米国の新規失業保険申請、6週連続で減少 4月中旬以来の低水準を記録
2025年7月に発表された米国の新規失業保険申請件数は、6週連続で減少し、4月中旬以来の低水準となりました。7月19日週の申請件数は21万7,000件と前週の22万1,000件から減少しており、市場の予想(22万7,000件)も下回る結果となっています。これにより、米国の労働市場は依然として堅調な推移を示していることが伺えます。
申請件数の推移と歴史的背景
- 2025年の初期失業保険申請件数は、季節調整後で21.7万件にまで減少し、この水準は2025年4月中旬以来の低さ。
- 過去を振り返ると、2020年4月に史上最高の613万7,000件を記録したことから大幅な改善が見られる。
- 長期的な見通しでは、2026年に21万件、2027年には19万件台までさらに減ると計量経済モデルが予測している。
なぜ失業保険申請件数は減少しているのか? NY視点での分析
ニューヨークの専門家の視点によると、今回の失業保険申請件数の減少は夏季の要因が大きく影響しているとされています。夏季には季節労働者の就労が増えるため、失業保険の新規申請が通常よりも減少しやすい傾向にあるのです。
しかし、同時に継続受給者数の増加も観察されており、これによって失業率は一時的に上昇する可能性も示唆されています。新規申請が減少したからといって、必ずしも失業者が減っているわけではなく、職を失いその後も給付を受け続ける人が増加していることが背景にあるからです。
州別の動向から見える特徴
- ニューヨーク州では物流業や宿泊・飲食サービス業における解雇が増えたため、一部で申請件数が増加。
- ジョージア州では製造業や情報サービス、貿易関連の解雇が報告されている。
- 一方でカリフォルニア州やペンシルベニア州ではサービス業や技術系職種の解雇が減少し、申請件数も減少傾向。
労働市場の現状と今後の展望
今回の数字は関税引き上げなど経済的不確実性がある中での労働市場の堅調ぶりを示しています。新規失業保険申請件数が低水準で推移する一方、継続受給者の増加が示すように、労働市場の中での移動は依然として活発で、完全な回復とは言い切れない状況です。
経済専門家は、夏季の季節労働がこの減少推移の一因であるものの、労働市場全体の動きを注視しつつ、失業率に与える影響の変化に目を向ける必要があると指摘しています。
まとめ
- 2025年7月の米国新規失業保険申請件数は6週連続減少し、21.7万件で4月中旬以来の低水準。
- 夏季の季節要因による一時的な減少が大きく影響しているが、継続受給者の増加により失業率上昇の可能性もある。
- 州ごとの業種別動向は地域経済の特徴を反映し、解雇が一部増える地域もある一方で、解雇減少で申請件数が減る州も存在。
- 経済全体の不確実性を抱えつつも、労働市場はまだ堅調な一面を見せている。