広島県、2025年上半期も転出超過が全国最多で若者の流出が止まらず

2025年上半期の広島県は、転出超過数が6461人に達し、全国で最も多い状況が続いています。特に18歳から39歳の若年層の県外流出が大きな問題となっており、進学や就職を機に広島県からの転出が顕著に見られます。この若者流出は広島県の社会的・経済的課題として重く受け止められています。

転出超過の背景と現状

広島県の転出超過は2021年から4年連続で全国最多を記録しており、特に若い世代の流出が県の人口減少を加速させています。2024年の転出超過数は1万人を超え、その約8割を18〜39歳が占めるとされており、進学・就職・UIターン(都市圏から地方への移住)というフェーズで若者の動向が調査されています。

若者が広島県から流出する主な理由は、よりよい就職機会を求めて大都市圏に移動することや、進学先の選択肢が広島県外に集中していることが挙げられています。これに加えて、住環境の充実度や都市の魅力も影響していることが最新のアンケート調査で明らかとなっています。

広島県の対応策:市町と連携した転出超過抑制プロジェクト

こうした状況を受け、広島県は2025年10月から転出超過の抑制に向けたプロジェクトを県内市町と共同で開始する方針を固めました。プロジェクトでは、若者が広島県に「住みたい」「戻りたい」と思える環境づくりに重点を置き、就労環境や住環境の改善、地域の魅力発信、若者支援の充実に取り組みます。

具体的には、以下の3つの柱で施策が進められます:

  • 働きやすい環境の整備:県内企業と連携し、若者のキャリア形成支援や多様な働き方の推進を図ります。
  • 生活環境の充実:子育て支援や住宅支援を強化し、若者が安心して暮らせる地域づくりを目指します。
  • 地域の魅力向上と情報発信:文化・自然、生活利便性を高めつつ、県外に向けた積極的な広報活動でポジティブなイメージを築きます。

これらの施策は、単に転出を防ぐだけでなく、広島県へのUIターン促進および地域活性化にもつながる重要な取り組みと位置付けられています。

若者流出の実態調査と今後の課題

若者の県外流出を抑制するには、まず流出の実態を正確に把握することが不可欠です。広島県では、18〜39歳の若者を対象に、就学や就職のフェーズごとに流出の理由や価値観を詳細に分析したアンケート調査を実施。学生・若手社会人側だけでなく企業側の声も取り入れ、総合的な対策の優先順位を整理しています。

また、転出超過数の統計には国内転入・転出だけでなく、国外への移動も含めた社会増減数という指標も注目されています。広島県は国外移動を含めた場合でも減少傾向は変わらず、全国的にも減少数が多い地域に入っています。

広島県の未来に向けて

広島県は、若者が将来を描ける地域をつくるため、単なる人口数の増減に留まらず、一人ひとりのライフステージやニーズに応じた多様な支援と施策を展開していく必要があります。県としては、間違ったネガティブなイメージの払拭にも努め、若者が「広島で暮らしたい」と思える環境づくりを進めています。

さらに、若者が東京など都市圏で得た経験を活かして広島に戻る機会を増やすことも重要であり、県内企業の受け入れ体制や地域コミュニティの活性化も期待されています。

今後の課題としては、転出防止と地域外に出て経験を積むことのバランスをとりつつ、持続可能な人口流動のあり方を模索することが挙げられます。

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