JICA海外協力隊60周年記念──世界と日本をつなぐ活動の軌跡
国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊(JOCV)は、2025年で発足60周年を迎えました。60年という長い歴史の中で、日本と世界を結ぶ架け橋として数多くの隊員が、医療や教育、農業、地域振興など多彩な分野で活躍してきました。
本記事では、記念事業として各地で実施されている写真展や式典、現場からの生きた報告を通じて、協力隊の歩みと現在の活動、そして未来への挑戦に優しい口調で迫ります。
JICA海外協力隊の歩み──ラオスから始まった国際貢献
1965年、青年海外協力隊はラオス、カンボジア、マレーシア、フィリピン、ケニアの5か国に29名の隊員を派遣したことが始まりです。この時代、発展途上国への協力という理念のもと、志高き若者たちが海外に送り出されました。
それ以来、派遣先や分野を拡大し、現在では74か国で活動を展開。その間、累計派遣数は約57,000人にも上ります。
60周年を記念したパネル展──ネパールやモロッコなど現場の息遣いを伝える
今年11月には、宮崎県宮崎市のイオンモール宮崎で「JICA海外協力隊60周年記念パネル展」が開催され、ネパールやモロッコなどでの活動写真が展示されています。
会場では、宮崎県出身の現役隊員17人による現地のリアルな活動報告や写真のほか、九州出身隊員の過去の貴重な資料も展示されています。医療・教育現場の奮闘、異文化との交流、現地住民との心の触れ合い——それぞれの写真とコメントには「人と人の絆」の力が映し出されています。
- 活動写真の例:医療支援や学校建設、地場産業育成など
- 隊員の声:「海外の経験は絶対役に立つので参加してほしい」「活動内容を実際に見て、理解するきっかけにしてほしい」(県協力隊支援・日高健夫会長)
- 展示期間:2025年11月14日まで
写真展は、現地活動の「生きた証」を通して、青年海外協力隊の魅力や意義を広く市民に伝える貴重な機会となっています。
60周年記念式典──ラオスでの記念イベントと日本での大会
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ラオス記念式典
協力隊最初の派遣先ラオスで記念式典が催されました。ラオス政府関係者や歴代日本人隊員、現地住民による温かな交流があり、長年の信頼と絆が深まったことが印象的です。式典では、「世界と日本を変える力」という協力隊の理念が改めて語られ、双方にとっての「懸け橋」であり続ける決意が共有されました。 -
日本での公式式典
2025年11月13日には東京国際フォーラムにて、JICA海外協力隊発足60周年記念式典が開催されます。官公庁関係者や帰国隊員、市民が集い、これまでの歩みと未来への展望を共有する場となっています。
こうした式典を通じて、派遣隊員と現地パートナーとの信頼関係、国際貢献の成果が改めて振り返られています。
熊本や各地でも盛大に──地域コミュニティとの連携
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「協力隊まつり in くまもと2025」
熊本市では、熊本ゆかりの地域おこし協力隊とJICA海外協力隊による祭りイベントが展開されました。シンポジウムやワークショップ、マルシェを通じて、国内外のフィールドで培われた協力隊の志や成果を市民と共有しました。地域づくりへの情熱、世界とつながる意義について話し合う場となり、多くの来場者が熱心に耳を傾けました。
JICA青年海外協力隊の理念と未来
JICA青年海外協力隊の活動目的は3点に集約されます:
- 開発途上国の経済・社会の発展・復興への寄与
- 異文化社会における相互理解の深化と共生
- ボランティア経験の社会還元
2020年には新型コロナウイルスの影響により、全員が一時帰国を余儀なくされましたが、現在、現地活動が再開しさらに多様な分野で活躍しています。
また、2025年からは「科学技術協力隊」という新しい枠組みの準備も進行中です。日本の若手研究者が途上国の教育・研究機関に派遣され、現地の研究者とともに指導や共同研究を行うことで、国際頭脳循環やイノベーション創出を図ります。
60年続く現場の声──帰国隊員・現役隊員の思い
- 「途上国の人々と一緒に悩み、工夫し、本当に身近な課題を乗り越えてきました」
- 「帰国後も現地で学び得た経験を生かし、日本国内でも地域活性化に取り組んでいます」
- 「多様な価値観や文化に触れた体験は、人生の大きな転換点になったと感じています」
長きにわたり活動してきた隊員たちは、現地の人々とのつながりや学びを人生の糧にし、帰国後も地域社会や教育現場、ビジネスなどさまざまな分野で活躍しています。
結び──次なる60年へ、世界と日本の未来をつなぐ
JICA海外協力隊60周年は、これまでの成果を振り返るだけでなく、未来への挑戦と希望を語り合う場でもあります。世界で活躍する日本の若者たちが異文化のなかで成長し、得た経験を社会に還元する。その輪は広がり続け、日本と海外を「人」と「知恵」の力でつなぎ、共生社会の実現へと歩みを進めています。
各地の写真展や式典の温かな雰囲気も、私たちに「共に歩む大切さ」と「世界と日本を変える力」を静かに語りかけています。これからの活動とその広がりを、私たち一人ひとりが応援し続けていきたいものです。




