2026年のおせち事情:500円赤字販売から多様なトレンドまで
500円のおせち登場――その背景と赤字販売の理由
物価高騰の影響により、おせち料理の購入をためらう家庭が増えています。昨年のおせち平均価格は2万7826円。高額化が進み、伝統的なおせちを家で手作りする人も少なくありません。しかし、安いスーパーで食材を揃えても家族分だと1万5000円〜2万円は掛かるため、「少しでも節約したい」という声が聞かれます。そのような状況下で今年、一個500円(税込・送料別)の「おためしおせち」が登場し、話題を呼んでいます。
この「おためしおせち」を開発・販売している久松では、「赤字になる」と宣言しつつ限定販売を行っています。年間約25万個のおせちを製造する同社は、大量発注による原価の抑制や自社製造・販売の工夫を凝らし、14品目入り500円という驚きの安さを実現しました。内容は、黒豆や金時イモ、エビ、ホタテ、伊達巻などが詰まっていて、一品あたり約35円という破格です。
「おせち離れ」への対応と限定販売の狙い
近年、「おせち頼まない」「揚げ物のオードブルや刺し身で代用」という声が相次ぎ、おせち離れが進んでいます。この傾向に待ったをかけるために、企業側は破格の「お試しおせち」を投入。狙いは「おせちは高い、失敗したくない」という消費者心理に寄り添い、本製品購入前にまず味や内容を確認してもらうことです。
「おためしおせち」は今年4000個限定で準備され、すでに半数が売れるなど反響は非常に大きいものとなっています。また、和洋のおせちだけでなく和洋中などバリエーションも増やし、少人数用も豊富に揃えることで、多様化する家庭のニーズに対応しています。
2026年通販おせちのトレンド
今年の通販おせちは、YouTuber監修商品や推し活・ソロ活専用おせちなど、従来とは違う切り口の新商品が続々登場しています。「オリジナリティ」や「自分だけの正月」という価値観が反映されており、単身世帯向けの“小分けおせち”も人気を集めています。
- YouTuber監修おせち: 有名動画クリエイターがプロデュースするおせちは、若年層に好評。SNS映えやコンセプト重視で販売されている。
- 推し活・ソロ活おせち: アイドル・キャラクターなど“推し”をテーマにしたおせちも登場。推し色や推しグッズ付き、おひとり様向けの少量仕様が特徴。
- プロが教える売れ筋: 具材・盛り付けの華やかさ、冷凍技術、少人数用、コラボ商品などが消費者動向のカギ。
このようなトレンドは、従来の家族団らんや正月の伝統という枠を超え、個人や趣味を楽しむ「新・おせち文化」を形成しつつあります。
【数量限定】彩(いろどり)三段おせち2026、予約受付中
主力ブランドのおせちも年末商戦がスタートし、百貨店では早くも完売商品が出るなど盛況ぶりが伝えられています。特に「彩(いろどり)三段おせち2026」は数量限定で予約受付が始まりました。内容は伝統の和食材をベースに、西や中華テイストも加えた三段仕様。冷凍技術の向上で「美味しさが保たれる」との評判もあり、家族や親しい人々と分け合うのに最適な一品です。
- 彩り豊かな三段重: 黒豆、伊達巻、数の子からローストビーフ、中華風エビチリまで多種多様。
- 冷凍技術活用: 法事や遠方の家族への発送でも、品質と美味しさをキープできる点が支持される。
- 少人数・個人向けも拡充: 一人暮らし・小世帯向けラインナップも充実。当日のニーズに合わせた選択肢が増えた。
おせち料理の役割とこれから
おせちは「家族で囲む和のお祝い食」「正月最初の食事」として、日本文化の中で重要な役割を担ってきました。しかし、物価高騰や家族構成の変化、新しいライフスタイルの普及などにより、伝統と現代が交錯する多様な市場へと変化しています。
安価な「おためしおせち」、個性や趣味を反映した“推し活”仕様、少人数向けの商品の増加。この流れは、おせちが「伝統を守るだけの料理」から「それぞれの暮らしや楽しみ方に合わせる、自由な年始の味わい」へと進化し続けている証です。
さいごに――消費者目線で楽しむ2026年おせち選び
今年のおせちは、“500円赤字販売”から始まり、個性・多様性を重視したトレンドが目立ちます。値段の高騰やおせち離れが広がる一方、企業側は「試してから選べる」「自分らしく楽しめるおせち」を提案し、消費者の不安や変化する要望に寄り添っています。予約限定商品や通販でしか手に入らない新企画、さらには冷凍技術の進化で美味しさと利便性が両立するなど、おせち市場は大きな転換期を迎えています。
正月の食卓を囲む楽しさはそのままに、家族や友だち、一人ひとりの記念すべき新年のスタートを彩る、自分だけのおせち選び。2026年のおせち事情は「価格・質・個性」が融合した、まさに“今”の日本を映す鏡となりそうです。




