群馬県上野村の竹工芸品工房「大和美術工芸」があとつぎ公募を開始
株式会社バトンズが運営するM&A・事業承継支援プラットフォーム「BATONZ」は、群馬県多野郡上野村に位置する竹の工芸品工房「大和美術工芸」があとつぎを募集中であることを発表した。工房の代表である宮川さんは、竹を素材にした工芸品制作の伝統を次世代に引き継いでほしいと考えている。
「大和美術工芸」の歴史と移転の経緯
「大和美術工芸」は、長年にわたり竹を用いた工芸品の制作を行ってきた。工房のルーツは神奈川県茅ヶ崎市にあり、宮川さんは父親の技術を受け継ぎ、茅ヶ崎で工芸品の制作を続けていた。しかし、工房の向かいに住宅が増え、長い竹を運び込むことが難しくなったため、移転を決意。群馬県上野村からの迅速な反応により、2000年に新たな地での工芸品制作を開始した。
竹工芸品のこだわりと評価
宮川さんは、竹を使った工芸品に対して特にこだわりを持っており、使い込むほどに良さが引き立つ作品を生み出している。竹の素材は手に入るものが限られており、特にトラフダケ(虎斑竹)は高知県の特定の地域でしか採取できない貴重な素材である。工芸品は手作りであり、同じデザインでの制作は5~6個、多くても10個以下に留まる。そのため、宮川さんは常に細部までこだわりを持って改良を加えている。
このようなこだわりが評価され、40年前にはフランスの有名ブランド「ジバンシー」から試作品制作の依頼が舞い込むなど、国際的にもその技術が認められている。
販売方法と顧客との関係
「大和美術工芸」の販売方法は、卸と直接販売の二つが主である。卸先には高知県のトラフダケ専門店や熊本の下駄屋、群馬県内の道の駅などがある。直接販売は主にインターネットや東京のギャラリーでの催事出店を通じて行われており、特に催事出店では東京赤坂の飲食店から店舗装飾の依頼を受けるなど、幅広い顧客との信頼関係を築いている。
宮川さんは「工芸品は安価なものではないため、展示会で欲しいと言ってくださる方が1~2年かけてお金を貯めて購入されることもある。その際は、自身のこだわりが評価されていると感じ、本当に嬉しい」と語る。
あとつぎの募集と未来への期待
喜寿を迎えた宮川さんは、今後の工房の存続と竹工芸の伝統を引き継いでくれる人材を求めている。工房の土地や建物は引き続き借りられるように交渉済みであり、上野村で伝統工芸を学びたい方には絶好の機会である。興味がある方は、電話(0120-998-196)またはメール(support@batonz.co.jp)で問い合わせることができる。
さらに、詳細情報はこちらから確認できる。
終わりに
「大和美術工芸」のあとつぎ募集は、ただの事業承継ではなく、竹工芸という文化を次世代に残すための大切な取り組みである。宮川さんの技術と情熱が引き継がれることで、さらなる発展が期待される。竹工芸の未来を担う人々が現れることを心から願っている。