アトレティコ・マドリード対レアル・マドリード、サウジで再び実現した“マドリード・ダービー”──スペイン・スーパーカップ準決勝を徹底解説

サウジアラビア・ジェッダで開催されているスペイン・スーパーカップ準決勝で、アトレティコ・マドリードとレアル・マドリードによる注目のマドリード・ダービーが行われました。今回は、その試合背景や両クラブの現状、戦いのポイント、そして話題となっているバルベルデの衝撃的な直接FK弾について、やさしい言葉で整理してお伝えします。

スペイン・スーパーカップとは?ファイナルフォー方式で行われる“冬のタイトル”

スペイン・スーパーカップ(スーペルコパ・デ・エスパーニャ)は、ラ・リーガとコパ・デル・レイに関わる上位チームが集う「ミニトーナメント形式」の大会です。現在は4チームによるファイナルフォー方式が採用されており、準決勝2試合と決勝で王者を決めます。

今季も開催地はスペイン国外のサウジアラビア・ジェッダ。アトレティコとレアル・マドリードは、この地で決勝進出を懸けて激突しました。なお、レアル・マドリードは5年連続での決勝進出を目指し、この準決勝に臨んでいます。

マドリード・ダービーがスーパーカップの“名物カード”に

アトレティコとレアルのダービーは、ラ・リーガやチャンピオンズリーグで幾度も名勝負を生んできましたが、近年はスーパーカップでもおなじみのカードになっています。

  • 2014年:ホーム&アウェー形式で行われたスーパーカップ決勝で激突し、アトレティコが2試合合計2-1でタイトル獲得。
  • 2019-20シーズン:現在のファイナルフォー制初年度の決勝で再び対戦し、レアルがPK戦4-1で勝利。
  • 一昨年の準決勝:延長戦までもつれた末に、レアルが5-3で勝利。

このように、スーパーカップに限っても拮抗しつつ激しいドラマが生まれ続けているカードであり、今回の準決勝も大きな注目を集めていました。

アトレティコ・マドリードの現状:ラ・リーガでの苦しさと「タイトルへの執念」

アトレティコは、今季ここまで全大会で5試合無敗と、表面上の数字だけを見れば悪くない状態でスーパーカップに入ってきました。しかし、その内側には複雑な事情があります。

直近のラ・リーガでは、レアル・ソシエダとのアウェーゲームで1-1の引き分け。この結果により、アトレティコは勝ち点2を取りこぼす形となり、首位バルセロナとの差は11ポイントに拡大しました。シーズン後半戦に入った段階での11ポイント差は、優勝争いの現実的な望みを大きく損なう数字と見られています。

そのため、アトレティコにとって今季はラ・リーガのタイトルがかなり厳しく、シーズンを救うための現実的なタイトル候補がスーパーカップという側面があります。ディエゴ・シメオネ監督とチームにとって、この大会は「何としても獲りたいトロフィー」と言える状況です。

アトレティコのチーム事情:負傷者と想定スタメン

アトレティコは、複数の負傷者を抱えながら準決勝に臨みました。

  • クレマン・ラングレ:ケガにより離脱中。
  • ニコラス・ゴンサレス:ハムストリングを痛めて欠場。
  • パブロ・バリオス:直近のリーグ戦で負傷し、準決勝欠場の可能性が高いとされていました。

こうした中で予想されたスタメンの一例は、以下のような構成です。

  • GK:オブラク
  • DF:ルジェリ、ハンコ、プビル
  • MF:リオレンテ、バエナ、コケ、バリオス(負傷前の想定)、シメオネ
  • FW:アルバレス、ソルロス

守備の要であるオブラク、豊富な運動量を誇るリオレンテ、ゲームコントロール役のコケなど、いつもの顔ぶれが並ぶ一方で、負傷者の影響によるやりくりも求められました。

レアル・マドリードの現状:不安定な時期を乗り越え、再び連勝モードへ

レアル・マドリードは、12月初めに公式戦2連敗を喫し、シャビ・アロンソ監督に対するプレッシャーが一気に高まった時期がありました。しかし、その後チームは立て直しに成功し、公式戦4連勝でスーパーカップに入ってきています。

カップ戦では3部タラベラ相手に3-2と、スコア以上に苦しい内容もありましたが、ラ・リーガではベティスに5-1の大勝を収め、攻撃面の爆発力を示しました。エースのキリアン・ムバッペが負傷離脱中にもかかわらず、代役のフォワードが完璧なハットトリックを達成するなど、選手層の厚さと戦術的な柔軟性が光っています。

こうした流れから、レアルは自信と勢いを持ってスーパーカップに乗り込んできたチームと言えます。

レアルのチーム事情:ムバッペ不在でも厚い選手層

レアルもまた、重要な選手の負傷という問題を抱えています。

  • キリアン・ムバッペ:負傷離脱中。
  • エデル・ミリトン:長期離脱中のセンターバック。
  • トレント・アレクサンダー=アーノルドディーン・フイセン:こちらも欠場者リストに名を連ねています。

それでも予想スタメンには、ワールドクラスのタレントがずらりと並びます。

  • GK:クルトワ
  • DF:バルベルデ、アセンシオ、リュディガー、カレーラス
  • MF:ロドリゴ、カマビンガ、チョアメニ、ベリンガム
  • FW:ガルシア、ヴィニシウス

