杉良太郎、「生涯献身」を誓う国立ハンセン病療養所慰問コンサート 多磨全生園で届けた歌と祈り

厚生労働省特別健康対策監を務める歌手・俳優の杉良太郎さん(81)が、東京・東村山市にある国立ハンセン病療養所多磨全生園 ハンセン病という、今では完治する病気でありながら、長い間差別と偏見に晒され続けてきた入所者やご家族に寄り添い、「皆さんの思いを何とか晴らしたい」という強い願いとともに歌を届けた一日でした。

全国13か所のハンセン病療養所を巡る「全国慰問」の一環

杉良太郎さんは、2026年5月から、全国に13か所ある国立ハンセン病療養所 鹿児島・奄美市の奄美和光園星塚敬愛園

このたびの多磨全生園 東京都東村山市にある多磨全生園は、長い歴史の中で多くの方々がハンセン病と、そして社会の差別意識と向き合ってきた場所です。そこへ足を運び、歌を通して心を通わせることは、杉さんにとっても特別な意味を持つ取り組みだと言えます。

妻・伍代夏子、瀬川瑛子も共演 温かなステージ

この日の慰問コンサートには、杉さんの妻で演歌歌手の伍代夏子 伍代さんは厚生労働省の「知って、肝炎プロジェクト」など、長年にわたり社会貢献活動に取り組んできたことで知られています。杉さんの活動を、公私にわたって支えてきた存在でもあります。

さらに、同じく演歌歌手の瀬川瑛子 三人が並んだステージは華やかでありながら、あくまで入所者に寄り添う、あたたかい空気に包まれていたと伝えられています。

名曲「すきま風」を熱唱 歌に込めた思い

杉良太郎さんといえば、代表曲の「すきま風」 この日も、そのヒット曲「すきま風」をはじめ、数々の名曲を熱唱。入所者の方々は、懐かしいメロディーに合わせて手拍子を送ったり、目を潤ませながら耳を傾けたりしていたと伝えられています。

杉さんは、鹿児島・星塚敬愛園での慰問公演でも「すきま風」を披露しており、その際には入所者から大きな拍手と歓声が上がりました。
長い時間を療養所で過ごしてきた方々にとって、昭和の歌謡曲は青春時代や家族との記憶につながる大切な音楽でもあります。そうした曲を選び、「懐かしい時間」を共有すること自体が、心のケアにもつながっています。

「皆さんの思いを何とか晴らしたい」生涯献身の決意

ハンセン病は、今では治療法が確立した完治する病気 療養所に入った方の中には、退所後も地域からの偏見に直面し、住民登録や就職など、生活のあらゆる場面で困難を抱えてきた方も少なくありません。

こうした歴史を踏まえ、杉さんは「完治する病気でありながら長らく差別に苦しんだ入所者や家族のために、皆さんの思いを何とか晴らしたい」と話し、全国慰問を続ける決意を新たにしています。
5月中旬に鹿児島の療養所を訪れた際には、「差別し偏見を持つ世の中に、死ぬまで闘い抜きたい」と強い言葉で語り、この問題に生涯をかけて向き合う覚悟を示しました。

また、過去にはハンセン病患者の方々との交流を通じ、「結婚しても子供はつくれなかった」「家族が社会から偏見を受け続けた」といった切実な体験談を、真剣な表情で聞き取ってきたことも伝えられています。
そうした声に何度も触れる中で、杉さんの「生涯献身」という言葉は単なるスローガンではなく、実際に現場に通い続ける行動として裏付けられてきました。

芸能活動と福祉活動を両立させる杉良太郎

杉良太郎さんは、時代劇やドラマで活躍してきた俳優であり、ヒット曲を数多く持つ歌手でもあります。
一方で、長年にわたり刑務所慰問や福祉活動、海外支援など、多方面で社会貢献を続けてきたことでも広く知られています。

厚生労働省の特別健康対策監 その背景には、「芸能人である前に、一人の人間として社会に役立ちたい」という思いがあると語られています。

今回の多磨全生園での慰問コンサートは、こうした長年の取り組みの延長線上に位置づけられるものです。
ステージに立ち、歌を届けることはもちろん、入所者一人一人に声をかけることや、過去の出来事に耳を傾けることも、杉さんにとっては大切な役割となっています。

続いていく全国慰問 駿河療養所など各地でのコンサート

5月以降、杉さんは鹿児島の奄美和光園や星塚敬愛園を訪れ、6月には静岡県の国立ハンセン病駿河療養所 駿河療養所での公演には、伍代夏子さんや前田さんらが参加し、「3人で慰問コンサートでした」とのメッセージがSNSにも投稿されています。

こうして一つひとつの療養所を巡り、歌を届け続ける中で、入所者との絆は少しずつ深まってきています。
ある入所者からは、「ここに居ると、世の中から忘れられたような気持ちになることもある。でも、わざわざ来てくれることが本当にうれしい」という声も寄せられています。

全国13か所の療養所を回り切るまでには時間がかかりますが、杉さんは「自分の体が動く限り、何度でも足を運びたい」との思いで活動を続けています。

ハンセン病への理解を広げるために

ハンセン病は、かつて日本で「らい病」と呼ばれ、患者の方々に対する隔離政策や、家族を含めた差別が長く続きました。
近年は国の謝罪や補償、名誉回復の取り組みが進められ、療養所の歴史や入所者の歩みを伝える資料館なども整備されていますが、まだ偏見や誤解が残っているのも事実です。

杉さんのように、芸能界の第一線で活躍してきた人がハンセン病について語り、療養所を訪問することは、多くの人に関心を持ってもらうきっかけになります。
「完治する病気であること」「感染力が極めて弱く、適切な治療で社会生活を送れること」「不当な差別や偏見が、どれほど多くの人々を傷つけてきたか」といったポイントを、やさしい言葉で伝えていくことが重要です。

また、入所者の方々の高齢化が進む中で、「自分たちが生きているうちに、少しでも偏見がなくなってほしい」と願う声も多く聞かれます。
その願いを受け止め、「皆さんの思いを何とか晴らしたい」と行動する杉さんの姿は、多くの人の心に響いています。

やさしい歌とまなざしがつなぐ「希望」

多磨全生園での慰問コンサートでは、笑顔で手を振る入所者に対して、杉さんが一人ひとり丁寧に応える姿が見られました。
ステージから降りて声をかける場面もあり、「お体を大切にしてくださいね」「また必ず来ます」といった言葉が交わされたといいます。

音楽には、過去を思い出させる力だけでなく、心を軽くしてくれる不思議な力があります。
長い年月、療養所で生活してきた方々にとって、慰問コンサートは「日常の中に訪れる特別な一日」であり、同時に「自分たちは決して忘れられていない」と感じられる大切な時間でもあります。

「生涯献身」を掲げ、全国の療養所に足を運ぶ杉さんの取り組みは、ハンセン病への理解を広げるだけでなく、人が人を思いやることの尊さを私たちに教えてくれています。
偏見や差別のない社会をめざし、優しい歌とまなざしが、静かに、しかし確実に希望のバトンをつないでいると言えるでしょう。

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