欧州中央銀行、インフレ加速で追加利上げへ 運用大手は「1回で終わる」と慎重姿勢

欧州中央銀行(ECB)が、インフレの加速を受けて利上げに踏み切る見通しです。いっぽうで、JPモルガン・アセット・マネジメントなどの運用大手の間では、追加利上げは「1回で終わる」との懐疑論も強まっており、今後の金融政策をめぐる見方は分かれています。

ECBは、欧州で続く物価上昇への対応を急いでいます。背景にあるのは、エネルギー価格の高止まりです。エネルギーコストが再び物価全体を押し上げており、欧州中銀はインフレ抑制を優先して政策金利を引き上げる構えです。理事会は10日、11日に開かれる予定で、そこで金融政策の方向性が示される見通しです。

今回の利上げ観測は、市場にとって大きな注目材料となっています。ECBはこれまでも物価安定を最優先に掲げてきましたが、今回の局面では、景気への配慮よりもインフレ抑制を前面に出す可能性が高まっています。とくにエネルギー価格の上昇は、企業のコスト増だけでなく、家計の負担増にも直結するため、政策対応の必要性が強く意識されています。

ただし、運用会社などの市場関係者の間では、今回の利上げが「継続的な引き締め局面の始まり」になるかどうかには慎重な見方があります。JPモルガン・アセット・マネジメントなどは、追加利上げがあっても1回で止まる可能性を指摘しており、ECBが今後も連続して利上げを行うかは見通しにくい状況です。景気の減速リスクや金融市場への影響を踏まえると、ECBが強い引き締めを長く続ける余地は限られるとの見方があるためです。

欧州経済は、インフレ抑制と景気下支えの両立という難しい課題を抱えています。物価を抑えるために金利を上げれば、企業や個人の借り入れコストが増え、景気を冷やすおそれがあります。一方で、金利を据え置けば、物価上昇が長引く可能性があります。ECBはこのバランスの中で、どこまで踏み込むかを判断する必要があります。

今回の焦点は、ECBが今回の利上げを単発の対応として位置づけるのか、それとも今後も追加の引き締めを視野に入れるのかという点です。市場では、インフレ率の動きやエネルギー価格の先行き、欧州域内の景気指標などを見ながら、ECBの次の一手を探る展開が続きそうです。

エネルギー高が続けば、インフレ圧力は残りやすくなります。そのため、今回の理事会で示される声明文や総裁会見の内容は、今後の金融政策を占ううえで特に重要になります。市場参加者は、利上げの有無だけでなく、その後の政策スタンスや物価見通しの修正にも強い関心を寄せています。

ECBの判断は、ユーロ圏全体の資金調達環境や為替、株式・債券市場にも影響を与える可能性があります。とくに、金利上昇局面では国債利回りの変動が大きくなりやすく、企業の投資計画や住宅ローン金利にも波及します。金融政策の転換点にあるだけに、今回の会合は欧州経済の先行きを左右する重要なイベントとなりそうです。

いまのところ、ECBはインフレの再加速に対して強い警戒感を示しており、利上げへ向かう流れが意識されています。ただ、市場では「追加利上げは1回で終わる」とみる声も根強く、今後はインフレ抑制の効果と景気への副作用を見極めながら、慎重な政策運営が求められます。

参考元