高千穂から広がる地域創生の今―「高千穂通り利活用促進事業」と世界農業遺産10周年への想い

宮崎県の高千穂は、日本神話にゆかり深い地として、自然と調和した暮らしや伝統の息づく地域です。「高千穂通り利活用促進事業」をはじめ、今年で10周年を迎える「世界農業遺産 高千穂郷・椎葉山地域」の活動が大きな話題となっており、伝統の継承と新たな地域活力づくりに関心が集まっています。本記事ではこのふたつの最新トピックを中心に、地域の今を詳しくご紹介します。

高千穂通り利活用促進事業―学生と地域がともに描く未来

高千穂通りは、宮崎市の中心部に位置し、住民や観光客にとって親しまれる街路です。木々がつくる癒やしの空間を活かし、地域の日常生活と交流の場としてさらに魅力を高めるため、「高千穂通り利活用促進事業」が2025年より進行中です。

この事業の特徴は、大学生と地元企業・団体が協働することです。実証イベントの企画・運営を通し、「ほこみち(歩行者空間)」の新たな使い方や、通りのさらなる活性化に向けたアイデアが生み出されています。再編整備後の高千穂通りで、地元住民や観光客が気軽に集い、くつろげる“潤いと安らぎ”の空間を目指しています。

  • 目的:高千穂通りの再編整備後の利活用促進とそのモデル作り
  • 内容:実証イベントの実施、利活用の障壁整理、大学生が中心となった体制構築
  • 期間:2025年7月から2026年3月まで
  • 連携主体:宮崎県、大学生、地元企業・団体
  • イベント例:歩行者天国でのマルシェやワークショップ、アート展示など

このプロジェクトは、学生たちにとっては実践的なまちづくり体験の場であり、地域にとっても新しい価値や交流を生み出す絶好の機会となっています。また、今回の業務委託には複数の事業者が提案に参加しており、地域全体での創意工夫が重んじられています

暮らしと伝統の継承―「高千穂郷・椎葉山地域」世界農業遺産10周年シンポジウム

「高千穂郷・椎葉山地域」は、宮崎県北部から熊本県南部にまたがる山間地域で、2015年に「世界農業遺産(GIAHS)」に認定されてから今年で10周年を迎えました。この記念すべき年を祝し、各種シンポジウム・行事が開催されています。

この地域は、幾世代にもわたり山と共に生き、用水路や棚田など自然の地形を活かした農業技術を継承してきました。シンポジウムでは、暮らし・伝統・自然との共生をテーマに、多様な観点からこれまでの歩みを振り返り、未来へつなぐ担い手の育成や地域振興のあり方を議論。住民自身が語る地域の変遷や実践、若者による継承の決意表明が大きな感動を呼びました。

  • 2015年 認定以来、伝統農法や多様な生物資源の保全に注力
  • 山腹用水路や棚田の維持管理に地域が一体となって取り組む
  • 人口減少や気候変動への対応と後継者育成が永遠の課題
  • 10年の節目で住民や関係者があらためて「継承」の意義を共有

記念出版:地域の宝を知る新ガイドブック

世界農業遺産10周年を記念し、高千穂郷・椎葉山地域の山腹用水路と棚田を主題としたガイドブックが発刊されました。これは、かつての先人たちが築いた水の知恵と、斜面を巧みに利用した棚田の美しさを、写真やストーリーと共にまとめた一冊です。

  • ガイドブックは地元写真家や住民、農業従事者による寄稿が多数
  • 小中学生向けの学習資料としても活用される予定
  • 地域内外での配布・展示、イベント会場でも閲覧可能

この書籍は、今後世代を超えて語り継がれる地域の“財産”となるだけでなく、外部から訪れる人々にも高千穂の魅力や歴史的価値を深く伝えるツールとして期待されています。

地域資源を軸に未来を切り拓く

「高千穂通り利活用促進事業」と「世界農業遺産10周年イベント」は、観光地としてのみならず、暮らしや経済・文化の再生を目指す地域の挑戦の象徴です。地方創生の現場として、住民一人ひとりが自分事として参画し、新しい価値の創出に力を合わせています。

今後の課題としては、人口減少への対応、農業の持続的な担い手づくり、観光と地域資源のバランスなどが挙げられます。しかし、高千穂の人々は「誇り」と「絆」を原動力に、伝統文化と新たな交流の芽を育み続けています。それぞれの取り組みが有機的につながることで、多世代が住み、学び、訪れる“未来のふるさと高千穂”へと発展していくことを願います。

まとめ―高千穂に息づく過去・現在・未来

宮崎県高千穂の現在進行形の動きは、単なる地域活性化の枠を超え、現代社会の課題(交流・共生・持続可能性)と真摯に向き合うヒントを豊かに含んでいます。これからの高千穂の歩みにぜひご注目ください。

参考元