サンバイオとサイト-ファクト、アクーゴの安定供給に向けた新たな協業を開始
再生医療製品の品質管理強化へ基本合意契約を締結
遺伝子・細胞製剤の受託製造を手がけるサイト-ファクト株式会社とサンバイオ株式会社は、2025年12月3日、再生医療等製品「アクーゴ®脳内移植用注」に関する細胞特性解析の実施に向けた基本合意契約を締結しました。この契約締結により、両社はアクーゴの安定供給体制の強化と、一貫した品質確保に向けた取り組みを一層推進することになります。
これまでの共同解析の成果を生かした新段階へ
サイト-ファクトとサンバイオは、これまでアクーゴに関する細胞特性解析を共同で実施してきました。前回の解析で得られたデータは、アクーゴの出荷解除に向けた承認事項一部変更承認申請に活用されており、両社の協力体制がすでに大きな成果を生み出していることを示しています。今回の基本合意契約は、こうした成果を踏まえ、アクーゴの安定供給を支援するための細胞特性解析をさらに進めることを目的としています。
サイト-ファクトは、「遺伝子・細胞製剤に特化したCDMO(受託開発製造機関)」として、世界初のCAR-T細胞製品「キムリア点滴静注®」の商用製造に加え、国内外の治験製造やプロセス開発を行っています。GMP準拠の製造環境と独自の統合型製造管理システムを活用し、次世代の再生医療製造基盤の構築を推進している企業として知られています。
アクーゴについて、外傷性脳損傷の治療に期待
アクーゴは、サンバイオが開発した再生医療等製品で、ヒト骨髄由来加工間葉系幹細胞「バンデフィテムセル(SB623)」を主成分としています。外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善を適応として、2024年7月に先駆け指定制度のもとで条件及び期限付き製造販売承認を取得しました。この承認は、日本の再生医療分野における重要な進展を示すものとなっています。
サンバイオは東京に本社を置き、カリフォルニア州に子会社を有する再生医療企業です。既存の医療・医薬品では対処できず、アンメットメディカル・ニーズが高い中枢神経系領域の疾患を主な対象として、研究開発及び事業化を行っています。アクーゴの開発を通じて、多くの脳損傷患者の希望となることが期待されているのです。
両社の連携で品質管理と供給体制の強化を実現
今回の基本合意契約により、サイト-ファクトはサンバイオと連携し、細胞特性解析を通じて製品の一貫した品質確保及び安定的な供給体制の強化に取り組むことになります。細胞特性解析とは、細胞製品の品質や特性に関する詳細な試験を実施し、製品の安定性と信頼性を確保するための重要なプロセスです。
サイト-ファクトの石橋泰徳CEOは、本取り組みを通じて「再生医療等製品の科学的根拠に基づく品質管理支援及び供給基盤の強化に貢献し、再生医療・遺伝子細胞製剤分野のさらなる発展に努める」とコメントしています。この発言からは、両社が再生医療の未来を切り開くというビジョンを共有していることが伝わってきます。
再生医療産業の発展に向けた重要なステップ
両社の協業体制は、単なる商業的なパートナーシップにとどまりません。相互の技術・ノウハウ、経営資源等の有効活用を図ることによって、相互の事業・利益拡大、発展に資することを目的としています。このような包括的なアプローチが、日本の再生医療産業全体の競争力強化につながるものと考えられます。
アクーゴの安定供給体制が整備されることにより、外傷性脳損傷に苦しむ患者さんたちがより確実に治療を受けられる環境が整うでしょう。同時に、新たな細胞特性解析の実施は、さらなる製品改善や新しい適応症の開発にも繋がる可能性があります。
市場環境と今後の展開
今回のニュースは、再生医療分野における着実な事業推進を示すものとして評価されています。サンバイオやサイト-ファクトのような再生医療企業は、日本の成長産業として注目を集めており、その動向は業界全体の景況感を左右する要因となっています。
グロース市場全体の相場環境については、新興企業セクターの変動が続いている状況ですが、こうした戦略的な提携やビジネス展開は、長期的な企業価値の向上を示す好材料として受け止められることが期待されています。
まとめ
サイト-ファクトとサンバイオの新たな基本合意契約は、アクーゴの安定供給と品質確保に向けた両社の強い決意を示すものです。再生医療等製品の科学的根拠に基づく品質管理と、その供給基盤の強化は、日本の再生医療産業が世界に通用する競争力を持つために不可欠な要素です。両社の連携が、多くの患者さんに希望と治療の機会をもたらすことを期待しましょう。




