元プロとストリーマーが“本気”になる『デビクラ杯』とは? その成り立ちと魅力をやさしく解説
『デビクラ杯(Devil Clutch杯)』は、『VALORANT』の元プロゲーマーと実力派ストリーマーが同じチームで戦う、コミュニティ主導のeスポーツ大会です。
主催はZETA DIVISION所属クリエイターのClutch_Fiさんで、Riot Gamesのサポートを受けながら回を重ね、いまや多くのファンが注目する人気シリーズになりました。
この記事では、最新回「Devil Clutch杯 #5 Supported by Riot Games」に関する出演情報に触れながら、デビクラ杯がどのように生まれ、なぜ元プロやストリーマーが“本気”になるのか、その歩みをやさしく整理してご紹介します。
デビクラ杯の成り立ち ― 「俺らもVALORANTやりてえ」から始まった大会
デビクラ杯が生まれたきっかけは、「元プロもプレイヤーとして本気で戦える場をつくりたい」という、シンプルだけれど熱い思いでした。
これまで、『VALORANT』のストリーマーイベントでは、元プロ選手がコーチ役として参加する機会が多く、「自分が前線で戦う」場は意外と少なかったといいます。
とある大会のあと、Clutch_Fiさんがrionさんやmittiiiさんたちと「俺らも(プレイヤーとして)VALORANTやりてえわ」という話をしたことが、デビクラ杯構想のスタートでした。
そこから、・元プロにスポットライトが当たる大会
・イモータル帯の実力をもつ配信者たちと同じチームで戦う形式
というコンセプトが固まり、「これは絶対面白い」と出場者リストアップや運営の準備が進んでいきました。
さらに、当初から「いつかはオフラインイベントをやりたい」という思いもあり、オンライン開催から階段を登るように大会を重ね、最終的に大きなオフラインイベントへつなげる形が目指されました。
第1回~第3回デビクラ杯の歩み
デビクラ杯は、2024年末から2025年にかけて、着実にステップアップしてきました。
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第1回(#1):2024年12月24日開催
第1回はクリスマスイブに開催され、元プロとストリーマー混合チームによる初の試みとして注目を集めました。
チームバランスの難しさなど反省点もありつつ、ここで得た経験が次回以降の改善につながっていきます。 -
第2回(Devil Clutch杯 #2 Supported by Riot Games):2025年6月2日
第2回はRiot Gamesサポート付きの大会として開催され、『VALORANT』5周年記念日と同日に実施されました。
・形式はシングルエリミネーション/全試合Bo3
・マップはランクマッチで使用されているマップを採用
・対戦相手は事前配信のダイスで決定
など、競技性とエンタメ性を両立させたルールが特徴です。 -
第3回(Devil Clutch杯 #3 Supported by Riot Games):2025年8月4日
第3回もRiot Gamesのサポートを受けて開催され、優勝チームにはVCT Pacific関連の特典が用意されるなど、より本格的な大会へと成長していきました。
このように、各回ごとにルール整備やチームバランスの改善を重ねることで、「ただの企画もの」ではなく、出場者が本気で勝利を目指せる大会へと育っていったのがデビクラ杯の大きな特徴です。
第4回・第5回へ ― オフラインと大規模化
2025年秋以降は第4回(#4)、そして第5回(#5)とシリーズは続き、Riot Gamesのサポートを受けつつ、さらに規模を拡大していきます。
第4回「Devil Clutch杯 #4 Supported by Riot Games」は、2025年10月8日〜11月1日の練習期間と大会本番を含むスケジュールで行われました。
各チームが一定期間しっかりと練習を行ったうえで本番に臨む形式は、これまでのデビクラ杯の流れを引き継いだものです。
そして、シリーズの集大成ともいえるのがオフラインイベントです。
公式サイトでは、「21人の物語が、12月11日、ついにオフラインの舞台で交錯する」と銘打ち、2025年12月11日、横浜BUNTAIでの開催が告知されています。
オンラインで積み上げてきた物語が、ついに観客の前でぶつかり合う形となりました。
「本気」だからこそ生まれるチームの雰囲気
デビクラ杯の大きな魅力は、元プロとストリーマーが真剣にチームを作り、勝負に挑む姿が見られる点です。
主催のClutch_Fiさんとrionさんは、インタビューの中で、コーチ導入の重要性やチームとしての“本気度”について、かなり率直に語っています。
- 以前は、元プロの意見が絶対になりやすく、チームの中で“考え方の偏り”が生まれやすかった。
- そこでコーチを導入したことで、全員が意見を出しやすくなり、意思統一や連携が大きく改善した。
