日産、英国のeアクスル計画を撤回 欧州のEV減速で戦略見直し

日産自動車(7201)が、英国サンダーランドで進める予定だった電気自動車(EV)向け主要部品「eアクスル」の生産計画を取りやめたことが分かりました。欧州でEV販売の伸びが鈍るなか、現地生産を前提にしていた部品戦略を見直した形です。

報道によると、この計画は日産の駆動系子会社ジャトコ(Jatco)を通じて進められており、当初は英国での供給体制を強化する狙いがありました。しかし、日産は需要環境の変化を受けて計画を停止し、eアクスルは日本から調達する方向に切り替えるとされています。

サンダーランド計画はなぜ止まったのか

背景にあるのは、欧州でのEV販売の減速です。報道では、日産のEVであるリーフやアリアの販売が伸び悩み、市場シェアも縮小していることが指摘されています。こうした状況では、現地に新工場を建てて大規模投資を行うより、既存の供給網を使ったほうがリスクを抑えやすいと判断したとみられます。

計画では、日産が約90億円を投じ、年間約34万台規模のeアクスル生産能力を持つ工場を英国に整備する構想があったと報じられています。ところが、その後まもなく計画は止まり、部品の生産地を日本に戻す形となりました。

「英国でのEV生産」は続く見通し

一方で、今回の見直しは、英国でのEV組み立てそのものをやめるという意味ではありません。報道では、日産はサンダーランドでの電気自動車生産計画は維持するとされており、部品供給の部分だけを再編する動きだと伝えられています。

つまり、工場の役割を「部品を現地でつくる」から「完成車の生産を支える」に近づける判断とも言えます。販売の先行きが読みにくい局面では、こうした柔軟な調整が企業に求められます。

新型リーフに広がる不安の声

関連して注目されているのが、欧州で展開される新型リーフです。今回のニュース見出しにもある「新しい日産リーフに何が起きているのか」という話題は、欧州市場での販売環境や商品力への懸念を示すものとして受け止められています。直接の詳細は限られますが、少なくとも現時点では、リーフを含む日産EVが欧州で強い追い風を受けている状況ではないことがうかがえます。

EV市場は各地域で成長のテンポが異なり、補助金制度や充電インフラ、競争環境の影響を強く受けます。欧州はEV先進市場として見られてきましたが、需要が一服すれば、メーカーは投資計画を慎重に組み直さざるを得ません。

ジャトコの英国BEVパワートレイン計画も撤回

今回の流れでもう一つ重要なのが、ジャトコによる英国でのBEVパワートレイン生産計画も取り下げられたとする報道です。eアクスルはEVの走行に関わる中核部品であり、その生産計画の停止は、日産グループ全体で欧州向けの電動化投資を抑える姿勢を示しています。

部品工場の建設は、完成車工場以上に長期の需要見通しが重要です。もし販売台数が想定より伸びなければ、稼働率が上がらず、投資回収が難しくなります。今回の判断は、そうした経営上のリスクを避けるためのものと受け止められています。

日産の今回の判断が示すもの

今回の動きは、日産が欧州でのEV戦略を縮小したというより、需要に合わせて設計し直したという性格が強いと考えられます。完成車の生産は続けつつ、部品の現地生産は一度止め、日本からの供給に切り替えることで、投資負担を抑える狙いがあるためです。

自動車業界では、EVシフトが長期テーマである一方、短期的には市場の波が大きく、計画変更が相次いでいます。今回の日産の英国eアクスル計画撤回も、その不透明さを象徴する出来事と言えます。

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