WEリーグを支える“小さなリーダー” ゴール裏から響く小学6年生の声
日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」のスタジアムで、いま大きな注目を集めている存在がいます。それは、ピッチでプレーする選手ではなく、観客席の「ゴール裏」で声を張り上げる、小学6年生のコールリーダーです。
プロの試合会場で、何千人ものサポーターを先頭に立ってまとめ、選手たちに届く大きな声援を生み出しているのが、まだ12歳の子どもだという事実は、多くの人に驚きと感動を与えています。この記事では、WEリーグの中で話題となっている小学6年生のコールリーダーの活躍と、その背景にある女子サッカー文化、地域とのつながりについて、やさしくひもといていきます。
WEリーグとは? 日本初の女子プロサッカーリーグ
まずは、舞台となっているWEリーグについて、あらためて簡単に紹介します。WEリーグは、日本サッカー協会(JFA)が中心となって設立された、国内初の女子プロサッカーリーグです。日本代表「なでしこジャパン」を支える選手たちや、その予備軍ともいえる多くの有望選手が、このリーグで日々しのぎを削っています。
JFAは、若い世代の選手がより高いレベルの環境で成長できるよう、「JFA・WEリーグ特別指定選手」という制度も設けています。大学や高校などに所属しながら、WEリーグのクラブで公式戦に出場できる仕組みで、個々の能力を最大限に伸ばすことを目的としています。こうした取り組みからも、WEリーグが「育成」と「トップレベルの競技」を両立させていることが分かります。
そんな女子サッカーの最前線を、ピッチ外から全力で支えているのが、サポーター、そしてその中心に立つコールリーダーなのです。
コールリーダーとは? ゴール裏の“指揮者”
コールリーダーとは、スタジアムのサポーター席、とくに「ゴール裏」と呼ばれる応援の中心エリアで、チャント(応援歌)や手拍子、コール(選手名を呼ぶ掛け声)をリードする人のことです。
- 試合の流れに合わせて、どのチャントを歌うか決める
- スタジアム全体に届くよう、大きな声で合図を出す
- マイクやメガホンを使って、観客にタイミングを伝える
- 苦しい時間帯に、選手とサポーターの気持ちを鼓舞する
いわば、サポーターの“指揮者”のような存在です。ふだんは大人のサポーターが務めることが多いこの役割を、小学6年生が担っているというのですから、話題になるのも無理はありません。
AC長野パルセイロ・レディースを支える小学6年生コールリーダー
その象徴的な存在が、WEリーグに所属するAC長野パルセイロ・レディース(AC長野L)のゴール裏をまとめている、小学6年生のコールリーダーです。報道によれば、このコールリーダーは長野市在住の小学6年生で、ホームスタジアムのゴール裏でサポーターを束ね、プロ選手たちを力強く後押ししています。
ゴール裏のサポーター席は、旗やゲーフラ(応援幕)が大きく揺れ、太鼓のリズムとともに、90分間絶え間ない声援が続く場所です。その中心で、小さな身体から精一杯の声を振り絞り、
- 「さあ、いくぞー!」と観客に呼びかける
- 選手入場のタイミングで、歌うチャントを示す
- 相手に押し込まれる苦しい時間帯でも、テンポを落とさずに応援を続ける
といった役割を務めているといいます。小学6年生といえば、ふつうは家族と一緒に観客席で試合を眺めている年齢です。その子どもが、何百人、時にはそれ以上の大人のサポーターをリードし、選手からも「声が力になる」と言われる存在になっていることは、地域にとっても大きな誇りでしょう。
AC長野Lは、地域に根ざしたクラブとして知られています。女子サッカーの普及や、子どもたちとの交流イベントなどにも力を入れており、そうした環境の中で、「いつも応援していた子どもが、気づけば応援を引っ張る立場になっていた」という自然な成長の物語が生まれたとも言えます。
FCふじざくら山梨でも“小学生コールリーダー”が話題に
小学6年生のコールリーダーが活躍しているのは、AC長野Lだけではありません。山梨県を拠点とするFCふじざくら山梨でも、WEリーグのチームを鼓舞する小学6年生のコールリーダーがゴール裏でサポーターをまとめ、選手たちを後押ししていることが伝えられています。
FCふじざくら山梨は、女子サッカーの強化とともに、「女性がスポーツを通じて輝ける場」を掲げて活動しているクラブです。そのスタンドで、小学生が先頭に立ち、「大人と子どもが一緒に声を出す応援文化」が根づきつつあることは、クラブの理念とも重なります。
報道では、この小学生コールリーダーが、
- クラブを心から愛し、自分から応援の中心に飛び込んでいったこと
- 周囲の大人のサポーターが、その意欲を尊重し、一緒に支えてきたこと
- 今では選手やスタッフからも「頼もしい存在」として認められていること
などが紹介されています。まだあどけなさの残る小学生が、試合前には緊張しながらも、いざキックオフの笛が鳴ると表情を引き締め、大きな声でチャントを先導する姿は、多くの観客の心を打っているようです。
四国新聞「きょうのスポーツ」にも映る女子サッカーと地域のつながり
