下久保ダムの貯水量減少で10%取水制限へ――埼玉・群馬で節水が急務に
埼玉県と群馬県にまたがる下久保ダムで、貯水量の減少が深刻になっています。昨年2025年8月ごろから降水量の少ない状態が続いており、その影響でダムの水が大きく減ってしまいました。この状況を受けて、下久保ダムを水源とする地域では、水道用水などを対象に10%の取水制限が実施されることになりました。
この記事では、現在の下久保ダムの状況、なぜ水不足になっているのか、どのような地域や生活に影響が出るのか、そして私たちにできる節水の工夫について、できるだけわかりやすくお伝えします。
下久保ダムとは?どんな役割を持つダムなのか
下久保ダムは、群馬県に位置し、埼玉県と群馬県をまたぐ形で設置されている多目的ダムです。利根川水系の一つである神流川に建設され、次のような役割を担っています。
- 水道用水の供給:埼玉県内を中心に、多くの地域へ飲み水を届ける重要な水源
- 工業用水・農業用水:工場や農地にも安定した水を供給
- 洪水調節:大雨の際に水を一時的にため、下流域の洪水被害を減らす役割
このように、下久保ダムは、私たちの生活用水・産業・防災を支える重要なインフラです。そのダムの水が減っているということは、地域の暮らし全体にかかわる大きな問題と言えます。
貯水率は28.8%に低下――平年の3割程度の降水量
現在、下久保ダムの貯水率はおよそ28.8%と発表されています。これは、ダムにためられる水の量(有効貯水量)のうち、約3割しか水がない状態ということです。通常であれば、春から初夏にかけては、雪解け水や雨によって貯水量が回復していく時期ですが、今回はそうなっていません。
その原因として大きいのが、降水量の不足です。報道によると、昨年(2025年)8月ごろから雨の少ない状態が続いており、特に今年5月は、平年の約3割程度の降水量にとどまっています。つまり、例年に比べて雨が約3分の1しか降っていない状況で、ダムに流れ込む水が極端に少なくなっているのです。
降水量が少ない状態が長期間続くと、ダムの水は、水道や農業などで日々使われて減っていく一方で、補給される水が足りないため、貯水率はじわじわと下がってしまいます。今回の貯水率28.8%という数字は、こうした「じわじわとした水不足」が続いた結果といえます。
埼玉県で10%の取水制限へ――水道用水などが対象
貯水量の減少が続く中、埼玉県は水道用水などを対象に10%の取水制限を行う方針を示しました。これは、下久保ダムから取り出す水の量を、通常より10%減らすという措置です。
取水制限は、いきなり蛇口から水が出なくなるというものではありませんが、水の使い方を見直す必要がある段階に入ったことを意味します。水道事業者などが水の運用を工夫しながら、なるべく生活への影響が少なくなるよう調整しますが、長引けば一般家庭や企業にも、さまざまなかたちで影響が出てくる可能性があります。
群馬県藤岡市でも26日から取水制限を開始
下久保ダムは群馬県側の自治体にも水を供給しているため、群馬県藤岡市でも、ダムの貯水量減少を受けて26日から10%の取水制限を実施すると発表されています。
藤岡市にとっても、下久保ダムは重要な水源の一つです。ダムの水が減れば、同市の水道用水や農業用水などにも影響が及びます。そのため、埼玉県だけでなく、群馬県側の自治体も足並みをそろえて節水に取り組む姿勢を示しています。
このように、今回の取水制限は、一つの県や市だけの問題ではなく、流域全体の問題として捉えられています。
「節水に御協力ください!」――渇水情報の発信が本格化
各自治体や関係機関は、今回の状況を受けて、「節水に御協力ください!」という呼びかけを行っています。いわゆる渇水情報として、貯水率の推移や、取水制限の内容・期間などを住民に知らせる情報発信が本格化しています。
渇水情報の発信は、単なる注意喚起にとどまらず、住民一人ひとりに「水は有限であり、大切に使う必要がある」という意識を持ってもらうための大切な取り組みです。情報を早めに共有することで、住民も心構えをし、家庭や職場での水の使い方を見直しやすくなります。
私たちの生活にはどんな影響があるのか
