綾野剛主演『星と月は天の穴』——愛と性の迷宮を描く、R18+映画の全貌
話題作「星と月は天の穴」、12月19日全国公開へ
2025年12月19日、日本映画界に衝撃を与える新作『星と月は天の穴』が満を持して公開されます。主演は多彩な表現力で近年最も注目される俳優の綾野剛さん。そして監督と脚本を手掛けるのは、人間の本能や情動を緻密に描き続けてきた映画界の名匠・荒井晴彦氏。原作は1966年に芸術選奨文部大臣賞を受賞した吉行淳之介の同名小説——時代を超えて愛と性、人生の奥行きに迫る作品です。「R18+」のレイティングが示す通り、リアルで剥き出しの人間ドラマがスクリーンを彩る本作に、すでに注目が集まっています。
展開される物語——独身中年小説家・矢添克二の心の穴
物語の主人公は矢添克二(綾野剛)、40代独身の「こじらせ」小説家。結婚に一度失敗し、妻に逃げられて以来、心には埋められない“穴”がぽっかりと空いています。自分自身が愛されることへの渇望と、他人を愛することの恐れ。その狭間で、克二は娼婦の千枝子(田中麗奈)と身体を重ねながら、過去の痛みや秘密を曖昧にやり過ごします。そして、執筆している恋愛小説の主人公と自分を重ね、“精神的な愛の可能性”を探し続ける毎日。
しかしある日、画廊で偶然出会った女子大生・瀬川紀子(咲耶)との出会いがきっかけとなり、克二の心にも日常にも新たな波紋が広がり始めます。紀子の粗相を契機に始まる奇妙な情事、複雑に絡み合う三者の関係。そして“愛”とは何か、“性”と“孤独”はどこまで人を救い、また傷つけるのか——星と月という一見優雅な象徴が、実は天に空いた“穴”であるという逆説的なタイトルの通り、抑え難い渇望が画面全体に漂います。
監督・脚本 荒井晴彦のこだわりと、綾野剛の「唯一無二の体験」
「ヴァイブレータ」「共喰い」「火口のふたり」など、観客の情動を揺さぶる作品を次々と世に送り出してきた荒井監督。今作は彼自身が長年映像化を熱望してきた原作への挑戦であり、自ら脚本も執筆。荒井作品に特徴的な「性と愛、滑稽さとペーソス(哀愁)」の交錯が、本作でも鮮烈に浮かび上がります。
主演の綾野剛さんは、この映画への出演を「役者人生における唯一無二の体験」と語っています。舞台挨拶やインタビューでは、「荒井監督の脚本を浴びることができ、主人公を通して言葉の美しさと滑稽さ、何より文学への造詣に触れられて、とても貴重なひとときでした」と、文学的な世界観に身を浸した実感を語ります。
個性豊かなキャスト陣
- 綾野剛:主人公・矢添克二。孤独と愛への渇望を併せ持つ小説家。
- 咲耶:女子大生・瀬川紀子役。彼女が物語に新たな波紋を投げ込む。
- 田中麗奈:娼婦・千枝子役。克二が心の穴を埋めようとする相手。
- その他、岬あかりら実力派が揃い、物語に多彩な深みを与えます。
「星と月は天の穴」——タイトルに込められた意味
本作のタイトル「星と月は天の穴」は、吉行淳之介の原作世界を象徴的に言い表しています。夜空に浮かぶ星と月——多くの人が神秘や希望のシンボルと感じる存在。しかし本作の中ではそれが単なる「天に空いた穴」だと語られます。美しいものの裏側に潜む虚しさ、人の心に生じるぽっかりとした空白。それを埋めようともがく克二の姿に、人間の本質的な孤独や欲望が重ねられています。
吉行淳之介原作×荒井晴彦監督の異色コラボレーション
原作は、戦後日本文学の中でも独特の存在感を放つ吉行淳之介。彼が紡いだ「こじらせ中年男の滑稽で切ない愛の物語」は、多くの読者の共感と溜息を集めてきました。これを脚色し、映像として新たな命を吹き込んだのが荒井監督です。
荒井監督の持ち味である「リアリズム」と「文学的情緒」、過激な性描写と人間描写——それらが融合することで、原作の持つ深いテーマをより強烈なものにしています。日本映画では希少な「R18+指定」という枠組みでこそ描けた、現代日本の“大人のための愛と性の物語”がここに誕生しました。
今、なぜ「星と月は天の穴」なのか——注目される理由
- 中年男性の孤独や不安、人生のリアルな葛藤は、現代社会の共通課題でもあります。
- 「愛」と「性」を通して自分自身と向き合う主人公像には、自分事として共鳴する声も数多いはずです。
- また、日々の中で感じる“ぽっかりとした不在感”——それを埋めようと闘う姿が、多くの観客の心を動かすでしょう。
- 文学・映画どちらのファンにとっても、重層的なテーマをどのように映像化したのかが大きな関心事です。
- 荒井晴彦×綾野剛という豪華タッグの化学反応にも要注目です。
期待と反響——映画ファン・文学ファンからの声
公開前から、「心の奥底に届く映画」「登場人物それぞれの生々しさが楽しみ」など多くの期待が寄せられています。文学界でも吉行淳之介の新たな解釈に対する関心が高く、荒井監督の力量に厚い信頼が寄せられています。性愛というセンシティブなテーマを真正面から描き、かつペーソスやユーモアも忘れない本作——公開後、多くの議論を呼ぶことは間違いありません。
まとめ——大人のための濃密な映画体験へ
『星と月は天の穴』は、「愛することと、愛されることの難しさ」、「心の空白を埋める苦しみ」という誰もが持つ人間的テーマに深く切り込んだ作品です。日本の文芸映画に新たな地平を切り開き、スクリーンを通じて観客それぞれの人生や心の“穴”を問いかけてくれるでしょう。12月19日の公開を、どうぞお見逃しなく。