台湾の「5000元旅行補助金」は誰もがもらえるわけではない？誤情報と実際の仕組みを徹底解説
最近、SNSやインターネット上で「東南アジアの観光客が台湾に到着すると誰もが5000台湾元（約22,000円）の旅行補助金をもらえる」という情報が広がっていますが、これは誤解です。台湾観光署が実施している観光誘致キャンペーンの仕組みを正しく理解することが大切です。
話題の「台湾ラッキーランド」キャンペーンとは
台湾観光署が実施している「Taiwan the Lucky Land（遊台灣金福氣）」キャンペーンは、2023年5月1日から2025年9月30日までの期間中に台湾に到着する外国からの個人旅行者を対象とした観光誘致施策です。このキャンペーンの目玉として、5,000台湾元（日本円にして約22,000円相当）の消費金を抽選でプレゼントするという企画が実施されています。
台湾政府がこのような太っ腹な施策を打ち出した背景には、新型コロナウイルスの影響で減少した外国からの観光客を呼び戻し、観光産業を活性化させたいという強い意思があります。2024年の訪台日本人旅行者数は約131万9千人で、コロナ禍前の2019年比でまだ42.2％の水準にとどまっており、観光客の回復が急務だったのです。
よくある誤解：「入境したら誰もがもらえる」は間違い
最も重要な誤解は、このキャンペーンが「抽選形式」であることです。つまり、台湾に到着したすべての観光客が自動的に5000元をもらえるわけではなく、参加登録をした上で抽選に当選した人だけが受け取ることができるのです。
参加登録は入国後に空港の専用ブースで事前申請が必要で、その後にはじめて抽選対象となります。2024年は約15万人、2025年は約10万人の当選枠が用意されており、これは台湾を訪れるすべての観光客に配布するものではなく、限定的な枠の中での抽選ということになります。
実際に対象となる観光客の条件
このキャンペーンに参加できるのは、以下のすべての条件を満たす観光客に限定されています。
対象者の条件：
- 個人旅行客のみ（団体ツアーの参加者は対象外）
- 中華民国（台湾）以外のパスポートを保有する外国人
- 台湾での滞在期間が3日以上90日以内（事前登録の仕様により、1泊で3日扱いとなる場合もあります）
- キャンペーン期間中（2025年9月30日まで）に台湾に到着
つまり、団体ツアーで台湾を訪れる観光客やクルーズ船で来台する人、台湾のパスポート保有者は、このキャンペーンの対象外となります。
当選者には何がもらえるのか
抽選に当選した観光客には、5,000台湾元相当の電子マネーまたはホテル消費用の電子クーポンがその場で提供されます。つまり、現金で受け取るのではなく、台湾国内での消費に限定された形での補助となります。この仕組みにより、台湾の飲食店やホテル、小売店などの観光関連産業への経済的な波及効果を最大化する工夫がされているのです。
団体ツアー客への別の支援制度
キャンペーンサイトで配布されるのは個人旅行客のみですが、台湾政府は団体ツアー客向けの別の支援制度も用意しています。2025年11月30日までの期間中、台湾に2泊3日以上、かつ4人以上で滞在する団体旅行に対して、団体人数と旅程日数に応じて5,000から50,000台湾元までの奨励助成金が支給されます。ただし、これはツアーを企画・受け入れする旅行会社への直接支給であり、一般の観光客が現地で直接受け取るものではありません。
今からでも参加できるのか
記事執筆時点の現在（2025年11月28日）では、キャンペーンはまだ継続中です。キャンペーン終了予定日の2025年9月30日は既に過ぎていますが、最新情報によると期間が延長されている可能性があります。台湾への個人旅行を検討している方は、台湾観光署の公式ウェブサイトで最新情報を確認した上で、キャンペーンサイトで事前登録を行うことをお勧めします。
正しい情報を理解することの重要性
インターネット上で広がる情報には、誤解や不正確な情報が混在することがあります。「東南アジアの観光客が台湾に到着するだけで誰もが5000元をもらえる」というような一見魅力的な話には、必ず「それは本当か？」という疑問の目を向けることが大切です。
台湾観光署のこのキャンペーンは、確かに観光客にとって非常に魅力的な施策です。しかし、その実施方法は抽選形式であり、参加登録が必須であり、個人旅行客のみが対象であり、受け取ったお金は台湾国内でしか使用できないという多くの条件があります。こうした詳細を理解した上で、台湾への旅行計画を立てることが、最も賢明な判断といえるでしょう。
台湾観光署は今後も、春から秋、冬へと季節に応じた多彩な観光プロモーションを展開していく方針を示しており、台湾への個人旅行はますます注目を集める見込みです。正確な情報に基づいて、台湾の魅力を最大限に楽しむことをお勧めします。