地方紙のスポーツ欄でも、WEリーグや女子サッカーに関する話題は少しずつ増えてきています。そのひとつが、「四国新聞WEB朝刊『きょうのスポーツ』」といった地域版スポーツニュースです。
こうしたコーナーでは、プロの試合結果だけでなく、
- 地元出身の選手がWEリーグで活躍している様子
- ホームタウンで行われたサッカー教室や交流イベント
- 学生年代の女子サッカー大会の結果
など、地域とサッカーをつなぐ話題が紹介されることが多くなっています。WEリーグの選手たちが、学校訪問やサッカー教室で子どもたちと触れ合う姿が届けられることで、「プロ選手が身近な存在」と感じられ、スタジアムに足を運ぶきっかけにもなっています。
今回のような、小学6年生のコールリーダーにスポットを当てたニュースも、まさに地域とクラブが一体となって女子サッカーを育てている象徴的なエピソードと言えるでしょう。
なぜ“小学生コールリーダー”が生まれたのか
では、なぜプロの試合会場で、小学6年生がコールリーダーを務めるようになったのでしょうか。その背景には、いくつかの要素が重なっていると考えられます。
- 女子サッカークラブの「開かれた」スタジアム文化
WEリーグのクラブは、ファンとの距離が近く、ホームゲームでもアットホームな雰囲気が特徴です。サポーターと選手、スタッフの間に大きな壁がないからこそ、「やってみたい」という子どもの気持ちを受け止めやすい環境があります。 - 地域密着クラブとしての土壌
AC長野LやFCふじざくら山梨のように、地域に根ざした女子サッカークラブでは、日頃から子どもたちが練習や試合を間近に見られる機会が多くあります。小さな頃からクラブに親しみ、ゴール裏で歌うチャントを覚え、「自分もあそこで声を出したい」と自然に思えるようになります。 - サポーター側の理解とサポート
コールリーダーは責任の重い役割ですが、周囲の大人のサポーターが「一緒にやろう」「失敗しても大丈夫だよ」と温かく見守ってきたことも大きいでしょう。チャントの順番や合図の出し方を教え、ときにはフォローしながら、子どもの挑戦を支えています。
こうした環境が整っていたからこそ、「小学6年生のコールリーダー」が自然な形で生まれ、今ではクラブを象徴する存在のひとつとして取り上げられるまでになったのです。
選手にとっての“12番目のプレーヤー”
サッカーの世界では、スタンドで声援を送るサポーターを「12番目の選手」と表現することがあります。11人でプレーするサッカーにおいて、観客の存在がそれほど大きな力になるという意味です。
WEリーグの試合でも、選手たちはインタビューなどで、
- 「苦しい時間帯に、ゴール裏の声が聞こえて、もう一度走ろうと思えた」
- 「チャントが後押ししてくれて、最後まであきらめずに戦えた」
といった言葉を口にします。その「声」の中心にいるのが、今回紹介している小学6年生のコールリーダーたちです。
たとえば、失点直後でスタジアムが一瞬静まりかけたとき、「ここから、取り返そう!」と大きな声でチャントを始めるコールリーダーの姿は、観客だけでなくピッチ上の選手にも届いています。その瞬間、うつむきかけた選手の表情が変わり、再び前を向いて走り出す――そんな場面が、何度も生まれているはずです。
子どもたちの憧れが、女子サッカーの未来につながる
スタジアムで小さなコールリーダーが活躍する姿を見て、「いつか自分もやってみたい」「将来はピッチの中でプレーしたい」と憧れを抱く子どもたちも増えていくでしょう。
実際、JFAが設けているWEリーグ特別指定選手制度では、高校・大学世代の選手がWEリーグのクラブに登録され、公式戦への出場を通して成長する道が用意されています。子どもの頃からスタジアムでプロの迫力を感じ、応援文化に触れて育った世代が、やがてピッチに立つ側となり、今度は自分が子どもたちに夢を与える――そんな循環が、少しずつ形になりつつあります。
コールリーダーとしてゴール裏に立つ小学6年生も、将来どんな道に進むかは分かりません。選手を目指すかもしれませんし、指導者やクラブスタッフ、あるいはずっとサポーターとしてクラブを支えていくかもしれません。ただひとつ言えるのは、「女子サッカーのある日常」が、その子の人生の大切な一部になっているということです。
“一緒に作るスタジアム”というWEリーグの魅力
WEリーグのスタジアムには、Jリーグや海外のビッグクラブとは少し違う、温かな空気があります。選手との距離が近く、応援の仕方も「決まりきった型」だけではありません。家族連れや子どもたちも多く、初めて訪れる人でも楽しめる雰囲気づくりが進んでいます。
小学6年生のコールリーダーが誕生した背景には、
- クラブがファン・サポーターを大切にしてきたこと
- 地域社会が女子サッカーを支え、見守ってきたこと
- サポーター同士が年齢をこえてつながりを育んできたこと
といった、長年の積み重ねがあります。この積み重ねこそが、「一緒にスタジアムの雰囲気を作っていく」というWEリーグならではの魅力を生み出しているのです。
ゴール裏で声を張り上げる小さな背中は、単に「珍しい話題」ではありません。女子サッカーと地域の未来が、ゆっくりと、しかし確実に育っていることを教えてくれる、象徴的な風景なのかもしれません。




