天皇皇后両陛下と愛子さま、戦後80年に長崎をご訪問—「慰霊の旅」の軌跡をたどる
長崎訪問の背景と意義
天皇皇后両陛下と長女の愛子さまは、2025年9月12日、戦後80年という大きな節目に長崎県を訪問されました。
この訪問は、即位後両陛下が揃って長崎に入られる初めての機会であり、愛子さまにとっても初の長崎訪問となりました。
広島や沖縄、硫黄島など歴史的な地をこれまでに巡られてきたご一家が、被爆地・長崎の地を踏むこの旅は、「慰霊の旅」の締めくくりともいえる重要な出来事です。
長崎空港でのご到着と市民の歓迎
9月12日正午過ぎ、ご一家は特別機で長崎空港に到着され、出迎えの大石知事や地元関係者とあいさつを交わされました。
空港周辺には多くの市民が詰めかけ、ご一家は笑顔で手を振り、温かい歓迎の気持ちを受け取られました。
市民からは「お三方を見られて嬉しい」「私たちも笑顔になった」という声が寄せられ、ご一家と市民が心を通わせる姿が印象的でした。
平和公園への訪問と慰霊の思い
この後、ご一家は長崎市の平和公園へと移動。「原爆落下中心地碑」にて供花を行い、原爆で命を落とした多くの犠牲者の冥福をお祈りになりました。
両陛下が集って公園を訪問されるのは1996年以来、天皇陛下が単独で慰霊された2009年以来となります。
80年の時を経て、ご一家そろって捧げられる祈りは、新たな平和への誓いにも感じられました。
愛子さまの長崎訪問は今回が初めてですが、中学時代に広島を修学旅行で訪れており、被爆地に足を運ぶことへの真摯な姿勢が伝わります。
長崎原爆資料館での視察と語り部との交流
平和公園での慰霊の後、ご一家は長崎原爆資料館を訪問されました。
館内を視察し、被爆の脅威や原爆の歴史、そして長崎が辿ってきた復興の歩みを静かにご覧になっています。
ここでは、101歳になる被爆者の方や、若い世代の語り部である20代の方などと懇談のひとときも設けられました。
体験者の方々の生の声に耳を傾けるとともに、語り部となる若者たちと未来への思いや、平和への願いを分かち合われました。
「恵の丘 長崎原爆ホーム」での懇談
2日目の13日午前、ご一家は被爆者を支援する福祉施設「恵の丘 長崎原爆ホーム」を訪問されました。
こちらでは主に80代から90代の高齢となった被爆者の方々と懇談され、その人生や思いに寄り添われました。
被爆から80年が経つ今も、心と体に傷を持ち続けている方々の声には重みがあります。
ご一家は、深くうなずき、真摯に耳を傾け、被爆者の苦しみや平和への願いを受け止められていました。
戦後80年、「慰霊の旅」の締めくくりとして
今回の長崎訪問は、戦後80年の「慰霊の旅」の締めくくりとなりました。
今年4月には戦争末期の激戦地・硫黄島、6月には沖縄、そして7月には広島と、天皇皇后両陛下と愛子さまは各地で慰霊と平和の行動を続けてこられました。
日本の戦後は、被爆者をはじめ、多くの犠牲を経て今につながっています。その平和の尊さや、二度と戦争を繰り返してはならないというご一家の強い思いが、今回の長崎訪問でも表れていました。
愛子さまの初めての長崎訪問—若い世代へつなぐ平和の語り
愛子さまは、被爆地の訪問を通じて次世代への平和のメッセージを受け継がれる役割を担い始めています。
広島訪問経験をもつ愛子さまですが、長崎では被爆者や語り部の方々と初めて直接対面。懇談の中で、若い語り部の方々がどのように被爆の記憶を受け継いでいるかに深い関心を示されました。
「現在の若い世代が多様な形で体験を伝え続けていることに希望を感じる」と語り部の方々も語っておられ、ご一家の思いが新たな世代に確かに受けとめられている様子が伝わってきました。
ご一家の今後のご予定
- 愛子さまは13日、1泊2日のご訪問日程を終え、単独で帰京される予定です。
- 両陛下は引き続き長崎に滞在し、国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭の開会式に出席され、展示などもご覧になる予定です。
現地からのさまざまな声
- 空港でお出迎えした市民の方々からは「両陛下と愛子さまの笑顔に触れ、こちらまで温かい気持ちになった」「敬愛の気持ちが一層強まった」との声が聞かれました。
- 被爆者の方からは「今なお心と身体に傷が残るが、両陛下のお言葉に励まされた」と感謝の思いが寄せられています。
- 語り部を担う若い世代の方々は「ご一家の寄り添いと関心が、次世代にも続いていく平和運動の力になる」と語っています。
「平和への誓い」を未来へつなぐ
ご一家による今回の長崎訪問は、過去の悲劇を思い、現在と未来の平和を考える深い祈りと願いに満ちています。
101歳の高齢被爆者から若い語り部まで、多様な世代の語り合いに寄り添い、被爆の記憶を継承することの重要性を改めて日本国民に問いかけられました。
今後も両陛下と愛子さまがこうした活動を続けられることで、戦争体験の風化を防ぎ、「平和の大切さ」を伝えていく役割がますます高まることでしょう。
まとめ
今回の天皇皇后両陛下と愛子さまの長崎ご訪問は、戦後80年という記念すべき年にふさわしく、悲しみの歴史に向き合い、未来への希望と祈りを託す貴重な機会となりました。
各地の戦跡・被爆地を巡り、人々に寄り添い続けるご一家の姿は、日本の平和の象徴であり、多くの人々に勇気とやさしさ、そして明日への誓いを与えていることは間違いありません。