ダウン症の娘と母親の1年〜「娘の力を信じて」海外留学の記録と涙の手紙

はじめに

ダウン症のある娘の海外留学。それは、母と娘にとって不安と希望が入り混じる大きなチャレンジでした。
ここでは、フリーアナウンサー長谷部真奈見さんと娘さんが経験したこの一年間の歩みを、現代ビジネスやFRaUなどの報道をもとにやさしく振り返り、親子の絆やダウン症への理解、社会とのかかわりについて考えます。

ダウン症とは

ダウン症候群は、染色体の突然変異によって起こり、21番染色体が通常より1本多い「21トリソミー」とも呼ばれます。筋肉の緊張度が低い、知的発達に遅れがみられる、心疾患を伴う場合も多いなどさまざまな特徴があるものの、医療や教育の発展によって、社会生活や学校生活を普通に送る人も多くなっています。

母と娘の17年間の歩み

  • 2008年、長谷部真奈見さんは待望の第一子(娘)を出産。直後に娘がダウン症であることを知らされ、受け入れられずに苦しみ、自ら命を絶とうと思いつめた時期もありました。
  • その後、家族や医療、教育機関との関わりの中で少しずつ気持ちを整理し、娘との生活に希望を見いだすようになりました。
  • 2024年3月、娘さんは中学校を卒業。これをきっかけに家族で世界一周の旅を経験。その経験が娘の成長に大きな影響を与えたと言われています。
  • 現在はハワイに移住し、現地の学校へ留学という新たな挑戦を始めています。

戸惑いと決意、「娘の力を信じよう」

ダウン症のある娘の留学は、母親にとっても未知の領域でした。
慣れない土地、英語、学校、文化。それぞれが大きな壁となり、悩みや不安が絶えませんでした。しかし母は「娘の力を信じよう」と決意。娘自身の自立や成長を目指し、見守る選択を重ねていきます。

異文化体験で広がる世界

  • ハワイの学校生活は、日本の学校と大きく異なります。英語での授業、自由な選択科目、個別の教育計画によるペースでの学習。娘さんは「ディプロマ(卒業証書)」と「サーティフィケイト(修了証書)」のうち、後者を選びました。これにより自分の得意分野や興味をもとに、無理なく学ぶことができました。
  • 選択科目には「調理」「工芸」「ヒップホップダンス」などもあり、基礎科目(算数・国語・英語)と合せて時間割を組みます。仲間たちと協力しながら、花冠作りの文化体験など現地ならではの学びを楽しみました。
  • 新しい友人との関わりや、未知の言語・文化に触れる日々は、娘さんの自己表現や社会性を大きく育てました。

支える母の想いと涙の手紙

留学生活の中で、娘さんは母親に英語で「私のことを守ってくれてありがとう」という手紙を書きました。
その手紙には、今までどれほど母に守られてきたか、母のおかげで自分が安心して新しい世界に踏み出せていることへの感謝が綴られていました。
母はその手紙を涙しながら読み、娘の成長と自立、絆の深さを改めて感じます。

母親としての学びと悩み

  • ダウン症のある子を育てるということは、常に「先が見えない不安」との戦いでもあります。
  • 進学・就職・自立、普通なら何気なく通り過ぎる選択も、大きな勇気と覚悟が必要です。
  • 「守ること」と「信じて見守ること」の迷いに、母は何度も立ち止まり、自分自身を問いなおしました。
  • しかし、娘の成長・挑戦していく姿が母に力を与え、親子ともに自己肯定感や前向きな気持ちを拡げていきました。

社会の中でダウン症を考える

ダウン症がある人の社会参加はますます拡がり、教育現場でも個別性を尊重した取り組みが進んでいます。
従来「できないこと・困難なこと」に目が向きがちだったダウン症ですが、本人の可能性や家族の愛情、周囲のサポート次第でいくつもの「壁」が乗り越えられます。

  • 本人の力
    できること、知りたいこと、興味を持ったことは小さな成功体験を積み重ねながら大きな自信につながっています。
  • 家族の支え
    母の勇気、そして「娘の力を信じる」選択が親子の成長を支えています。
  • 社会の寛容さ
    留学先の学校や地域、仲間たちの温かな受け入れ・サポートも、娘さんの自立への大きな力でした。

娘が教えてくれた「家族の絆」

ダウン症のある娘が見せてくれた歩みは、家族の絆や人の力、そして「信じることの心強さ」を私たちに教えてくれます。
母は「娘の力」を信じ、見守り続けてきました。
そして娘さんは「母が守ってくれたこと」「自分に自信を持って挑戦できたこと」に感謝し、成長の証として涙の手紙を贈りました。

おわりに

この一年間の母娘の歩みは、「障害があるから」と諦めてしまいがちな社会の中で、誰もが「自分の力」を信じてチャレンジする勇気を教えてくれます。
これからも、ダウン症のある人たちがさまざまな可能性をひらくこと、社会や教育現場が本人と家族を支えながら共に成長していくことを願っています。

参考元