積水ハウス、第3四半期決算で二ケタ減益に──売上高は過去最高も利益面で課題
大手住宅メーカーの積水ハウスが12月4日に発表した2026年1月期第3四半期決算は、売上高が過去最高を更新する一方で、利益面では大幅な減益となりました。国際事業の不振が響き、市場関係者の注目を集めています。
売上高は過去最高も利益が減少
積水ハウスの2026年1月期第3四半期累計(2月~10月)の連結売上高は2兆9,357億円となり、前年同期比で2.5%増加して過去最高を更新しました。住宅市場の堅調さを背景に、売上の面では成長を続けています。
しかし、利益面では明らかに勢いを失っています。営業利益は2,108億円で前年同期比9.3%の減益、経常利益は1,999億円で6.0%の減益となりました。そして最も顕著なのが親会社株主に帰属する四半期純利益で、1,470億円と前年同期比で10.8%の減益に陥っています。二ケタの減益幅は、投資家にとって重要な懸念材料となっています。
国際事業の減益が重しに
減益の主な要因は、国際事業の不振にあります。海外市場での業績低下が全体の収益を押し下げる結果となりました。一方、国内事業では堅調な動きが見られており、戸建住宅事業や賃貸住宅管理事業などが好調を維持しています。このように事業部門による業績のばらつきが、今期の特徴的な状況を作り出しています。
直近3ヶ月の決算状況
直近3ヶ月にあたる8月~10月期(第3四半期)の連結経常利益は633億円で、前年同期比3.4%の減益でした。また、この期間の売上営業利益率は前年同期の7.5%から6.0%に悪化しており、収益性の低下が進行していることがわかります。
通期計画に対する進捗率を見ると、第3四半期累計の経常利益1,999億円は通期計画3,210億円に対して62.3%の進捗にとどまっており、過去5年平均の72.7%を下回っています。この数字は、通期の業績達成に向けて第4四半期での巻き返しが必要であることを示唆しています。
通期見通しは据え置き、増収増益を予想
積水ハウスは第3四半期決算時点での通期予想を据え置いています。2026年1月期通期の連結業績予想は、売上高が4兆3,310億円(前期比6.7%増)、営業利益が3,400億円(同2.6%増)、経常利益が3,210億円(同6.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,320億円(同6.6%増)と、増収増益を見込んでいます。
これらの通期計画を踏まえると、第4四半期(11月~1月)の連結経常利益は試算で1,210億円に拡大する見込みとなっており、前年同期比で36.2%増加する計算になります。つまり会社側は、第4四半期での大幅な業績改善を見込んでいるということです。
財務状況と自己資本比率
第3四半期末時点での資産合計は4兆7,967億円で、前期末比0.3%減となりました。負債は前期末比1.3%増の2兆8,279億円、純資産は前期末比2.5%減の1兆9,687億円となっています。
自己資本比率は40.1%と、前期末の40.8%から若干低下しています。この点は、財務の安定性に対する市場の関心事となる可能性があります。
配当方針と株主への対応
積水ハウスは通期予想を据え置きとする中で、増配を見込んでいます。この姿勢は、一時的な減益にもかかわらず、中長期的な企業価値向上への確信と株主への配慮を示すものとして解釈されます。
市場への影響と今後の見通し
積水ハウスの第3四半期決算は、売上高で好調を示しながらも利益面での課題が明確になる複雑な結果となりました。国際事業の不振という構造的な問題を抱えつつ、国内事業の堅調さが全体を支えている状況が浮き彫りになっています。
第4四半期での業績改善が通期計画実現の鍵となります。市場関係者は、今後の受注動向やコスト改善の進捗状況、そして国際事業の立て直し取り組みについて、引き続き注視することになるでしょう。住宅市場の変動や海外での事業環境の変化が、積水ハウスの今後の経営に大きな影響を与える可能性があります。