ベリンガムやヴィニシウス、ロドリゴといった攻撃的なタレントに加え、中盤にはカマビンガ、チョアメニといったフランス勢が並び、相手にとっては非常に厄介な布陣です。

試合の構図:プレッシャーのアトレティコ、自信満々のレアル

この準決勝は、一言で言えば「追い込まれたアトレティコ」対「勢いに乗るレアル」という構図でした。

  • アトレティコ:ラ・リーガ優勝争いから後退しつつあり、今季のタイトル獲得へ向けてスーパーカップに懸ける思いが強い。
  • レアル:監督へのプレッシャーをはね返し、連勝と大勝で自信を取り戻した状態。

両者ともに持ち味ははっきりしており、アトレティコは組織的な守備とハードワーク、レアルは個のクオリティと攻撃の多彩さが武器です。試合前の予想では、「非常に緊張感のある、戦術的な駆け引きに満ちた試合になる」と見られていました。

試合のポイント:後半にゴールが増える傾向、コーナー数にも注目

アトレティコとレアルの両チームには、最近の試合内容から見える特徴的な傾向があります。

  • 後半にゴールが生まれやすい:アトレティコは直近5試合連続で後半に得点しており、レアルも直近のアウェー6試合すべてで後半にゴールを記録しています。
  • そのため、「前半は慎重、後半にリスクを取りながら一気にオープンな展開になる」パターンが予想されていました。
  • コーナーキックは意外と少なめ:両者の直接対決7試合のうち6試合で、合計コーナー数が10.5本以下というデータが出ています。格下相手の試合と違い、互いに対する試合ではコーナーが増えにくい傾向です。

こうした数字からも、ダービーらしい拮抗した展開の中で、後半に勝負どころが訪れる試合がイメージされていました。

バルベルデが“ロベルト・カルロス化”した衝撃の直接FKゴール

この準決勝で最も大きな話題の一つとなっているのが、レアル・マドリードのフェデリコ・バルベルデによる驚愕のゴールです。

試合開始直後、まだ観客の多くが落ち着ききれていない開始1分という早い時間帯に、レアルはゴール前でフリーキックのチャンスを得ました。そのキッカーを務めたのが、普段は中盤のダイナモとして知られるバルベルデです。

彼が放った一撃は、往年の名サイドバック、ロベルト・カルロスを彷彿とさせるような、強烈な“ミサイル”シュート。ボールは壁とGKの手を抜けるようにしてゴール右上隅(スコアラ)に突き刺さる完璧な軌道を描きました。スペインメディアやファンの間では、

  • 「1月にして“今年のFK”候補ではないか」
  • 「バルベルデがロベルト・カルロスのユニフォームを着ているのかと思った

といった声が上がり、このゴールは一気に話題の中心になっています。

もともとロングレンジからの強烈なミドルシュートで知られるバルベルデですが、フリーキックでここまでの“芸術弾”を見せたことで、「新たな武器を身につけた」とも評価されています。ダービーという舞台で、しかも開始直後にあの一撃が決まったことは、チームと試合全体の流れに大きな影響を与えたと言えるでしょう。

このゴールが持つ意味:流れを変える“心理的インパクト”

サッカーにおいて、開始直後のゴールは戦術面だけでなく、心理面への影響が非常に大きいものです。

  • レアル側:難しいダービーでいきなりリードを奪い、試合を自分たちのペースに持ち込みやすくなる。
  • アトレティコ側:集中し切る前に失点することで、ゲームプランの修正を迫られ、精神的にも重いスタートとなる。

しかも今回は、通常の崩しではなく「ほぼノーチャンス」と言える完璧なFK弾だったため、アトレティコにとっては「防ぎようのないゴール」として受け止めざるを得ない側面もあります。その一方で、「そこからどう立て直すか」がチームの力を試すポイントにもなりました。

試合全体の見方:戦術のせめぎ合いと、個のクオリティの象徴

このマドリード・ダービーは、

  • アトレティコの組織と献身的な守備
  • レアルのタレントと個人技

という、近年の両者を象徴するような構図が色濃く出た一戦でした。その中でバルベルデのFKゴールは、「戦術の枠を超えて試合を動かす個のクオリティ」を象徴する瞬間だったと言えます。

スーパーカップのような短期決戦では、一つのプレー、一度のチャンスがそのまま試合と大会の行方を左右することも少なくありません。今回のバルベルデの一撃は、まさにその好例として、今後も長く語り継がれる可能性があります。

今後への影響:スーパーカップとシーズン後半戦への伏線

この準決勝の結果は、単にスーパーカップ決勝に進むチームを決めるだけでなく、両クラブのシーズン後半戦の勢いや自信に大きな影響を与えるものです。

  • アトレティコにとって:もしここでタイトルへの道が断たれることになれば、ラ・リーガや他の大会においても「立て直し」が急務になります。
  • レアルにとって:連勝を伸ばしながらスーパーカップ決勝に進めば、リーグ戦やヨーロッパの舞台に向けて、さらに強い追い風を得ることになります。

レアルが勝ち上がれば、決勝ではアスレティック・クラブを破ったバルセロナとの対戦が待っている状況であり、スペイン国内だけでなく、世界中のファンが注目するクラシコ決戦への期待も高まっています。

いずれにしても、今回のアトレティコ対レアルのスーパーカップ準決勝は、データや戦術の裏付けを持ちながらも、一発のスーパーゴールが試合の象徴として刻まれた一戦になりました。マドリード・ダービーがまた一つ、歴史に残る章を加えたと言えるでしょう。

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