カプコン、ファン創作の未来を指し示す—「カプコン二次創作ガイドライン」初公開
2025年11月4日、カプコンは、ファンやクリエイターの間で大きな関心を集めてきた二次創作に関する正式なガイドラインを発表しました。長年愛されてきた「モンスターハンター」や「ストリートファイター」「バイオハザード」「ロックマン」など、カプコンが著作権を保有する全てのゲームタイトルがこのガイドラインの対象です。
この一歩は、同人やファン創作の現場において重要な転換点となり、多くのクリエイターが自信を持って活動するための指針となるものです。
なぜ、今ガイドラインが必要だったのか?
カプコンはこれまで、ファンによる二次創作活動に対し、明確な公式ルールを設けていませんでした。
近年、コンテンツのデジタル流通やSNSでの拡散力が高まる中、公平性や著作権との兼ね合い、そしてクリエイターと企業双方の安心のため、ガイドライン策定の必要性が一層高まっていたのです。
公式発表の中でも「ユーザーの創作活動を応援しています」との言葉が繰り返されており、カプコンがクリエイターとの共存を真摯に模索している姿勢がうかがえます。
ガイドラインが適用される範囲と対象作品
- カプコンが著作権を保有する全タイトル(モンスターハンター、ストリートファイター、バイオハザード、ロックマン、他)
- イラスト、マンガ、小説、音楽、立体作品(フィギュア等)、コスプレ衣装や写真、動画
- 個人・法人格を持たない団体(サークル等)による二次創作活動が対象
また、ゲームプレイ動画の投稿等については「動画ガイドライン」が別途用意されており、創作物の種類ごとに明確な区分けがなされています。
趣味の範囲内なら応援—営利目的は禁止
最大のポイントは「営利目的の二次創作は禁止」でありながらも、同人誌即売会など趣味の範囲(いわゆる“同人活動”)に限り、少量・少額の頒布は特例的に認める点です。
これは「少額・少量であればOK」という判断になりますが、具体的な数値基準(例:販売冊数、頒布価格)は公開されていません。最終的な判断基準はカプコン側が行い、不安があれば問い合わせや自主的な非公開も検討を、と説明されています。
- OKな例:コミックマーケットや小規模イベントでの同人誌頒布、フィギュアの当日版権利用(ワンフェス等の許諾がある場合)
- NGな例:営利目的(大規模販売、ネットショップでの商業取引等)、公式に誤認されるような表記やデザイン
許可される創作物とその特徴
- イラスト・マンガ:創意工夫が感じられるファンアートや同人マンガ
- 小説:既存キャラクターや世界観を用いたオリジナルストーリー
- 立体作品:手作りフィギュアやガレージキット(当日版権イベント時のみ有償販売可)
- コスプレ:衣装や写真の公開
- 音楽:アレンジ楽曲やカバーソング
- 動画:ファンアニメ、コスプレムービー(プレイ動画は動画ガイドライン参照)
このように、カプコン作品を下敷きにした幅広いジャンルの創作活動が認められています。
禁止事項 ― 忘れてはいけない12のルール
ガイドラインの中でも、「してはいけないこと」が12項目にわたって明記されています。主な禁止事項は以下のとおりです。
- 公序良俗に反する表現(卑猥な描写、差別的・攻撃的内容)
- 未成年にふさわしくない内容
- 第三者の権利を侵害する行為
- 公式と誤認される表記・デザイン
- 「デッドコピー」(原作そのままの無断転載や複製)
特に「卑猥な内容」や「デッドコピー」については曖昧な部分もあり、最終的な基準はカプコン側の判断となりますが、「ファン活動として常識的な線引きを守る」ことが求められています。
禁止の例 — こういう場合は要注意!
- 登場キャラクターを使って過度に卑猥・暴力的・差別的な表現が含まれる同人誌やグッズ
- ゲームやコミックスをほぼそのまま全ページ写したコピー品
- 公式と錯覚させるような装丁・タイトル・説明文
- 明らかに営利を目的とした大規模販売
同人誌やイベント即売会はどうなる?
ガイドラインでは「趣味の範囲」「同人イベントでの頒布」について、ファン活動を“応援する”姿勢が前面に出されています。しかし、営利化や社会通念上不適切な内容、公序良俗に反する表現は厳しく制限されます。
また、フィギュア・ガレージキット類の有償頒布に関しては、ワンダーフェスティバルなどカプコンが当日版権許諾をしている場合のみ、例外的に認められる仕組みです。
ガイドライン遵守の具体的なポイント
- 可能な範囲で「カプコンの知的財産を利用した二次創作」である旨を明記(例:「この作品はカプコンの原作に基づく二次創作です」など)
- 営利活動(大規模ネット販売や注文生産、企業絡みの営業活動)はNG
- キャラクターや作品名を無断で商標・サービス名などに使用しない
- 不安な場合や、カプコン側から指摘があった場合には速やかに作品の非公開や対応を取る
カプコンが過去作も対象に?—今後のファン活動への影響
今回のガイドライン公開によって、「過去に制作された二次創作作品」にも遡ってガイドラインが適用される可能性があります。自信のない作品や不安のある内容は、一時的に非公開にする慎重な対応が推奨されています。
ファン・クリエイターへのカプコンのメッセージ
カプコンは「ユーザーの皆さまの趣味の創作活動を応援する」という姿勢を明言しています。二次創作ゲームまでも基本的に許容する柔軟な対応も、他社と比較して注目されています。
しかし「卑猥な表現」や「公式感の演出」には注意が必要であり、作品の内容や公開の形態には十分な配慮が求められています。
今後は、ファンと企業の間のトラブルを未然に防ぎ、クリエイター文化を守るためにも、ガイドラインの存在がますます重要になりそうです。カプコンのファン—そして、全ての創作活動をする皆さんにとって、この新しいルールブックが、より自由で安心な「創作の場」となることを願います。
まとめ:ガイドライン時代のカプコン二次創作を楽しむコツ
- ガイドラインは必ずチェックし、不安な場合は慎重な対応を
- 二次創作である旨を明記し、公式作品と誤認されない工夫を
- 営利目的の大規模な活動やNG表現は避けて、ファンらしい創作を楽しみましょう
- 創作の幅広さを活かしつつ、カプコンのIP(知的財産)と良い関係を築きましょう
これからも、世界中のカプコンファンが、ガイドラインを守りながら自由に作品を生み出し続け、ゲーム文化がより一層豊かに発展していくことを期待しています。




