しまなみ海道、尾道―今治航路が26年ぶりに復活

2025年10月、しまなみ海道を舞台にした新たな船の航路――広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「尾道―今治航路」が、実に26年ぶりに復活します。地域の旅客船運航事業者と自治体が協力する「しまなみ未来共創協議会」の取り組みにより、かつて定期航路として活躍したこのルートが、再び多くの旅人や地元の方々に新しい移動・観光の選択肢と魅力を届けることになりました。

しまなみ海道の歴史と新航路誕生の背景

しまなみ海道は1999年の開通と同時に自転車道が整備され、サイクリストの聖地として国内外から数多くの観光客を迎える名所となりました。一方、かつて尾道―今治間を結んでいた海上定期航路は同年に廃止され、このルートを船で渡る機会は限られていました。

しかし近年、観光需要や住民の利便性への要望が高まり、しまなみ海道の新たな価値創造を目指し、尾道と今治を直接結ぶ船の航路の整備が再検討されてきました。今回の航路復活は実証事業として2025年10月の土日祝日限定で運航される予定で、将来的な定期運航も見据えた大きな一歩となります。

実証事業の内容と運航ルートの詳細

  • 運航期間:2025年10月の土日祝日、合計9日間
  • 乗船方法:キャッシュレス(事前にアプリやWEB等でチケット購入可能)
  • 利用船種:「サイクルシップ」と呼ばれる自転車積載可能船を活用
  • 途中寄港地:生口島(瀬戸田港)、大三島(井口港)、大島(大島港)など複数の島に寄港可能
  • サイクリストや観光客だけでなく、地元住民の日常利用を想定

航路では、自転車も積載可能な船を使用し、美しい瀬戸内の島々や大橋を巡る特別なクルーズ体験が可能となります。途中の島々でも乗下船が可能で、立ち寄り観光も楽しめます。海上からしか見られない絶景を楽しみたい方にとって、まさに新たな船旅の形が誕生すると言えるでしょう。

地域活性化・観光振興への期待

しまなみ海道は、サイクリングロードや歴史的な港町、島ごとの特色を活かした観光地として、国際的にも注目されています。航路の復活を機に、瀬戸内の新しい魅力を発信し、地域経済の活性化に貢献することが期待されています。

  • 地域の観光業者・商店街が協力し、各港周辺で「スタンプラリー」や「クーポンキャンペーン」を展開
  • サイクリスト向けのサービス強化、観光情報発信イベントも実施
  • 公共交通の選択肢拡充により域内交流・住民生活も豊かに

船上から瀬戸内の島々や橋、海峡の景色を楽しみつつ、港町ならではのグルメや文化体験も提供されます。今治側ではタオルや造船の産業体験、尾道側では文学・映画の街としての魅力発信など、地域色豊かな多様な企画が予定されています。

サイクリストのための新たな体験

サイクリングロードとして知られるしまなみ海道ですが、今回の航路復活で船旅×サイクリングの組み合わせが可能になります。自転車の移動を含むルート設計が容易になり、距離・体力・観光時間などに合わせてさまざまな旅プランが立てられるのも大きな利点です。

  • サイクルトリップ初心者も安心してアクセス可能
  • 船で移動することで急坂や長距離路を回避し、好きな島だけ巡ることも可能
  • 島ごとの特色や食文化、伝統体験などと組み合わせたサイクルツーリズムの拡充

しまなみ海道が単なる道路・橋だけでなく、瀬戸内海の「水上回廊」として生まれ変わることで、より多様な旅のスタイルが広がっていきます。

住民・地域社会へのメリット

今回の航路開設は観光面だけでなく、地域住民の暮らしや交流にも大きな恩恵をもたらします。これまで鉄道やバスを利用していた瀬戸内海沿岸の移動に新たな選択肢ができ、島民同士の連携や都市・地方とのアクセス向上も期待されています。

  • 通学・通院・買い物など日常の利便性向上
  • 島間交流、伝統文化や祭りへの参加しやすさ拡大
  • 災害時の防災・避難ルートとしても有効

未来志向の地域づくりをめざし、住民と観光客がともに支え合う持続可能な社会モデルへの転換が進められます。

しまなみ海道の新たな魅力と今後の展望

しまなみ海道の航路復活は単なる交通手段の復活ではありません。地域資源の再発掘、持続可能な観光・地域経済の両立を実現するプロジェクトとして、関係機関や地元住民の協力が進みます。

  • 持続可能な船舶運航、安全性や環境配慮の取り組み強化
  • デジタル化(チケットのキャッシュレス購入など)、新たな観光サービスの提供
  • 将来的な定期運航への拡大、周辺地域との広域連携へ

しまなみ海道は、これまでサイクリングやドライブの聖地として親しまれてきましたが、海から瀬戸内の風景を楽しむ「船旅」の新たな可能性を開きます。舟で島々を巡ることで、地域文化や自然の魅力に出会い、それぞれの土地のストーリーを体感できる旅がひろがります。

まとめ:「しまなみ海道」の未来は海にも広がる

2025年10月、尾道―今治航路が26年ぶりに再び海上につながることで、しまなみ海道は新たな幕を開けます。サイクリストや観光客、地元住民にとって、島と島、人と人をむすびなおすこのプロジェクトが、瀬戸内の未来への大きな一歩となるでしょう。

これからのしまなみ海道は、道の上だけでなく、海の上にも多彩な物語が紡がれていくはずです。地域のみんなで支え合い、世界にも誇れる新しいしまなみの姿にぜひご注目ください。

参考情報・追加イベント

  • サイクルシップに乗って海上クルーズ+サイクリングルート探索
  • 各島でのスタンプラリー、クーポンキャンペーン
  • 港町ごとの季節イベント、文化体験、グルメフェアも随時開催
  • 安全性・環境への配慮と、スマート観光体験の拡充

参考元