[2025年10月最新]障害年金の「一生もらえる」とは限らない現実と支給のしくみをやさしく解説
障害年金とは何か? わかりやすく基礎から説明
多くの方が「障害年金」と聞くと、「重い障害があれば一生もらえるお金」と考えているかもしれません。しかし、実際の制度はとても複雑で、「一生もらえるとは限らない」のが現実です。障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障が出た方、その家族の生活安定や自立支援のために設けられた公的な年金です。障害基礎年金(国民年金加入者や20歳前の障害)と障害厚生年金(厚生年金加入中に障害を負った場合)という2つの制度に分かれており、支給にはいくつかの条件が定められています。
障害年金を受け取るための主な条件
- 障害の原因となった病気やけがの初診日が国民年金や厚生年金の加入期間中であること
- 障害認定日(原則、初診日から1年6か月後や症状が固定した日)に障害等級1級または2級(厚生年金では3級も対象)に該当すること
- 初診日前に必要な年金保険料を納付していること(多くの場合、初診日の前々月までの被保険者期間の2/3以上や、最近1年の未納がないことなど)
- 20歳以上65歳未満であることが原則
このような要件をすべて満たしていなければ支給には至りません。
障害年金の「等級」と対象となる障害
障害年金で大切なのは等級です。障害等級には1級〜3級(厚生年金の場合)があります。1級がもっとも重度、2級はそれに次ぎ、3級は厚生年金加入中に障害を負った軽度の障害が対象です。
また、対象となる障害は幅広く、次のようなものがあります。
- 身体障害(視覚・聴覚・肢体不自由・内部障害など)
- 精神障害(うつ病、統合失調症、双極性障害など)
- 知的障害(発達障害を含む)
ただし、認められるかどうかは、障害の重さや日常生活への影響など、個別に判断されます。また、フルタイムで就労する場合など、実際の生活状況によっては受給できないケースもあります。
2025年の障害年金の支給額と、どの障害が多く支給されるか
2025年度の障害年金支給額は、物価上昇等を反映して次のとおり見直されています。
- 障害基礎年金 1級:月額 86,635円
- 障害基礎年金 2級:月額 69,308円
厚生年金の被保険者だった方は、ここに報酬比例部分(賃金と加入期間に応じた加算)が上乗せされます。また、1級・2級に該当すれば、配偶者加算(月額19,942円)も対象です。3級(厚生年金のみ)では報酬比例分のみの支給となりますが、最低保証額も設定されています。
どの障害が多く支給されているかについては、身体障害や精神障害、知的障害ごとに、診断書の種類が異なります。特に精神障害・発達障害に関する受給件数が2000年代以降増加傾向です。とはいえ、申請者の状態や生活への支障度合いで審査されるため、同じ診断名でも受給できないケースも少なくありません。
障害年金は「一生もらえる」とは限らない -短期認定と更新の現実
2025年10月現在、障害年金の裁定(支給判断)が厳しくなっているとの指摘があります。特に新規申請者の場合、「3年以内の短期更新」となる事例が多く、定期的な診断書提出・再審査が求められるのが一般的です。つまり、最初は3年や1年の短期間で認定され、その後の診断や書類提出を経て継続支給となるか審査されます。回復が見込まれる場合や状態に変化があった際には、年金が停止されることもあります。
- 新規認定=短期認定(1年や3年など)の割合が増加
- 「一度受給すれば障害の度合いや生活状況が大きく変わるまでは支給が続く」とは限らない
- 診断書や本人申告による「等級見直し」によって、減額や停止が行われる可能性
そのため、「一生安定してもらえる」と安心せず、更新時の手続きや、症状や生活状況の報告が非常に重要となっています。
重い障害でも年金がもらえないケースも… 制度の課題
日本では、「障害者手帳1級」だったり「寝たきりレベル」と評価されながらも、障害年金を受給できていないという声も多く聞かれます。その背景には、障害年金と障害者手帳は審査基準や判断主体が異なることが挙げられます。
- 障害年金は「日常生活能力」や「労働能力」に基づく独自の基準で審査される
- 手帳の等級や症状の重さだけでは給付が決まらない
- 診断書作成や提出書類の内容が十分でない場合、実情に合わない審査となるおそれがある
こうした課題が議論されており、障害年金制度の「構造的な壁」と指摘する関係者や専門家も増えています。今後の制度見直しや支援体制の充実が求められます。
障害年金をもらうまでの流れ 〜申請・診断書作成・審査〜
障害年金の受給申請は、以下の流れで行われます。
- 障害の原因となった病気やケガで、医療機関を受診
※初診日が重要ポイントとなります - 障害認定日に該当する時期(原則、初診日から1年6カ月後)まで医師の診療を継続
- 診断書を医師に依頼し、作成してもらう(指定様式あり/障害の種類ごとに違う書式)
- 年金事務所や市区町村窓口で申請書・診断書・病歴申立書などを提出
- 日本年金機構などで審査→受給の可否が通知される
手続きは煩雑で、書類不備や記載内容の不十分があると不支給となりやすい点も注意が必要です。
障害年金をもらえない方の主な特徴
さまざまな理由で障害年金が支給されないケースもあります。
- 初診日や保険料納付の要件を満たしていない
- 障害認定日に該当する障害等級に該当せず、審査で認められなかった
- フルタイム就労や一定水準以上の社会参加が認められる場合
- 年齢が20歳未満や65歳以上である場合(原則として支給対象外)
特に精神障害や発達障害の場合は、就労状況や日常生活能力を厳格に評価する傾向があり、「働けるなら支給しない」となることも多いとされています。
制度の今後と利用者へのアドバイス
このように障害年金は、「一生もらえるとは限らない」だけでなく、障害や生活実態に合わせて認定・更新されるしくみです。申請や更新時には、症状や日常生活の支障を正確に医師や関係者に伝え、的確な診断書を準備すること、それでも不支給や等級変更に納得できない場合は、不服申立てなどの手段も活用することが大切です。
障害年金は、障害を抱えるご本人と、その家族の生活を支える大事な「社会のセーフティネット」。より多くの方が制度を理解し、正しく活用できるよう願っています。