専業主婦の年金はどう変わる?「第3号被保険者」見直しをやさしく解説

最近、「専業主婦(主夫)の年金制度が変わるらしい」「第3号被保険者が廃止されて、年20万円も払うことになるの?」といったニュースやSNSの投稿を目にする方が増えています。

この記事では、今話題になっている
「主婦・主夫年金(第3号被保険者)」見直しの議論について、現在決まっていること・まだ決まっていないことを整理しながら、家計への影響や背景にある問題をわかりやすく説明します。

そもそも「第3号被保険者」とは?専業主婦の年金の仕組み

まずは、ニュースでよく出てくる「第3号被保険者」という言葉の意味から確認しましょう。

  • 第1号被保険者:自営業者・フリーランス・学生・無職の人など。自分で国民年金保険料を払う人。
  • 第2号被保険者:会社員・公務員など。給料から厚生年金保険料が天引きされる人。
  • 第3号被保険者:第2号被保険者(会社員・公務員)に扶養されている配偶者(主に専業主婦・専業主夫、パートなどで一定の収入以下の人)。

第3号被保険者の大きな特徴は、
本人は年金保険料を払っていなくても、国民年金に加入している扱いになる
という点です。これにより、老後に受け取れる基礎年金(国民年金)は、保険料を払っている人と同じ計算で受け取ることができます。

この仕組みは、専業主婦(主夫)や、子育てや介護などで働きにくい人を支える目的で作られましたが、「負担の公平性」の観点から、ここ数年ずっと議論の的になってきました。

今、話題になっているニュースのポイント

今回のニュースでは、主に次の3つが話題になっています。

  • ニュース内容1:「今後は『第3号被保険者』廃止で、専業主婦でも『年20万円』の保険料負担に!?」という見出しで、SNS上では「家事・育児を一人で担っているのに」「学童保育がいっぱいで預けられないのにどうしたらいいのか」といった不安や不満の声が紹介されています。
  • ニュース内容2:「遠い『主婦年金』廃止 厚労省・自民の本命は縮小」という内容で、完全な廃止よりも、まずは制度の縮小を進めていく方向が中心になっていることが伝えられています。
  • ニュース内容3:「“主婦・主夫年金制度”見直しへ…対象者が縮小された場合、家計負担はどうなる? 専門家が試算」という報道では、将来的に第3号の対象が狭まった場合の、家計への負担増について専門家が具体的な数字を使って解説しています。

これらのニュースが一斉に出たことで、「専業主婦もいきなり年20万円払わなきゃいけなくなるの?」という不安が広がりました。

「年20万円の保険料負担」はどういう意味?

ニュースで出てくる「年20万円」という数字は、
国民年金保険料を自分で払うようになった場合の目安としてよく使われています。

例えば、
2026年度の国民年金保険料は、月額16,980円とされています。年間にすると、およそ
20万円強となります。

現在の第3号被保険者は、この金額を自分では払っていません。しかし、もし将来的に第3号制度が縮小・廃止され、第1号被保険者として扱われるようになれば、
自分でこの保険料を負担する可能性がある、というイメージから「年20万円」という数字が語られています。

ただし、現時点で「すべての専業主婦が必ず年20万円を払う」と決まったわけではありません。あくまで、制度が大きく変わった場合に想定される負担額の一例として紹介されている数字です。

第3号被保険者制度は「すぐには廃止されない」

ここで重要なのは、現時点での決定事項と、まだ議論中の部分をきちんと分けて理解することです。

複数の専門家の解説や、年金制度の情報を整理すると、現在の状況は次のようにまとめられます。

  • 第3号被保険者制度そのものの「即時廃止」は決まっていません。
  • 2025年の年金制度改正でも、第3号制度の完全廃止は見送られたとされています。
  • 一方で、社会保険の適用範囲を広げるなどして、第3号に該当する人を少しずつ減らしていく方向性は、すでに決まりつつあります。

つまり、今起きているのは、「今すぐ“主婦年金”をやめます」という話ではなく、「制度を段階的に見直して、第3号の対象者を徐々に縮小していきましょう」という流れです。

SNSで出ている「不安の声」――家事・育児・学童の問題

ニュース内容1では、SNS上の声として

  • 「家事・育児を全部一人でやっているのに、さらに年金保険料まで払うの?」
  • 「フルタイムで働きたくても、学童保育がいっぱいで子どもを預けられない
  • 「夫の転勤についていく形で働きづらくなっているのに、不公平ではないか」

といった意見が紹介されています。

こうした声が出る背景には、
「働きたくても働けない状況」がある人も多い
という現実があります。例えば、

  • 保育園や学童保育の定員がいっぱいで、子どもを預ける先がない
  • 親の介護や家族の病気で、外で働く時間を取れない
  • 地方に住んでいて、そもそも働き口が少ない

といった事情です。

第3号制度の見直しをめぐる議論では、
「不公平だからといって一気に廃止するのは現実的ではない」という意見も多く、こうした「やむを得ず専業でいる人」への配慮をどうするかが大きなテーマになっています。

厚労省・与党の「本命」は「縮小」路線

ニュース内容2で報じられているように、現時点での政府・与党側の動きは、
「第3号被保険者制度をすぐに完全廃止する」よりも、「制度を縮小していく」方向が中心だとされています。

具体的には、

  • 社会保険の適用拡大:パートや短時間労働者でも、一定の条件を満たせば、勤務先の厚生年金・健康保険に加入する対象を増やす。
  • 「年収の壁」から労働時間や勤務条件を基準にした仕組みへの見直しを進め、扶養にとどまる人を減らしていく。

こうした見直しが進むと、今までなら「配偶者の扶養内でパートをして第3号だった人」が、
社会保険に自分で加入し、第3号から外れるケースが増えていきます。

その結果として、第3号被保険者に該当する人の数は、制度そのものを残したままでも、実質的に減っていくことになります。

対象が縮小された場合の「家計負担」はどれくらい?

