ヤナセがBYD正規ディーラー事業に参入、2026年夏に横浜に新店舗開設

日本を代表する自動車ディーラーのヤナセが、中国の大手電動車メーカー・BYDの正規ディーラー事業に本格的に参入することが発表されました。この動きは、日本のEV市場における大きな転換点となる可能性があります。

ヤナセEVスクエアの設立と契約締結

ヤナセは11月28日、新会社「ヤナセEVスクエア株式会社」を新たに設立し、BYD正規ディーラー事業への参入を明らかにしました。ヤナセEVスクエアは、BYD Auto Japanと2025年11月27日に正規ディーラー契約を締結しており、両社の協力体制が正式に確立されました。

ヤナセEVスクエアの会社概要は以下の通りです。

  • 社名:ヤナセEVスクエア株式会社(YANASE EV SQUARE Co., Ltd.)
  • 所在地:東京都港区芝浦1-6-38
  • 資本金:1千万円
  • 株主構成:株式会社ヤナセ100%
  • 代表者:取締役社長 筒井雄一氏

事業内容としては、BYDの新車・中古車・部品・アクセサリー販売、そしてアフターサービスまで、幅広い領域をカバーする総合的なディーラー事業を展開します。

2026年夏に横浜での営業開始予定

ヤナセEVスクエアによるBYD正規ディーラーとしての事業開始は、2026年の夏ごろを予定しており、出店先は神奈川県横浜市内に設定されています。この新店舗の開設により、ヤナセは神奈川県を拠点として、BYDの車両販売やアフターサービスの提供を本格化させることになります。なお、この契約以降の出店については、現時点では未定とされています。

日本のEV市場における課題と展望

日本の自動車市場におけるEV普及の状況は、まだ発展途上段階にあります。2024年の乗用車市場に占めるバッテリEV、PHEV(プラグインハイブリッド車)のシェアは3%を下回っており、充電インフラ整備の遅れや中古車市場における査定価格の低迷など、多くの課題が残されているのが実状です。

こうした市場環境の中で、BYD Auto Japanは今後、PHEVや軽自動車EVの導入を予定しており、日本のEV市場開拓に挑戦しています。BYD Auto Japanは2022年7月に掲げた全国100店舗体制の早期完成を目指しており、本発表までに全国68拠点(開業準備室を含む)で営業活動を展開している状況です。ヤナセEVスクエアとの契約により、この目標達成に向けた取り組みがさらに加速することが見込まれます。

ヤナセの経営戦略とEVビジネスサイクルの構築

ヤナセ社長の森田考則氏は、このパートナーシップについて以下のようにコメントしています。「世界で高く評価されているEVブランドであるBYDを取り扱う貴重な機会をいただき感謝しています。EVビジネスサイクルの様々な課題・障壁をブレイクスルーする手がかりと解決法を見出すことで、当社が現在預からせていただいている既存の大切な取引先ブランドのEV普及にもメリットが生まれる相乗効果を期待しています。」

ヤナセでは、ヤナセEVスクエアにおけるBYDの取り扱いを通じて、新車販売のみならず中古車販売、アフターセールスまで含めたEVの安定的かつ持続可能なビジネスサイクルの定着・拡大を日本市場で本格的に実現することを目指しています。これは、単なる車両販売ではなく、EV所有の全ライフサイクルをサポートする包括的なビジネスモデルの構築を意味しています。

SDGsへの貢献とカーボンニュートラル

ヤナセは、顧客のカーライフの充実と同時に、カーボンニュートラルを含めたSDGsにおける社会的課題の解決を、顧客と共に実現していくことを目指しています。EVの普及とそれに関連するインフラの充実は、日本の脱炭素社会実現に向けた重要な施策の一つであり、このパートナーシップはそうした社会的使命の実現に貢献することになります。

ヤナセEVスクエアの決意表明

ヤナセEVスクエア社長の筒井雄一氏は、次のような決意を述べています。「自動車ディーラーとして110年の歴史で培った経験と技術を活かしながら、これまで以上にお客さまに『夢と感動あふれるクルマのある人生』をお届け出来るよう、社員一同研鑽を重ねてまいります。」

ヤナセは110年以上の歴史を持つ老舗自動車ディーラーとして、そのノウハウと顧客基盤を活かしながら、EV時代における新しいビジネスモデルの構築に臨むわけです。この契約により、ヤナセが蓄積してきた顧客サービスの経験とBYDの先進的なEV技術が融合し、日本の消費者により質の高いEV購買体験がもたらされることが期待されます。

今後の日本EV市場への影響

このニュースは、日本のEV市場が新たな段階に進みつつあることを示しています。従来、日本の自動車ディーラーは国内メーカーを中心とした販売体制を構築してきましたが、ヤナセのようなトップクラスのディーラーが中国系メーカーのEVを本格的に扱うことは、市場の多様化と競争の活性化を意味します。BYDは世界的に高い評価を得ているEVメーカーであり、その正規ディーラーネットワークの拡充は、日本の消費者にとって選択肢の増加につながるでしょう。

ヤナセEVスクエアの2026年夏の横浜での営業開始まで、まだ数ヶ月の期間がありますが、この新店舗の開設が日本のEV市場にどのような影響をもたらすのか、今後の動向が注視されています。

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