ドイツ発老舗雑貨ブランド「フェイラー」大躍進 “失敗”から始まった若返りと構造改革
ドイツ発の老舗ハンカチ・タオルブランドとして知られるフェイラー(FEILER)が、日本で改めて大きな注目を集めています。長く「百貨店のギフト」というイメージが強かったブランドが、なぜここまで若い世代にも支持されるようになったのか。その裏側には、SNSを中心とした新しい発信と、経営トップによる構造改革がありました。
本記事では、フェイラーの若返りを支えたSNS戦略、八木社長が進めるブランドの構造改革、そして話題の「フェイラー×ロンハーマン」羽田限定ハンカチまで、現在進行形の動きをわかりやすく整理して紹介します。
フェイラーとはどんなブランドか
フェイラーは、ドイツで誕生した老舗のライフスタイルブランドで、シュニール織と呼ばれる独自の織物技術を生かしたハンカチやタオル、小物類で知られています。厚みのある柔らかな手触りと、色鮮やかな花柄や動物柄などのデザインが特徴で、日本では長年「上質なギフト」の定番として親しまれてきました。
一方で、長く続くブランドであるがゆえに、「母世代や祖母世代のブランド」という印象も根強く、若い世代との距離感が課題になっていました。ここ数年の大きな変化は、このイメージを良い形で引き継ぎながら、いかに若い世代にも選ばれるブランドへと生まれ変わるか、というチャレンジの結果ともいえます。
“失敗”から始まったフェイラーのSNS戦略
SNSに挑戦したきっかけと初期のつまずき
フェイラーが本格的にSNS活用に踏み切った背景には、消費者の情報収集の場がテレビや雑誌から、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSに大きく移行したという環境の変化があります。従来の百貨店中心の売り場だけでは、若い世代にブランドの魅力が届きにくくなっていました。
そこで同社は、公式アカウントの運用やオンラインでのキャンペーンなど、SNSを軸とした発信を強化していきます。しかし、最初からうまくいったわけではありません。ブランドイメージを守ろうとするあまり、かたい表現が多く、ユーザーとの距離がなかなか縮まらなかったり、「らしくない」投稿が一部の既存ファンから戸惑いを呼んだりと、試行錯誤が続いたといわれています。
ユーザー目線に立ち返ったコンテンツづくり
そうした中でフェイラー側が重視するようになったのが、「ユーザー目線」「共感される具体的なシーンの提案」です。単に商品写真を並べるのではなく、
- 毎日の通勤や通学でハンカチを使うシーン
- 小さな子どもとのお出かけでタオルを活用する様子
- プレゼントとして贈ったときの喜びの声
など、生活の中でフェイラーがどう役立つのかを、画像や動画でわかりやすく伝える工夫を重ねていきました。
また、ユーザーが投稿したコーディネートや、ハンカチを背景にした「#今日のバッグの中身」といった写真を積極的に紹介することで、ブランドから一方的に発信するのではなく、ファンと一緒につくるSNS空間へと少しずつ変化していきました。
“失敗”が生んだ学びとブランド若返りの手応え
当初の戸惑いや、反応の薄かった投稿も、振り返ればどれも、ターゲットや伝え方を見直すきっかけになりました。どのようなビジュアルや言葉が若い世代に響き、どのような表現だとブランドらしさから外れてしまうのか。そうした試行錯誤を重ねる中で、フェイラーは「上質でありながら、生活に寄り添う可愛らしさ」という自分たちの強みを、SNS上でも自然に表現できるようになっていきます。
結果として、若い世代のフォロワーや新規ファンが増加し、「母からもらって好きになった」「ギフトで知って自分でも買うようになった」といった声がSNS上で目立つようになりました。かつては百貨店の売り場でのみ接点があった人たちが、スマートフォンの画面を通じてフェイラーを知り、店舗やECサイトへ足を運ぶ流れが生まれつつあります。
八木社長が進める、老舗ブランドの構造改革
「守るだけでは続かない」老舗の課題
フェイラーの大躍進の背景には、現経営トップである八木社長による構造改革も大きく関わっています。長い歴史を持つブランドは、「今まで通り」が安心材料になる一方で、市場や生活者の変化に対応しづらいという側面もあります。
特に、日本市場においては、
- 百貨店依存の販売チャネル
- 固定化したターゲット層
- 「高級ギフト」のイメージの強さゆえの日常使いのしにくさ
といった課題がありました。こうした状況を前に、八木社長は「ブランドの核となる価値は守りながら、仕組みや見せ方は変えていく」という方向性を打ち出します。
商品・チャネル・コミュニケーションの三位一体改革
構造改革は、大きく商品戦略・販売チャネル・コミュニケーション戦略の三つで進められているとされています。
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商品戦略の刷新
従来の定番柄を大切にしつつ、季節やトレンドを意識した新柄やコラボレーションを展開。サイズや形のバリエーションも増やし、ハンカチやタオルだけでなく、ポーチやバッグなどライフスタイル全体を彩るアイテムへとラインナップを広げています。 -