ニュース内容3では、主婦・主夫年金制度(第3号)の対象者が縮小された場合に、
家計にどれだけの負担が増えるのかを専門家が試算する内容が伝えられています。

一般的に想定されているのは、次のようなケースです。

  • これまで:専業主婦(主夫)として第3号。自分では年金保険料を払っていない
  • 見直し後の一例:第3号の対象から外れ、第1号被保険者として国民年金保険料を自分で支払う

この場合、先ほども触れた通り、
保険料は年間でおおよそ20万円前後となります(年度によって変動します)。

専門家による試算では、例えば

  • 10年間続くと、合計で約200万円の負担増
  • 20年間続けば、約400万円前後の負担になる可能性

などが紹介され、「住宅ローン・教育費・生活費に加えて、これだけの固定費が増えると家計への影響は小さくない」という指摘がされています。

ただし、これもあくまで「第3号制度が大きく変わった場合」に想定されるシミュレーションであり、
今すぐ全員がこの負担を背負うことが決まったわけではありません。

「不公平感」と「支え合い」のバランスが議論の背景に

今回の議論の背景には、次のような問題意識があります。

  • 共働き世帯が増え、夫婦ともにフルタイムで働きながら、保育料や保険料を負担している家庭から見ると、「専業主婦世帯だけ年金保険料を払わなくていいのは不公平では?」という声がある。
  • 一方で、専業主婦・主夫の側には、「家事・育児・介護という無償の労働を担っている」「働きたくても働けない事情がある」という現実がある。
  • 高齢化が進み、年金制度全体の負担が重くなる中で、どのように「負担と給付のバランス」を取るかという課題がある。

このように、
「不公平だから見直すべき」という意見と、「生活実態に配慮すべき」という意見がぶつかっているのが、主婦・主夫年金見直しをめぐる議論の特徴です。

そのため、制度を変えるにしても、

  • いきなり一律に廃止するのではなく、段階的に縮小していく
  • 低所得の世帯や、やむを得ない事情で働けない人への配慮策を検討する

といった方向が模索されています。

「もう決まった」と思い込まないことが大切

SNSでは、インパクトの強い見出しだけが広まり、

  • 「来年から専業主婦も全員年金を払わないといけないらしい」
  • 「第3号がなくなって、今まで払っていない分まで請求される」

といった形で、誤解や不安が一人歩きすることがあります。

現時点で重要なのは、
「何がすでに決まっていて、何がまだ議論中なのか」を落ち着いて確認すること
です。

  • 決まっていること:社会保険の適用範囲を広げる方向、短時間労働者への厚生年金・健康保険の加入を広げる方向など。
  • まだ決まっていないこと:第3号被保険者制度そのものをいつ・どのような形で廃止するのか、専業主婦・主夫にどの程度の保険料負担を求めるのか、といった具体的な制度設計。

制度は、多くの場合、
何年もかけて議論・調整が進められ、段階的に変わっていきます。突然、翌年から大きな負担が一気に増える、というケースはめったにありません。

これから何に気をつけて情報収集をすればいい?

今後の家計や働き方を考えるために、次の点に注意して情報をチェックしていくとよいでしょう。

  • 公的な情報源を確認する:厚生労働省や日本年金機構などの公式サイト、自治体からの案内など。
  • 「いつから」「誰が対象か」を必ず見る:制度改正のニュースには、施行時期と対象者が必ずあります。自分の家庭にいつから影響があるのかを冷静に確認することが大切です。
  • 家計のシミュレーションをしてみる:もし年金保険料を自分で払うことになった場合、年間20万円前後の負担が家計にどのような影響を与えるか、事前にイメージしておくと安心です。

不安な場合は、ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

まとめ:専業主婦・主夫の年金は「議論が本格化している最中」

専業主婦・主夫の年金(第3号被保険者)をめぐる議論は、今まさに本格化しているところです。今回のニュースで見えてくるポイントを整理すると、次のようになります。

  • 第3号被保険者制度の「すぐの廃止」は決まっていない。
  • 社会保険の適用拡大などを通じて、第3号に残る人を徐々に減らしていく「縮小」路線が現実的な方向として進んでいる。
  • もし第3号が大きく見直されれば、専業主婦・主夫も年間20万円前後の年金保険料を自分で払う可能性があるが、具体的な制度設計はまだ決定していない。
  • 家事・育児・介護を担う人や、働きたくても働けない人への配慮をどうするかが、大きな論点になっている。

今は、「もう全部決まってしまった」とあきらめたり、「どうせ変わらない」と目をそらしたりするのではなく、
制度の動きに注目しながら、自分の家庭の働き方・家計をどうしていくかを少しずつ考え始める時期といえるでしょう。

今後も、新しい情報が出てきた際には、「誰に」「いつから」「どのくらい」の影響があるのかを落ち着いて確認し、自分や家族にとって最適な選択ができるよう備えていくことが大切です。

参考元