開星高校・野々村直通監督、14年ぶりの甲子園に復帰 ― 「昭和の野球」と令和の「野々村節」

島根県の開星高校野球部が、14年ぶりに夏の甲子園大会へ出場を果たしました。名物監督・野々村直通監督(73)は、かつての「野々村節」と称された鋭い言葉を令和版に温かく昇華させ、今もなお独自の存在感を放っています。今回は、8月5日に開幕した第107回全国高校野球選手権大会を前にした開星高校の様子と、野々村監督のコメントやチームの練習風景について詳しくお伝えします。

14年ぶりの甲子園出場と野々村監督の感慨

開星高校は20011年夏以来、14年ぶりに夏の甲子園の舞台に戻ってきました。1993年夏に松江一(現・開星)を率いて同大会に初出場し、以来何度も聖地へとチームを導いてきた野々村監督は、甲子園練習で選手たちの動きを見守りながら「いやあ、懐かしいですね。あの天然芝もね。連れてきてもらっただけで感謝です」と語りました。

監督は過去に2010年センバツでの敗戦後に「腹を切りたい」と発言し、一度は辞任も経験していますが、その後復帰し、今回の出場を非常に喜んでいます。指名打者(DH)制についても「大学もプロもやっているし、僕は大賛成です。打つのが得意な選手を起用できるのはすごく良いこと」と賛同を示し、「この大会からDH制を導入してほしい」とも期待を語りました。

「昭和の野球は大事だが、それができない世の中に」

野々村監督は、かつての昭和時代の野球に強い思い入れを持っています。「昔はお前らついてこい、という指導ができた」と振り返りつつも、「今の世の中はそれができない時代になった」と嘆きも。時代の変化の中で、いかに若い選手たちと向き合うかを模索している様子が窺えます。以前のような厳しい言葉や叱咤激励は影を潜め、温かな指導へと変わった「令和版野々村節」を披露し、選手たちからも慕われています。

甲子園開会式リハーサルでの一コマ ― 足並みそろえた整列行進

8月4日には、第107回全国高校野球選手権大会の開会式リハーサルが甲子園球場で行われました。初戦の対戦校である宮崎商業の橋口光朗監督と対面した野々村監督は、恒例の監督対談に参加。選手たちは手を振りあい、足並みをそろえて堂々と行進し、夏の大舞台へ向けて気持ちを高めていました。

令和の「野々村節」と野々村監督のチーム運営

昔のような鋭さを残しながらも、温かさが際立つ今大会の「令和版野々村節」。監督自身は「敵を煙に巻くようなこともある」と苦笑いしつつ、監督としてのユニークな存在感を発揮しています。選手への愛情と信頼は厚く、ベンチからじっとよく観察しながら、選手一人ひとりの特徴や長所を生かす指導を心がけているといいます。

「どんな状況でも感謝の気持ちを忘れず、全力でプレーしてほしい」と選手たちに伝え、甲子園の聖地に立てる喜びを分かち合いました。プロや大学で活躍するためだけでなく、「開星高校の野球」を大切にしながら、令和の時代にふさわしいチーム作りを進めています。

まとめ

開星高校の野々村直通監督は、甲子園での14年ぶりの舞台を迎え、昭和の伝統を大事にしつつも、現代の若者とともに歩む“令和の野々村節”を発信しています。開会式のリハーサルにはチーム全員が雰囲気を高め、甲子園の熱戦に向けて準備が整いました。厳しい時代の変化の中で、新たな野球の形を模索しながらも、熱い情熱は変わらないのです。

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