NTT株価1年の軌跡と最新決算分析

2025年8月、NTT(日本電信電話株式会社)の株価は多くの投資家の注目を集めています。昨年の今頃にNTT株を購入していた場合、果たして「吉」と出たのか「凶」と出たのか――そのリターンを振り返ると共に、直近の決算内容や市場動向、アナリスト予測など多角的に解説します。NTTという日本最大級通信企業のこの1年をわかりやすく、丁寧にお伝えします。

NTT株を1年前に買っていたら…リターンを検証

  • 過去1年間の株価推移
    2024年夏以降、NTTの株価は安定した動きを見せつつも、グローバルな通信事業や新技術への投資などから一定の成長を記録しました。直近の株価(日毎データ)は、2025年7月初旬で154円前後で推移していました。例えば2024年8月に購入した場合、同期間の株価変動や配当を加味すると、一定のリターンが見込めた期間と言えるでしょう。
  • この1年のマーケット評価
    アナリストの2025年8月時点の平均目標株価は175円、現在の株価より5.71%の上昇余地とされています。「買い」判断が多く、強気の見方が目立ちます。「強気買い」が5人、「買い」3人という構成です。
  • 株主還元の状況
    NTTは安定的な配当政策を掲げており、株主還元にも積極的です。過去数十年にわたり、着実に配当金を支払ってきました。

2025年度第1四半期決算のポイント

  • 営業収益と利益の現状
    2025年度第1四半期(4月~6月)の連結営業収益は前年同期比で0.7%増、3兆2,620億円とほぼ横ばいでした。一方で、営業利益は7.0%減の4,051億円、四半期純利益は5.3%減の2,597億円となり、利益面では減少が目立ちます。ただし通期では増収増益予想が示されており、今後の回復が期待されます。
  • 主な事業・新戦略
    NTTはIOWN(アイオン)構想やAI活用、グローバル事業展開など、新たな収益源創出に挑んでいます。通信分野に留まらず、デジタルヘルスケア、スポーツビジネス、環境技術など多角化路線を進めている点も注目ポイントです。

市場の反応・信用動向

  • 信用残の増加
    NTTの信用売り残は8月8日~8月15日で7,403千株増加、合計14,844千株に。信用倍率は5.17倍となっており、売りポジション増加が目立ちます。これは一部投資家が短期的な株価下落を予想する姿勢を示していますが、必ずしも長期の企業価値を否定するものではありません。
  • アナリストコンセンサス
    みんかぶによるアナリスト予想では「買い」と評価されており、平均目標株価は175円。今後も緩やかな上昇トレンドが期待されています。また、株価情報や掲示板上の投資家感情も、おおむねポジティブ傾向にあります。

他社の決算速報と日本株環境への影響

  • 関連業種の最新決算
    東京電力ホールディングス(東電力HD)は2026年3月期第1四半期で純損益が8,576億円の赤字となり、業界全体の不安要素となっています。NTTと直接の連動は薄いものの、インフラ業界全体の収益性や投資意欲へ間接的影響を及ぼす可能性はあります。
  • NTTへの影響
    電力分野のリスクや他社の減益・赤字転落により、NTTの安定性や収益基盤がより強調される場面も見られます。通信インフラ事業の堅調さ、そして分野横断の新規事業への期待も投資家心理を下支えしています。

最新株価の確認方法と情報収集

  • 公式情報の重要性
    株主・投資家向けの公式サイトではNTT株価の過去データ、配当状況、企業方針など詳細に確認できます。信頼性高い情報収集を心がけましょう。
  • 最新市況情報
    Yahoo!ファイナンスなど金融情報サイトでリアルタイム株価やマーケットニュースを取得できます。掲示板での投資家の声も、市場心理を知る参考材料となります。

今後の見通しと注意点

  • 業績回復への期待
    2025年後半に向けて、NTTは通期での増収増益を目標に掲げており、下期の新事業や海外展開など『攻め』の姿勢が注目されています。今後も技術革新や成長市場への取り組みが株価をけん引する可能性があります。
  • 投資判断のポイント
    短期的な株価の上下に左右されない長期視点、そして配当・安定収益の重要性を意識することが肝心です。一方で信用売り残の増加や景気変化など、リスク要因も常に意識しましょう。

まとめ

NTT株を1年前に購入していた場合、安定した配当と緩やかな株価上昇により総じて「吉」と評価できる展開でした。一方で、最新決算では一時的な減益があるものの、長期業績回復への道筋は明るいというのが市場の大勢です。投資判断にあたっては引き続き企業動向と公的情報の確認を徹底し、冷静な目で株価の推移を追うことが大切です。

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