【特集】2025年、日本の自然災害対策最前線 ─ 災害ボランティアから家庭防災まで
2025年も日本各地で自然災害への備えが注目を集めています。自然災害はいつどこで発生するか分からないため、地域社会の備えや一人ひとりの防災意識が問われています。本記事では「災害ボランティア研修プログラムのリニューアル」「子どもだけの時の被災を想定した防災対策」「家庭における防災意識と調査結果」という最新ニュース3本を軸に、分かりやすく今後の課題や対策をお届けします。
災害ボランティア研修プログラムのリニューアルと新拠点VTC開所
2025年3月、日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)が茨城県つくば市に開所しました。国内最大級となるこの施設は、2年間の整備期間を経て、本格稼働を開始。現場で役立つ「実践型研修」と「オンライン座学講座」を組み合わせた新しいカリキュラムに刷新されています。
被災地で必要とされる知識と技術の両方を習得できるように、「災害発生前」「発災直後」「復旧支援」「復興支援」の4つのフェーズ別に研修内容が細分化され、重機講習や危険木の処理など、従来よりも専門的な実技指導が強化されています。
- オンラインでは、被災地支援の基礎から応用まで学べる「災害ボランティア研修 〜入門編〜」や「ケーススタディ編」を毎月展開。
- 現地では、家屋再生に特化した専門研修や避難所運営、炊き出し支援、法制度に関する講座など、多彩なプログラムを実施。
- 実際の現場報告や被災経験をもとにした「災害危険木処理」「工具・資機材の安全取扱」なども体験できます。
- 令和6年奥能登豪雨をはじめとした最新の災害現場から得られた知見も、随時研修プログラムへ反映されています。
また、日本全国で活動したスタッフによるリアルな経験談も共有され、これからボランティア参加を考えている人へ向けた「心構え」「装備や持ち物」「当日の流れ」「活動中の注意点」など、実用的なノウハウも充実しています。
子どもだけで被災したときの「保護者不在」防災─体験を通じた安全確保と避難の確認
日本各地で台風や地震が相次ぐ中、子どもが一人、あるいは兄弟だけで自宅にいる際の被災に備えた防災教育が進められています。従来は「家族一緒に避難」を想定する取り組みが多かった一方、最近では「保護者不在」を前提とした課題解決型の防災訓練が数多く実践されています。
学校や自治体が主導するワークショップでは、子どもが自分の身を守る方法を体験的に学ぶことが重視されています。例えば、地震が発生した場合の「自宅での安全な場所の確認」「避難経路の確認」「非常時持ち出し袋の使い方」「助けを呼ぶ方法」などを、実際に動きながら確認していきます。
このような活動を通じて、「親がいないときでも自分で安全を確保し適切な行動ができる力」を育てるとともに、地域の防災力向上にもつながっています。
- 実際の模擬避難やロールプレイを通じ、危険回避・119番通報の方法などを習得。
- 近所や学校の先生、民生委員と連携して、「困った時には誰に助けを求めるか」も確認。
- 家庭ごとに非常時の連絡方法や集合場所も事前に話し合い、子ども自身が理解する活動が拡大。
- 保護者に対しても、子どもへの防災アドバイスや見守りネットワークの整備が推奨されています。
特に共働き家庭やひとり親家庭が増える中で、こうした「子だけ被災」への備えは、今後の地域防災の新しい柱になりつつあります。
家庭の防災意識に関する調査結果─今、本当に知りたいことは?
近年、防災への関心と行動の実態に関する大規模アンケートが各地で行われています。「ヨメルバ」会員(主に家庭を持つ層)を対象とした最新調査では、次のようなポイントが明らかとなっています。
- 約75%の家庭が「災害が起きた際に必要なもの」「避難場所の確認」に関心を持っている。
- 実際に非常食や水のストックをしている世帯は半数をやや上回る程度にとどまる。
- 「家族同士で安否確認の方法を決めている」「災害時にペットとどのように避難できるか」といった具体的なノウハウへのニーズが高まっている。
- 一方で、「自宅の耐震化」「マンションやアパートの共用部の安全対策」については、まだ認知・行動にギャップがある。
- 地域の防災訓練や、防災教室など身近な体験の機会を望む声も増加傾向に。
この調査から、「備えているつもりでも実際に家族全員が防災行動を熟知している家庭はまだ少ない」「知識と実践の間に課題がある」ことが分かります。そのため、自治体・地域団体・企業が連携し、啓発イベントや体験型訓練をより効果的に提供することが今後の課題といえます。
防災ボランティア・家庭防災の新しい潮流と今後の展望
日本は世界有数の自然災害多発国です。温暖化や地殻変動など環境変化の影響もあり、予想を超える規模の災害が多発しています。だからこそ、「自分自身・家族を守る備え」「地域で支え合う仕組み」「専門的な災害ボランティアの育成」が一層大切になっているのです。
- 災害ボランティア研修のリニューアル・充実化による「多様な人材の現場投入」
- 地元主体で進む「保護者不在時のこども防災力向上」
- 家庭や個人単位での「実践的な防災訓練・備蓄の徹底」
- 自治体・企業・地域団体・教育機関の連携による「継続的な啓発と技術研鑽」
新たな災害が発生するたびに、現場で得た課題や教訓が研修・対策へと反映されます。一人ひとりが「自分ごと」として自然災害と向き合い、日頃から情報を集め、備え、地域の力を結集していくことが、これからの日本社会を守るカギとなるでしょう。
まとめ:市民一人ひとりが「支援の担い手」として
災害ボランティアを志す方も、家庭や地域で防災に取り組む方も、大切なのは「まず知り・動くこと」です。現代の災害対策・防災教育は着実に進化しており、だれもが身近なところから参加・学習できる環境が整いつつあります。今後もこうした取り組みを広げ、強く優しい災害対応力を社会全体で育てていきましょう。