マルハニチロ株価、株式分割決定と業績発表――「社名変更記念優待」に注目集まる
マルハニチロ、1株から3株への株式分割と社名変更記念株主優待発表
水産業界の最大手マルハニチロ株式会社(証券コード:1333)は、2025年11月10日取引終了後、「1株を3株に分割」する株式分割の実施と、社名変更に伴う記念株主優待を正式に発表しました。この株式分割は2025年12月31日時点の株主に適用され、最低投資金額が現状の3分の1に引き下げられます。これにより、従来よりも多くの個人投資家がマルハニチロ株を取得しやすくなる見込みです。
また、配当予想についても分割にあわせて期末配当予想を60円から20円に修正していますが、実質的な変更はなく、株主還元の姿勢を維持しています。
株価の推移と分割インパクト
2025年11月10日時点の株価終値は3,515円を記録しており、年初来高値は3,600円(9月10日)、年初来安値は2,874円(1月17日)となっています。1株が3株に分割されることで、投資の敷居がさらに低くなり、取引量の増加や流動性向上が期待されます。分割後は100株単位で約11万円の投資から参加可能となり、多くの個人投資家にとって魅力的な水準となります。
- 2025年10月以降、株価は3,300~3,500円台で安定的に推移
- 分割を受けて出来高も活発化、注目度が高まっている
- 分割後、最低投資単位が低下し、「買いやすさ」が大幅に向上
業績発表:売上高微増も営業利益は過去最高を更新
同日発表された2025年4~9月期の連結決算によれば、
売上高は前年同期比0.9%増の5,366億9,700万円となり、営業利益は16.6%増の187億4,000万円と過去最高を記録しました。営業利益の大幅増は、主力の北米事業でスケソウダラ価格の堅調な推移、生産拠点統合によるコスト削減効果、米国でのカニカマ製品の好調な販売などが寄与したためです。
- 海外事業の収益性が向上、欧州子会社の利益も新たに加わった
- 国内外で水産物の販売単価が上昇傾向、業界全体でも強含み
純利益は一転減少、その要因とは
一方で、純利益は前年同期比9.8%減の124億5,500万円と減少しました。この要因については、前年同期に計上した有価証券売却益の反動が大きいと説明しています。利益の質に関しては本業による増益が見られるものの、特別利益の剥落が響く形となりました。
通期予想は据え置き――慎重な業績見通し
2026年3月期通期の業績予想については、売上高1兆800億円(前期比0.1%増)、営業利益300億円(同1.3%減)、純利益175億円(同24.8%減)と、現状の水準に据え置いています。海外市況の不透明さや販管費の増加を見越し、慎重な予想が維持されました。
株主優待の新設――社名変更記念として特典拡充
今回の株式分割と同時に発表された社名変更記念株主優待は、2026年の新ブランド「Umios」への移行を記念したものです。具体的な商品内容は今後公表予定ですが、日常食品や水産加工品など、マルハニチロの人気商品がラインナップに加わることが期待されています。30年以上続く同社の優待制度が、社名刷新とともに一新される点に注目が集まっています。
- 株主優待を狙った個人投資家の新規参入が見込まれる
- 優待利回りは現行株価ベースでも3%を超える水準
- ブランド刷新と優待拡充で、認知度と人気がさらに上昇の可能性
市場の反応と今後の見通し
市場では、株式分割の発表直後から注目度が急上昇。分割による投資単位の低減は、既存株主だけでなく新規参入の個人投資家にも魅力的な材料となります。より多くの株主による支持を得ることで、流動性の向上や株価の基調引き上げにつながることが期待されています。
一方で、営業利益は好調であるものの、純利益が減少している点や、通期予想が据え置きとなっている点には注意が必要です。特別利益の一時的な影響が業績数値の振れに影響しており、今後は本業の安定的な収益性がポイントとなります。日本国内外での水産物市況や為替動向、さらに社名変更に伴うブランド戦略の進展など、多角的な視点での経営判断が重要です。
- 株価は分割発表後に安定推移、個人投資家の支持が高まる傾向
- 優待新設と社名変更の組み合わせが2026年以降の拡大要因に
- 純利益の減少や市況変化に備え、慎重な投資判断が求められる
まとめ――マルハニチロ株式分割、業績と優待で次世代への布石
マルハニチロの株式分割と社名変更記念優待、そして営業利益過去最高という明るいニュースの裏側で、純利益減少という課題も明確になりました。分割後は投資単位が引き下げられることから、個人投資家層による参加が一層進むと予想されます。今後は業績数値以上に、ブランド刷新や株主還元政策など、企業価値向上への取り組みにより一層の注目が集まりそうです。マルハニチロ株は、魅力的な投資材料と堅実な業績見通しを兼ね備えながら、新時代へ向けて大きな転換点を迎えています。




