大相撲「懸賞金バブル」に異変 休場ドミノと“分厚すぎるご褒美”が映し出すいまの相撲界

大相撲の本場所で土俵際と同じくらい視線を集めているのが、土俵下で受け渡される「懸賞金」です。
今場所は、懸賞総額が過去最多の2億9687万円に達する一方で、横綱・大の里や安青錦らの休場により「2.5億円超」とも言われる懸賞の行方が大きく変化しています。
さらに、にしたんクリニックの「にしたん社長」が5月20日に100本の懸賞を出す計画を掲げるなど、懸賞金をめぐる動きはかつてないほど注目を集めています。

懸賞金とは? 基本の仕組みをおさらい

まず、ニュースで話題になっている「懸賞金」について、簡単に仕組みを整理しておきましょう。

  • 1本あたりの額面は7万円(うち力士の手取りは6万円、1万円は日本相撲協会の手数料や積立などに充てられる)
  • 1取組にかけられる懸賞は60本が上限(特別賞などが加わる場合もある)
  • スポンサー企業が1本ずつ申し込み、取組前に場内アナウンス・懸賞幕の周回でPRを行う
  • 勝った力士だけが懸賞金を受け取る(負けた力士には渡らない)

懸賞金は、力士にとっては給料とは別の「出来高」にあたる重要な収入源であり、スポンサーにとっては宣伝の場であり、ファンにとっては試合の「特別感」を演出する存在です。
最近はSNSやネット中継の普及もあり、土俵上で手渡される分厚い札束のインパクトが、そのまま話題となって広がっています。

ニュース内容1:大の里・安青錦の休場で「2.5億円超」懸賞金の行方に異変

今場所、大相撲ファンやスポンサーの間で大きな話題となっているのが、横綱・大の里や安青錦ら人気力士の休場が懸賞金の動きに与えた影響です。
報道によれば、今場所に合わせて申し込まれていた懸賞金は、総額で2.5億円を優に超える規模。その多くが大の里や安青錦の取組に集中していたとみられています。

しかし、ケガやコンディション不良などを理由に横綱・大の里が休場し、続く安青錦も土俵を離れる中で、予定されていた懸賞の一部は取組自体が組まれなくなったことで「行き場」を失う形に。
日本相撲協会は、対戦カードの変更や中止に伴って懸賞を取りやめる・別の取組に振り替えるなどの対応を行っており、結果として「懸賞の再配分」が進む状況となりました。

懸賞金の行き先として、急速に注目が集まったのが大関・琴櫻です。
大の里や安青錦の取組に懸賞を出していたスポンサーの一部が、同じ上位陣である琴櫻の取組へと懸賞を振り向けたため、琴櫻の取組には連日多くの懸賞幕が土俵を周回する事態になりました。

ところが、今場所の琴櫻は本来の実力を発揮しきれず、黒星を重ねる展開に。
その結果、本来なら大関として自らが勝って受け取るはずだった懸賞金を、対戦相手に多く届ける形となってしまいました。

報道では、琴櫻が今場所すでに「1000万円超の懸賞金」を対戦相手に献上しているとも伝えられています。
1本6万円の手取りで計算すると、おおよそ170本前後の懸賞が、琴櫻の黒星によって対戦相手の懐へと渡った計算になります。

もちろん、懸賞金そのものはスポンサーが出したものであり、「献上」という言い方はあくまで比喩的な表現です。ですが、懸賞が集中する力士が不調だと、懸賞を“もらう側”の顔ぶれがガラリと変わるという構図は、懸賞金ブームの裏側を映し出す象徴的な出来事と言えるでしょう。

ニュース内容2:懸賞総額2億9687万円で過去最多 高安が横綱撃破で“分厚すぎるご褒美”

一方で、懸賞金が「これでもか」と積み上がった象徴的な場面もありました。
5月場所の初日、東京・両国国技館で行われた結びの一番で、小結・高安が横綱・豊昇龍を撃破。この一番に懸けられていた懸賞の束が、視聴者の度肝を抜きました。

今場所の懸賞申し込みは、過去最多となる4241本
総額は2億9687万円に達し、「15日間でほぼ3億円が土俵の上を動く」という、かつてないスケール感となりました。

その象徴が、横綱に挑んだ高安が手にした分厚い懸賞金の束です。
場内のカメラが土俵下から映し出した映像には、行司から高安の手に渡される、まさに「辞書級」と言っても過言ではない厚みの札束が映し出されました。

このシーンはテレビやネット配信を通じて全国に中継され、SNS上では

  • ほぼ広辞苑やん
  • やばすぎる
  • 「新聞束かと思った」

といった驚きの声が相次ぎました。
高安が横綱を破ったというドラマチックな展開に加えて、懸賞金の“見た目の迫力”が相まって、大相撲中継の中でも強烈なインパクトを残した場面になりました。