- 結果として、スクリム(練習試合)の質が大きく向上し、一つの「競技チーム」として形になっていった。
rionさんは、自身のチームについて「当初は5対5の知識が薄く、デフォルト配置や他エージェントのアビリティを把握しきれていなかった」と振り返っていますが、練習を重ねるなかでその課題を克服し、より洗練された連携へとステップアップできたと語っています。
さらに、元プロのZepher選手のポジション変更の話も象徴的です。
前回は、Zepher選手がイニシエーターで7キャラほどを担当しながらIGL(インゲームリーダー)も兼任しており、「職人芸」のような状態だったといいます。
そこで負担を軽くするため、今回はZepher選手をデュエリストに戻し、イニシエーターをClutch_Fiさんが担当する形に変更。役割分担を見直すことで、チームとしての戦い方もさらに研ぎ澄まされていきました。
こうした丁寧なチーム作りは、「ただのエンタメイベント」ではなかなか見られないものです。
勝ちたいからこそ、役割を最適化し、時には雰囲気がピリつくこともある。
デビクラ杯が「元プロとストリーマーを本気にさせる」と言われる理由は、この“ガチさ”にこそあります。
雰囲気が“終わる”ほど真剣――それでも続くチームの物語
インタビューの中で印象的なのが、「真剣だからこそ雰囲気が“終わる”瞬間もある」という話です。
ミスが続いたり意見がぶつかったりすると、配信で見ている側にも伝わるほどチームの空気が重くなることがあります。
ですが、それを乗り越えてこそ、チームとしての絆や物語が生まれます。
同じメンバーで複数回の大会を戦う形式によって、「一度きりの企画」ではなく、成長していくチームのストーリーをファンが追いかけられるのも、デビクラ杯ならではの魅力です。
最初はうまくいかなかったチームが、コーチの助けや練習を通して少しずつ改善し、大会本番で見違えるようなパフォーマンスを見せる――。
そのプロセスが、元プロ・ストリーマー・ファンを巻き込んで、大きな熱量を生み出しています。
Devil Clutch杯 #5 Supported by Riot Gamesの見どころ
最新回となる「Devil Clutch杯 #5 Supported by Riot Games」では、これまで以上に多彩なメンバーが集結します。
出演情報として挙がっているのは、まずcrow選手、Laz選手、aco選手ら、VALORANTシーンでおなじみの顔ぶれです。
彼らは競技シーンの最前線やトップレベルの経験をもつプレイヤーであり、その知識やスキルがチームにどのような影響を与えるのか、大きな注目ポイントとなります。
さらに、善悪菌さん、SurugaMonkeyさん、Zepherさん、Medusaさんといった、デビクラ杯の歴史とも深く関わるメンバーも「Devil Clutch杯 #5 in 横浜BUNTAI Supported by Riot Games」への出演が告知されています。
- SurugaMonkeyさん:第1回デビクラ杯で優勝チームのリーダーを務めた実績を持ち、コミュニティ内でも象徴的な存在です。
- Zepherさん:イニシエーター/デュエリスト双方をこなす元プロで、役割変更を含めた“物語”が語られることの多いキープレイヤーです。
- Medusaさん、善悪菌さん:それぞれが高い実力と人気を兼ね備えており、チームの色を決める重要なピースとして注目されています。
これらのメンバーが横浜BUNTAIのオフライン会場に集い、視聴者の前でどのような試合を見せてくれるのか。
オンラインで育まれてきたデビクラ杯のストーリーが、一気に爆発する場になることは間違いありません。
なぜデビクラ杯は愛されるのか ― 3つのポイント
最後に、デビクラ杯がここまで多くのファンから愛される理由を、あらためて整理してみましょう。
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1. 元プロとストリーマーが「同じ目線」で本気で戦う
コーチではなくプレイヤーとして元プロが戦い、ストリーマーも負けたくない気持ちで練習を重ねる――。
そのガチさが、視聴者にも強く伝わってきます。 -
2. チームの成長物語をシリーズで追える
同じメンバーで複数回大会に出る形式や、練習期間をしっかり取るスケジュールによって、「うまくいかなかったチームが強くなっていく」様子を長い時間軸で楽しめます。 -
3. 競技性とエンタメ性のバランス
シングルエリミネーションやBo3形式、ダイスで決まる対戦カードなど、競技的な緊張感と配信映えする企画性が同居している点も魅力です。
そこへ、Riot Gamesの公式サポートやオフライン会場演出が加わることで、見ごたえは一層増しています。
元プロの緻密な戦略と、ストリーマーならではの個性豊かなプレイ・トークが交わる場所――。
デビクラ杯は、そんな特別な空気を持ったコミュニティ大会として、今後も多くのファンの記憶に残り続けるはずです。



