経口補水液の「普段飲み」は危険?消費者庁が注意喚起
2025年7月28日、消費者庁は経口補水液(ORS)について、健康な人が日常的に飲用することに対し強く注意を呼びかけました。経口補水液は、感染性胃腸炎などで脱水症状が起きた際に、電解質と水分を素早く補給するために作られた特別用途食品ですが、「普段の水分補給に使うには適していない」としています。
誤った使い方で血圧や心臓に負担か
経口補水液はスポーツドリンクに比べてナトリウム(塩分)やカリウムなどの電解質が3~4倍多く含まれているため、健康な人が大量に、または日常的に飲むと血圧や心臓に負荷をかけるリスクがあると消費者庁は説明しています。特に高齢者や心臓疾患のある方は注意が必要です。
熱中症のときの脱水症状には効果的ですが、むやみに普段の飲料代わりに使うことは逆効果となりかねません。
経口補水液の正しい役割と使い方
- 対象:感染症や激しい嘔吐・下痢による脱水症状の改善を目的とした病者用食品
- 効果:水分だけでなく、体液のバランスを保つ重要な電解質を効率良く補給する
- 使用タイミング:熱中症や感染症で脱水が疑われる時に医師や専門家の指示のもと飲用
- 避けるべきこと:健康時の日常的な水分補給やジュース・スポーツドリンクの代わりに飲むこと
販売ルールの強化とパッケージ表示の改善
2025年6月1日から、消費者庁は経口補水液の販売および表示ルールを強化しており、店頭では他の飲料と明確に区別し、「医師の指示を受けて使うべき」ことを伝える表示が義務付けられました。これにより消費者の誤用を防止し、健康被害のリスクを減らす狙いがあります。
販売時には薬剤師や管理栄養士など専門家による説明体制も求められており、正しい知識の普及が進められています。
スポーツドリンクと経口補水液の違い
日常的な水分補給に人気のスポーツドリンクと比較すると、経口補水液はナトリウムやカリウムの含有量が高く設計されています。スポーツドリンクは主に運動中や運動後の軽度な汗による水分・糖分補給を目的としているのに対し、経口補水液は病的な脱水状態に対応するために特殊な調整がされています。
そのため、一般的な水分補給にはスポーツドリンクや水が適しており、経口補水液を無差別に飲むことは推奨されません。
政府広報も「普段飲み禁止」を強調
政府広報オンラインのラジオ番組でも、消費者庁の担当者が「経口補水液は普段からスポーツドリンクのように飲むものではない」と説明。正しい用途を知って便利に利用してほしいと呼びかけています。
経口補水液を正しく理解して活用を
猛暑の続く夏場は特に熱中症予防や脱水症状の対策が重要ですが、経口補水液の役割や飲み方を誤解しないことが肝心です。健康な状況で無闇に使用すれば、かえって健康に悪影響が出る恐れもあります。
日常の水分補給は水やスポーツドリンク、場合によっては麦茶やお茶などで十分です。経口補水液はあくまでも「脱水の治療サポートのための特別な飲み物」として、体調不良時の医師指導のもと利用しましょう。
まとめ
- 経口補水液は脱水症状を伴う病気や熱中症のときに使う特別な飲み物
- 日常的な水分補給には適していないため、普段から飲むのは避ける
- 大量に飲むと健康な人でも血圧や心臓に負担をかける恐れがある
- 2025年6月からは販売や表示ルールが強化され、誤用防止が進んでいる
- スポーツドリンクとは成分が異なるため、状況に応じて使い分けることが重要
正しい知識をもって、経口補水液を効果的に活用し、健康な夏を過ごしましょう。