メタ・プラットフォームズが決算発表、株価は時間外取引で7%下落
メタ・プラットフォームズ(META)が2025年第3四半期(7月~9月期)の決算を発表しました。売上高は前年同期比26%増の512億ドル、営業利益は18%増の205億ドルと、一見すると好調な業績ですが、純利益が83%減少したことが明らかになり、市場は失望感を示しています。決算発表後の時間外取引では株価が7%下落するなど、投資家からのネガティブな反応が強まっています。
好調な売上高と営業利益、しかし純利益は大幅減
メタの第3四半期決算では、売上高が512億ドルと市場予想の494億ドルを上回る成長を達成しました。これは主に、AI技術を活用した広告レコメンデーション機能の導入によるFacebookとInstagramの広告収益の増加によるものです。営業利益も205億ドルと堅調な伸びを見せており、コア事業の強さを示しています。
しかし、注目すべきは純利益の動向です。今四半期の純利益は前年同期比で83%減少し、1株当たり利益(EPS)も1.05ドルと市場予想の6.74ドルを大きく下回りました。この大幅な利益圧縮の主な要因は、税費用の計上によるものと報告されています。営業利益は増加しているにもかかわらず、最終利益が激減するという異例の決算となりました。
資本支出の大幅増が投資家の不安要因に
メタ経営陣が発表した2025年通年の資本支出見通しが、投資家の懸念を大きく増幅させています。同社は資本支出を660億ドルから720億ドルの範囲に設定し、前年から約300億ドル増加させることを明らかにしました。この巨額投資は、「タイタン・クラスター」データセンター建設などAIインフラストラクチャーの構築を目的としたものです。
このような大規模な設備投資計画により、メタの営業利益率とフリーキャッシュフローが圧迫される可能性が高く、これらのAI投資がどの程度の収益化を実現できるかが、決算説明会における最重要テーマとなっています。市場では、設備投資の積み増しだけではなく、その投資からいかなるリターンが生まれるのかという具体的な成果見通しが強く求められています。
AI競争激化の中での戦略の明示が課題
メタの株価下落には、AI分野における競争激化という背景があります。OpenAIが大規模な投資計画を相次いで打ち出していることが市場で逆風となり、メタの株価は9月下旬以降、頭打ちとなっていました。今回の決算では、ライバルの急拡大に対抗できるだけの明確な戦略を示す必要がありました。
しかし、単にAI関連の設備投資額を増やすだけでは、投資家の不安を払拭するには不十分と判断されたようです。実際の決算説明会では、新製品の収益化状況や新たなAI搭載デバイスの採用状況、そして何よりこれらの投資からどのような収益源が生まれるのかという具体的な説明が求められていました。
広告事業の堅調さも世界経済の不透明感に左右される懸念
メタの大黒柱である広告事業は、AI活用による改善で堅調な伸びを維持しています。しかし、世界経済の不透明感が増す中、今後の広告需要の減速も懸念されています。景気後退局面では広告主の予算が削減される傾向があり、メタの収益成長に対する投資家の見方にも影響を与える可能性があります。
第3四半期は売上高の成長率が前四半期とほぼ同じ21.9%程度と予想されていたものの、1株当たり利益の成長が前四半期の38.4%増から11.8%増へと大きく鈍化する見込みもありました。こうした成長率の鈍化に加え、純利益の83%減という想定外の結果が、時間外取引での株価下落につながったとみられます。
市場の厳しい評価と今後の展開
メタは直近22回の四半期決算のうち、売上高が市場予想を超えられなかった四半期が3回、1株当たり利益で予想のクリアに失敗した四半期が5回あります。今回のように売上高で予想を上回りながらも、利益面で大きく下回るという結果に対して、市場の評価は厳しくなりやすいという傾向があります。
投資家の注目は、今後のフォワードガイダンス、特に2025年第4四半期および2026年通期の見通しに集まっています。現在のところ、多くの良いニュースが市場に織り込み済みと見なされている中で、メタがいかに説得力のある成長戦略と収益性の見通しを提示できるかが、株価の動向を左右する重要なポイントとなるでしょう。
