トヨタ自動車、128万台規模の大規模リコールを発表 ─ パノラミックビューモニター(周囲映像モニター)の不具合について

2025年10月29日、トヨタ自動車株式会社は、大規模な自動車リコールを国土交通省に届け出ました。今回リコールの対象となるのは、2021年9月1日から2025年9月25日までに生産された合計128万5002台もの車両です。その中には、ノアヴォクシーアルファードプリウスなどの主要42車種が含まれています。そのほか、クラウン、RAV4、ハリアー、カローラクロスなど人気モデルも対象です。レクサス車や、スバルにOEM供給されている「ソルテラ」なども含まれているため、多くのユーザーに直接影響が及ぶ事態となっています

リコールの原因と内容

今回のリコールの主な原因は、パノラミックビューモニター(周囲映像モニター)制御プログラムにあります。通常、このシステムは車両周囲の状況を映像で運転者に表示し、安全な運転や駐車をサポートする重要な役割を担っています。ところが、制御プログラムの検討が十分に行われていなかったことで、モニターの映像がずれる一時的に停止する、あるいは映らなくなるなどの不具合が発生することが判明しました。これにより、保安基準に適合しない可能性があると判断され、リコールとなりました

パノラミックビューモニターとは

パノラミックビューモニターは、複数のカメラを用いて車両の前後左右、さらには真上から見下ろしたような映像(バードビュー)を合成し、運転者に車両周囲の情報をわかりやすく表示するシステムです。これにより、狭い道や駐車場での運転が格段に安全かつ容易になります。近年、この装置はミニバンやSUV、セダンを問わず幅広い車種に搭載が進んでおり、とくに家族層やシニア世代に人気の装備です。

不具合の詳細

  • 映像が実際の車両の位置とずれて表示される
  • 操作中に映像が一時的に停止する
  • 場合によってはまったく映像が表示されなくなる

これらの不具合は、たとえば駐車の際に車両と障害物の距離や角度を誤認する原因となるため、非常に危険です。運転支援機能に大きく依存している利用者が多い現代において、重大な安全リスクを孕んだトラブルといえるでしょう。

リコールの対象車種

リコールの対象車両には、以下のように多様なモデルが含まれています。
ご自身のお車がリコールの対象かどうかは、トヨタ公式ウェブサイトの「リコール等情報対象車両検索」で調べることができます

  • ノア
  • ヴォクシー
  • アルファード
  • ヴェルファイア
  • プリウス
  • クラウン
  • RAV4
  • ハリアー
  • カローラクロス
  • カローラアクシオ
  • カローラフィールダー
  • その他トヨタ車 35車種以上
  • レクサス車(LBX、LM350hなど)
  • スバル「ソルテラ」などOEM供給車

リコール対象台数

今回のリコールは、合計128万5002台に及びます。これは日本国内の自動車リコールの中でも屈指の規模となります。

不具合がもたらすリスクとユーザーへの影響

パノラミックビューモニターは、特に駐車時や狭い道での通行において不可欠な安全装備です。この不具合は、運転者が死角の状況や周囲の障害物の有無を正確に把握できないおそれを生じさせます。その結果、

  • 駐車時の誤判断による車両や周囲の物への損傷
  • 歩行者との接触事故のリスク増大
  • 運転者本人や同乗者の
    安全性の低下

など、多方面でのリスクが懸念されます。

トヨタの対応とリコール作業について

トヨタ自動車は、リコール該当車両のプログラムを対策仕様へ変更する修理を無償で実施します。ただし、一部車種については修理準備に時間を要しているため、順次案内を行う形となる見込みです

お客様には多大なご不便とご迷惑をおかけしますが、順番に最寄りのトヨタ販売店にて修理を受けられるので、案内が届いたら速やかな対応をお願いします。
また、詳細な状況はトヨタ公式ウェブサイトや、レクサス車の場合はレクサスのリコール情報ページで随時公開されます。

リコール情報の確認方法

  • トヨタ自動車公式「リコール等情報対象車両検索」から車台番号を入力して確認
  • トヨタ販売店に直接問い合わせ
  • お客様相談センター(0800-700-7700:年中無休 9:00~17:00)へ相談

リコール修理は無料で受けられるため、該当車両をお持ちの方は必ず事前にご自身の愛車がリコール対象かご確認ください。
なお、お手元に自動車検査証(車検証)をご用意のうえでお問い合わせいただくと、手続きがよりスムーズです。

車を安心して乗るために大切なこと

車の安全は、ご自身と家族、そして社会全体の安心にも直結する大切な要素です。近年、電子制御技術や先進運転支援システムの搭載が進む中、ソフトウェアの不具合で大規模なリコールに至るケースも増加傾向にあります。今回の件も、「高度な安全装備は正しく機能することが前提」であり、そのための万全な品質管理が必要であると改めて実感させられます。

運転中に「画面表示がおかしい」「カメラの映像が途切れる」など、少しでも違和感を感じた場合は、

  • 無理にシステムを頼らず、目視やミラーでの安全確認を徹底する
  • 安全な場所に停車し、車両のトラブル状況を調べる
  • 判断に迷った場合は早めに販売店やディーラーへ相談する

このような対応を心掛けることが重要です。

トヨタ自動車からのお詫びと今後の対応

トヨタ自動車は「ご愛用のお客様には大変ご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます」と公式ウェブサイトでコメントを発表しています
また、リコール作業が円滑に進むよう、必要な情報や今後の進捗については公式HPや販売店を通じて速やかにお知らせする方針です。

まとめ ─ 安心安全なカーライフのために

今回のトヨタ自動車による大規模リコールは、多くのオーナーやご家族にとって突然のことであり、不安も広がっています。しかし、リコールへの迅速な対応こそが将来の安全性確保につながります。「自分の車は大丈夫だろう」と思わず、案内が届いたら必ず対応しましょう。最新の情報は公式サイトや販売店で確認できるので、不明点はお近くの店舗に気兼ねなくご相談ください。

参考元