スウェーデンの投資ファンドEQT、フジテックを約2,700億円で完全買収へ

2025年7月28日、スウェーデンの大手投資ファンド「EQT(イーキュー・ティー)」が、日本のエレベータ・エスカレータ製造大手であるフジテック株式会社の買収を目指していることが明らかになりました。日経新聞など複数のメディアが報じたところによると、買収額は約26億ドル(約2,700億円)にのぼる、全株式を対象とした株式交換による取引となる見込みです。

フジテックとはどんな会社?

  • 設立と規模:1948年に設立されたフジテックは、エレベータとエスカレータの研究開発、製造、販売、据付、保守を行う専門企業です。2022年に東証プライム市場に上場し、国内外で高い評価を受けています。
  • 業績:最近の2025年3月期第2四半期決算では、受注額・売上高・営業利益などで過去最高を更新。特に日本、南アジア、米州・欧州での需要が好調で、新設事業とアフターマーケット事業の両方で成長が続いています。
  • 主な事業:新設事業ではエレベータやエスカレータの新規設置が中心。一方、アフターマーケット事業では保守サービスの台数も増加傾向にあり、両事業のバランスが良いです。

EQTとは?

EQTはスウェーデンを拠点とするグローバルなプライベートエクイティ(PE)ファンドで、世界中の成長企業やインフラ事業に投資しています。これまでも多くの大手企業の経営権取得を成功させており、日本企業の買収も積極的に進めていることから、今回の買収は日本市場におけるプレゼンスを拡大する狙いもあると推察されます。

買収の背景と狙い

  • グローバル競争力の強化:フジテックは近年、米州や欧州、アジア各地域での販売が好調であり、世界的な成長企業です。EQTはこの成長基盤を活かして、グローバル市場での競争力強化を目指しています。
  • 資本力の強化と経営の柔軟化:PEファンドによる買収は企業の資本力強化につながり、今後の研究開発投資や海外展開を加速すると期待されます。また、非上場化することで経営の迅速な意思決定や中長期的な戦略推進が可能になる側面もあります。
  • 全株式買収の特徴:今回の取引は全株式を対象とする「株式交換」のため、フジテックの既存株主はEQTの株式を保有する形になる見込みです。この形態は買収資金の大半を現金ではなく、株式でまかなう方式です。

フジテックの今後の展望と市場への影響

短期的には、今回の買収発表を受けてフジテックの株価には影響が出る見込みです。また、従業員や取引先に対しても今後の経営方針についての説明が必要となります。

中長期的には、EQTの資金面および経営支援を受けたフジテックが、新技術開発や海外市場戦略の強化で競争力を更に高めることが期待されます。特に環境対応型エレベータの開発や都市インフラの高度化に向けた取り組みが加速するでしょう。

まとめ

  • スウェーデンの投資ファンドEQTが日本のフジテックの全株を約2,700億円で買収することを計画中。
  • フジテックはエレベータ・エスカレータの世界的な大手メーカーで、好調な業績を背景にグローバルに成長中。
  • 買収により資本力と経営の柔軟性が高まり、技術開発や海外展開の加速が期待される。

今後もフジテックの動向や、EQTによる経営施策の発表に注意が必要です。

参考元