では、今回の取水制限や水不足は、私たちの生活にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。現時点で考えられる影響を、わかりやすく整理してみます。
- 水道水の使用量の抑制
行政や水道事業者から、家庭や事業者に向けて、節水の呼びかけが一層強まることが予想されます。現時点で水圧が極端に下がるなどの直接的な変化が起きていない場合でも、今後の状況によってはさらなる対策が必要になる可能性があります。 - 農業への影響
ダムの水は農業用水としても使われています。田植えや野菜の栽培に必要な水が十分に確保できなくなると、作付けの調整や、水を使うタイミングの制限などが行われることもあります。 - 工業・企業活動への配慮
工場など水を多く使う事業所では、操業に支障が出ない範囲で、節水設備の活用や洗浄回数の削減などの取り組みが求められる場合があります。 - レジャー・観光への影響
ダム湖周辺は観光やアウトドアの場としても利用されていますが、水位が下がることで、景観やボート等の利用に制限が出る可能性もあります。
現時点では「緊急事態」という状況ではなくとも、今のうちから水を大切に使うことが、これ以上状況を悪化させないために重要です。
家庭でできる具体的な節水のポイント
「節水」と聞くと、「生活が不便になる」「我慢が必要」と感じる方もいるかもしれません。しかし、少しの工夫で、普段とあまり変わらない生活のまま水の使用量を減らすことも十分可能です。ここでは、家庭で今日からできるやさしい節水の工夫をいくつかご紹介します。
- 蛇口はこまめにしめる
歯みがきや洗顔のとき、水を流しっぱなしにしないだけでも、1日に使う水の量は大きく変わります。コップに水をくんで歯みがきをするだけでも、かなりの節水になります。 - お風呂の使い方を見直す
シャワーの時間を短くしたり、家族でお風呂のお湯を続けて使うなどの工夫が有効です。シャワーを出しっぱなしにせず、こまめに止めることで、かなりの量を節約できます。 - 洗濯はまとめて行う
できるだけ洗濯物をまとめて、洗濯機を回す回数を減らすと、使う水の量も減ります。お風呂の残り湯を洗濯に利用するのも、古くからある有効な方法です。 - 食器洗いはため洗いに
流水で食器を洗うと、多くの水を使ってしまいます。洗い桶やシンクに水をためて洗う「ため洗い」に切り替えるだけで、節水効果が期待できます。 - 庭や植物への水やりの時間帯を工夫
日中の暑い時間帯に水やりをすると、すぐに蒸発してしまいます。朝夕の涼しい時間に行うことで、水の無駄を減らすことができます。
これらの取り組みは、どれも大きな負担を伴わないものばかりですが、多くの家庭が少しずつ意識することで、全体としては非常に大きな節水効果につながります。
地域全体で「水を守る」意識を高めることが大切
今回の下久保ダムの貯水量減少は、自然の状況――特に降水量の不足――によって引き起こされたものです。しかし、同じような気象条件でも、私たち一人ひとりが水の使い方に気を配ることで、水不足の影響を軽減することはできます。
行政や自治体は、取水制限や渇水情報の発表という形で、地域の水を守るための対策を進めています。一方で、住民には、日々の生活の中でちょっとした節水を積み重ねていく役割があります。どちらか一方だけではなく、両方が連携していくことで、厳しい水の状況も乗り越えやすくなります。
水は、飲むだけでなく、料理、掃除、洗濯、入浴など、生活のほぼすべての場面で使われています。今回のニュースをきっかけに、普段はあまり意識することのない「水の大切さ」について、あらためて家族や周りの人と話し合ってみるのもよいかもしれません。
今後の情報に注意しながら、無理のない節水を
今後、下久保ダム周辺でまとまった雨が降れば、貯水率が回復する可能性もありますが、少なくとも現時点では、水を大切に使う意識を持ち続けることが重要です。自治体や水道局などから発表される最新の情報に注意しながら、無理のない範囲で節水を心がけていきましょう。
いつも当たり前のように蛇口から出ている水は、多くの人の努力と、自然の恵みによって支えられています。下久保ダムのニュースは、そのことを私たちに静かに教えてくれていると言えるのかもしれません。



