライアイの悩みが軽くなった可能性は十分にあります。

ドライアイと向き合い続けるための基本的なケア

ICL手術を受けて視力が改善しても、ドライアイそのものが消えてなくなるわけではありません。ドライアイに悩む人が長く目の健康を保つためには、日々のケアと生活習慣の見直しが欠かせません。

眼科医が推奨するドライアイ対策には、次のようなものがあります。

  • 処方された目薬を指示どおりに使い続ける:潤いを補う点眼薬は、初期~軽度のドライアイの症状緩和に有効です
  • エアコンの風を直接目に当てない:空調の風は涙を蒸発させ、乾燥を進めます
  • 長時間のスマホやパソコン使用を避ける:まばたきの回数が減り、涙の補充が追いつかなくなります
  • 意識的にまばたきを増やす:画面を見続けているときは、意識的にまばたきをすることで潤いを保てます
  • 乾燥しやすい環境では加湿する:室内の湿度を保つことで、涙の蒸発を防ぎます

さらに、症状が強い場合には、点眼薬だけでなく涙点プラグIPL光線療法などの治療が行われることもあります。涙点プラグは涙の出口を小さな栓でふさぐことで、目の中に涙をとどめる治療法です。また、IPL光線療法では、まぶたの縁にある油を分泌する「マイボーム腺」の働きを改善し、涙の質を整えることでドライアイ症状の改善を目指します。

このように、ドライアイは症状に応じてさまざまな治療や対策が存在し、視力矯正とは切り離して考える必要がある病気です。ICL手術を受ける場合も、術前・術後を通じて、ドライアイの状態に応じたケアが行われます。

ICL手術を考える人が知っておきたいポイント

ドライアイに悩み、コンタクトレンズの生活から抜け出したいと考えている人にとって、林ゆめさんのエピソードは現実的な選択肢のひとつとしてのICLを示してくれます。ただし、実際にICL手術を検討する際には、次のポイントを押さえておくことが大切です。

  • ドライアイの人でもICL手術は原則として可能だが、症状が強い場合は先にドライアイ治療が必要になることがある
  • ICL手術自体はドライアイを直接治すものではないが、コンタクトレンズをやめられることで症状が軽くなる場合がある
  • 手術後しばらくは、一時的な乾燥感や違和感が出る可能性があり、処方された目薬や生活上の注意が重要になる
  • ドライアイは慢性疾患であり、ICL後も引き続きケアや定期的な眼科受診が必要になる

ICLは、レーシックなど他の屈折矯正手術とは仕組みが異なり、角膜を広範囲に削らないことからドライアイリスクが抑えられやすい治療と説明されています。それでもなお、すべての人にとって最適な選択肢とは限りません。自分の目の状態やライフスタイル、将来の変化まで含めて、眼科専門医とよく相談しながら判断していくことが勧められます。

林ゆめさんが語った「起きた瞬間に世界が見える」という感覚は、ICL手術がもたらす視力の変化を象徴する言葉です。しかしその裏側には、高校生の頃から続いたドライアイのつらさ、コンタクトレンズとの付き合い、そして眼科医と相談しながら新しい一歩を踏み出した過程があったはずです。

同じようにドライアイと視力の悩みを抱える人にとって、彼女の選択は、「必ずしもコンタクトだけが答えではない」ことを教えてくれます。大切なのは、情報を集め、専門家の意見を聞き、自分の目にとっていちばん良い道を選ぶこと。そのひとつの答えとして、ICLという選択肢が今、注目を集めています。

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