グレタ・トゥンベリさん、再びガザへ——44カ国の活動家と大規模支援船団が出発
2025年8月31日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(22)が率いる44カ国の活動家による大規模な支援船団が、再びパレスチナ自治区ガザに向けてスペイン・バルセロナ港を出発しました。
この船団は、深刻な食料不足や人道危機に直面しているガザ地区へ支援物資を届けるための国際協力プロジェクトであり、6月に続く2回目の挑戦となります。
再びガザを目指す活動家たち
今回の支援船団「グローバル・スムード船団」には、44カ国から集まった約数百人の活動家が参加。
約20隻の船が食料、水、医薬品などの支援物資を積み込み、9月中旬にガザ到着を目指しています。
バルセロナ出航後、ギリシャ、イタリア、チュニジアなど各地からさらに多くの船が合流し、最終的には約70隻規模の大船団になる計画です。
- バルセロナ港には数千人の支援者が集まり、パレスチナの旗を掲げて出航を見送りました。
- 「パレスチナを解放せよ」「これは戦争ではない、ジェノサイド(民族大量虐殺)だ」と訴える声が上がりました。
- 船団の目的は「海上の人道回廊開設」と「必要不可欠な救援物資の安全な搬入」です。
6月の出航とイスラエルによる阻止
グレタさんらは2025年6月にも同様の目的でガザへ向かう船団に参加しましたが、その際イスラエル当局によって拿捕(だほ)され、強制的に国外退去処分となりました。
そのときもイスラエル軍が支援物資搬入を認めず、国際社会の注目を集める結果となりました。
今回も活動家たちは「阻止されてもあきらめない」と固く決意を新たにしています。
なぜ、グレタさんたちはガザへ行くのか?
近年、パレスチナ自治区ガザでは、人道支援物資の搬入が制限され、市民の食糧・医療状況は極めて深刻です。
国連は2025年8月、公式に「ガザで飢きん(ききん)が発生した」と宣言。
イスラエルによる支援物資の搬入阻害が大きな要因であると国連は指摘し、これに対しイスラエル当局は「体系的な妨害」を否定しています。
- ガザの住民は日々、食糧や水、医薬品の不足と向き合っています。
- 国際人道法や多数の国連決議にもかかわらず、必要な支援物資が十分に届けられていません。
グレタさんのメッセージ——「行動なくして変化はない」
グレタ・トゥンベリさんは、出航の場で
「今日の問題は、なぜ私たちが航海しているのかではありません。ここでの話はパレスチナについてです。人々が生き延びるための基本的な手段を意図的に奪われていることについてです」と語りました。
また、「これは国際法を守れず、極めて暴力的で、従来の国際システムに挑む使命だ」とも述べています。
船団の運営委員会ヤセミン・アカル氏は、「この船団は海上の人道回廊を切り拓き、救援物資が人々のもとに届く新たな道筋をつくることを目指している」と説明しています。
支援と共感の広がり——世界44カ国から集結
このプロジェクトには44カ国の市民運動家、人権団体、医療従事者などが参加しています。
各国から参加した人々が持ち込む物資は日用品や水、缶詰、乾パン、医薬品や乳児用ミルクなど、多岐にわたります。
- 多国籍・多文化な活動家たちが共感のもとに集まりました。
- 運営に関わる費用や物資も市民の寄付やクラウドファンディングによって調達されています。
- 前回参加した人も多く、「何度追い返されても、必ず支援を届けたい」という決意が共有されています。
国際社会の関心と今後の展望
ガザ情勢に関しては、国際社会の関心がかつてないほど高まっています。
欧州連合(EU)や国連をはじめとする各国政府・国際機関、NGOも懸念を表明し続けています。
一方、イスラエル側は安全保障上の理由から船団の接近を拒む姿勢を堅持しており、今回も船団がガザ沖やイスラエル管理海域に入れば拿捕や強制排除の可能性が否定できません。
それでも、グレタさんをはじめとする活動家たちは「ただ諦めることはできない」と出航を選択しています。
支援船団に立ちはだかる困難
イスラエル当局はガザ沖の封鎖と海上監視を強化しており、過去にも複数回、民間船団を拿捕した実績があります。
特に、ガザへ向かう船舶は武力紛争地帯への違法物資運搬・安全保障上のリスクを理由に阻止されてきました。
- 乗組員への拘束や国外退去、物資の没収も繰り返されています。
- 一方、国際的なメディアや電子機器の発達により、船団への注目度は高くなっています。
市民の力で変化を——グレタさんの意義ある挑戦
グレタさんは環境活動家として世界中で気候危機を訴えてきましたが、今回は「人道危機」への対応にもエネルギーを注いでいます。
- 環境問題と人道問題の両面から、公平な世界の実現を目指して活動を続けています。
- 「たとえ阻止されたとしても、諦める理由にはならない。現地で苦しむ子どもたち、母親たち、市民の声を無視しないために活動を続ける」と話しています。
こうした市民社会からの自発的な支援・声かけは、政府間交渉だけでは改善できない現地の課題解決に新たな希望をもたらしつつあります。
まとめ:平和と連帯を目指す新たな一歩
2025年8月31日、グレタ・トゥンベリさんと44カ国の活動家が再び力を合わせ、ガザへの人道支援に挑みました。
世界中の目がこの挑戦に注がれており、変化を起こす市民の行動がこれからも国際社会を揺り動かし続けることでしょう。