懸賞金の束がここまで分厚く見えるのは、1本1本が相撲協会の専用封筒に入れられ、それが数十本単位で重ねられているためです。
実際、過去の場所では、1取組に60本の懸賞がかけられたケースもあり、力士が受け取る束は片手で持つのがやっとというサイズになることもあります。

高安の一番は、まさにそうした「懸賞金バブル」の象徴とも言えるシーンであり、視覚的な分かりやすさも手伝って、多くの視聴者の関心を惹きつけました。

ニュース内容3:5月20日に「100本懸賞」計画 にしたん社長の誕生日企画

懸賞金をめぐる動きで、もう一つ注目を集めているのが5月20日の「100本懸賞」計画です。
美容クリニック事業などで知られる「にしたんクリニック」のにしたん社長の誕生日に合わせて、幕内全20取組にそれぞれ5本ずつ、合計100本の懸賞を掲出するという内容です。

1本7万円の懸賞を100本となると、額面総額は700万円
力士の手取りベースで計算しても600万円が15日間のうち1日に集中して動くことになります。

しかも今回は、特定の上位陣だけでなく幕内全20取組に均等に5本ずつという形で配分されるのが特徴です。
通常、懸賞は人気力士や注目カードに集中しがちですが、この企画ではその日の幕内力士全員に懸賞獲得のチャンスが開かれる形になります。

にしたん社長は、これまでも何度かまとまった本数の懸賞を出してきたことで知られていますが、今回は自らの誕生日という「記念日」をきっかけにしたもの。
ファンの間では、

  • 「社長、攻めすぎ」
  • 「誕生日プレゼントが力士に配られている感じ」
  • 「全取りしたら誰がいくらになるのか気になる」

といった声も上がっており、懸賞金がイベント化・エンタメ化していることを示す象徴的な企画になっています。

懸賞金ブームが映す“新しい大相撲の見られ方”

ここ数場所、懸賞金にまつわるニュースやSNSでの反応が目立つ背景には、いくつかの要因があると考えられます。

  • 中継映像やSNSで、懸賞金の「見た目」が伝わりやすくなった
    カメラワークやズーム、スローモーションなどで、力士が分厚い束を受け取る瞬間や表情がクローズアップされるようになりました。
  • スポンサー企業の“顔が見える化”
    懸賞幕に企業ロゴやキャッチコピーが入るだけでなく、SNSを通じて社長本人が懸賞をアピールするケースも増えています。
  • 「いくら動いたのか」が話題になりやすい
    「15日で2億円動いた」「一番で何百万円」など、金額が具体的に報じられ、経済的なスケール感が注目されやすくなっています。

その一方で、今場所のように横綱・大の里や安青錦の休場で懸賞の行き先が大きく変わったり、大関・琴櫻の不調で“懸賞が相手に流れる”といった現象もクローズアップされるようになりました。
懸賞が増えれば増えるほど、勝敗による「お金の動き」のコントラストも強まります。

懸賞金そのものは、あくまでスポンサーの広告費であり、力士たちは「相撲を取った結果として受け取るだけ」です。
とはいえ、土俵の上で繰り広げられる勝負が、ときに数十万円単位、数百万円単位の価値を持つことが目に見える形で示されるようになると、ファンの見方も自然と変わってきます。

特に、にしたん社長の「5月20日・100本懸賞」のような企画は、懸賞を通じて相撲を盛り上げようとする試みでもあり、今後も同様の動きが広がる可能性があります。
一方で、休場やケガが続けば、せっかくの懸賞が取りやめになったり、スポンサーの希望通りに使えないといった課題も浮き彫りになります。

「分厚い束」の向こう側にあるもの

高安が横綱を破って手にした「広辞苑みたいな懸賞金の束」、大の里や安青錦の休場によって行き先が変わる「2.5億円超の懸賞金」、そしてにしたん社長の「100本懸賞」計画――。
これらのニュースに共通しているのは、懸賞金が単なるお金ではなく、相撲界とスポンサー、そしてファンをつなぐ“目に見えるシンボル”になっているという点かもしれません。

分厚い札束に視線が奪われそうになりますが、その裏側にはスポンサーの宣伝や、力士の努力、支える部屋や後援会の存在、そしてそれらを見守るファンの熱があります。
今場所の懸賞金をめぐる一連の出来事は、大相撲という伝統競技が、いまどのように「見られ」、「支えられ」、「盛り上げられているか」を映し出す鏡のようにも見えます。

これからも土俵の上では力士たちの熱い攻防が続き、そのたびに懸賞金の束が動いていきます。
次に中継や現地観戦で懸賞金の授与シーンを目にしたときは、その分厚い封筒の重みの向こう側にある、さまざまな人たちの思いにも少しだけ目を向けてみると、相撲観戦がいっそう味わい深いものになるかもしれません。

参考元