販売チャネルの多様化
百貨店での対面販売を守りつつ、自社ECサイトやオンラインモールでの販売を強化。SNSで話題になった商品が、オンラインからすぐに購入できる流れを整えることで、デジタル世代との接点を増やしています。 -
コミュニケーション戦略の転換
前述のSNS戦略を中心に、ブランドストーリーや職人の技術背景、デザインに込めた思いをわかりやすく発信。単なる「モノ」としてではなく、「大切に長く使いたくなる相棒」としての価値を伝える方向へ舵を切っています。
これらの改革は、短期間で完了するものではありませんが、少しずつ成果が表れ始めています。売上や認知度の向上に加え、社内の意識変化や、新しい企画に挑戦しやすい空気が生まれた点も大きいといえます。
老舗であり続けるための「変わり続ける姿勢」
八木社長が進める構造改革の本質は、「老舗だから変わらない」のではなく、「老舗であり続けるために変わり続ける」という姿勢にあります。シュニール織という核となる技術や、品質へのこだわりはそのままに、時代に合わせたデザインやコミュニケーションを取り入れることで、フェイラーは次の世代へとバトンを渡そうとしています。
この流れの象徴ともいえるのが、次に紹介するロンハーマンとのコラボレーション
「フェイラー×ロンハーマン」羽田限定ハンカチが話題に
開封するのがもったいない、特別感のあるコラボ
フェイラーの若返りを印象づけた取り組みとして、セレクトショップ「ロンハーマン」とのコラボレーションが大きな話題になっています。中でも、羽田での限定ハンカチは、発売当初からSNS上で多くの注目を集めました。
ネット上では、
- 「開封するのがもったいない」
- 「傍目に見ても上品」
- 「柄も素材も最高」
- 「最高のコラボ」
といった声が相次ぎ、その美しさと特別感が多くの人の心をつかんでいる様子がうかがえます。フェイラーならではの柔らかな質感に、ロンハーマンらしい洗練されたテイストが加わり、世代を問わず持ちたくなるアイテムとして受け止められています。
限定性とブランド世界観の融合
羽田限定という「ここでしか買えない」要素も、このコラボの魅力を高めています。旅行や出張の思い出として、自分用に購入する人はもちろん、大切な人へのギフトとして選ぶ人も少なくありません。
フェイラーの上質な素材感と、ロンハーマンのカジュアルでリラックスしたムードが組み合わさることで、「日常のちょっとした贅沢」を演出する一枚に仕上がっている点が、支持される理由のひとつといえるでしょう。
こうしたコラボレーションは、単なる話題づくりではなく、ブランドの世界観をわかりやすく体験してもらう場にもなっています。フェイラーを初めて手に取る人にとっては、限定コラボからブランドを知り、その後定番柄へと興味を広げていくきっかけにもなっています。
フェイラー躍進が示す、老舗ブランドの新しいあり方
SNSとリアル店舗が連動する時代へ
フェイラーの事例は、老舗ブランドにとって、SNSやデジタルが単なる情報発信の手段ではなく、ファンとの関係を育てる場になりつつあることを示しています。SNSで商品やコラボ情報を知り、限定品を求めて空港や店舗へ足を運び、使ってみた感想をまたSNSに投稿する——。こうした循環が生まれることで、ブランドとの接点は従来よりもずっと多層的なものになりました。
百貨店の売り場で受け継がれてきた「丁寧な接客」や「ギフト文化」は、オンラインでも形を変えて続いています。たとえば、ラッピングやメッセージカードの提案、贈り相手や用途に合わせたアイテム選びのガイドなど、温かみのあるコミュニケーションがデジタル上でも意識されています。
「変わらない良さ」をどう伝えるかが鍵
フェイラーの場合、シュニール織の手触りや、繰り返し洗っても色あせにくい素材の良さなど、本質的な価値は昔から変わっていません。変わったのは、それをどう見せ、どう伝えるかという部分です。
若い世代にとって、ハンカチやタオルは「どれでもいい日用品」になりがちですが、フェイラーの発信を通じて、「毎日使うものだからこそ、少しこだわって選びたい」「お気に入りの一枚があると気分が上がる」といった価値観が共有されつつあります。そこには、長く愛されてきたブランドならではの説得力があります。
今後のフェイラーに期待されること
フェイラーのSNS戦略や構造改革、コラボレーション展開は、老舗ブランドが新しい世代とどのように向き合っていくかを考える上で、多くの示唆を与えてくれます。今後も、国内外のパートナーとのコラボや、新たな生活シーンに寄り添うアイテムの展開など、ブランドの核を大事にしながら広がりを生む取り組みが続いていくと見られます。
フェイラーのハンカチやタオルをすでに愛用している人にとっては、ブランドの変化を一緒に楽しむ時期でもあり、まだ手に取ったことがない人にとっては、「最初の一枚」を選ぶ絶好のタイミングともいえるでしょう。羽田限定のような特別なコラボから入るのも、定番の花柄から試してみるのもおすすめです。
老舗であることと、新しさを追求することは、決して矛盾しません。フェイラーの歩みは、その両立が可能であることを、具体的な形で示しつつあります。



