ケリングがグッチ新CEO決定 「立て直し」への挑戦と今後の展望

はじめに

2025年9月17日、フランスのラグジュアリー・コングロマリットケリング(Kering)は、傘下のグッチ(GUCCI)の社長兼最高経営責任者(CEO)にフランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)氏を正式に任命したと発表しました。
この人事は、ケリンググループにとっても、低迷するグッチにとっても極めて重要な転換点となります。この記事では、新CEO就任の背景、今後の課題、変革への期待について分かりやすく解説します。

グッチの現状と人事の背景

2025年1月1日付で就任したばかりのステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)前CEOは、わずか9ヶ月の在任でグッチのトップを去ることとなりました。これは、経営不振が続くグッチの再建のために、より迅速かつ大胆な対応が必要だと判断されたためです。
今回の人事は、同じく2025年9月15日付でケリング本社の新CEOに就任したルカ・デメオ(Luca de Meo)氏による最初の重要決定でもありました。デメオ新CEOの下、「グッチ」の再生はグループ全体の最優先課題と位置づけられています。

ケリングとグッチ、それぞれの苦境

  • グッチはここ数年、売上の急減やブランド力の低下、競合他社との激しい競争など、数々の課題に直面しています。
  • 2025年上半期(1~6月期)のケリング全体の純利益は44.4%減となり、主力ブランドの立て直しは急務となっています。
  • 店舗閉鎖、不動産売却、人員削減など、構造改革を強いられているのが現状です。
  • グッチのアルベルト・ヴァレンテ(Alberto Valente)CFO(最高財務責任者)も退任が見込まれ、経営陣の再編が一段と進みそうです。

こうした苦境の中、グッチの再建を託されたのがベレッティーニ新CEOです。

新CEO「フランチェスカ・ベレッティーニ」氏とは

フランチェスカ・ベレッティーニ氏は、ケリンググループにおいて傘下全ブランドのCEOを統括してきた実力派経営者です。業界内でも特に高い評価と広範なネットワークを持ち、数々のブランド強化や業績向上を推進してきました。
ケリング新CEOルカ・デメオ氏も「ブランドを本来の地位に回復させるためには、フランチェスカ氏のリーダーシップと実行力が不可欠」とその手腕に厚い信頼を寄せています。

今回の任命の特徴と狙い

  • 実績があり、グループ全体のブランド運営を経験した経営手腕を活かし、ブランド再建に集中する体制を強化します。
  • よりスリムで明確な経営組織を構築し、迅速な意思決定と事業推進が狙いです。
  • 「グッチ」ブランドに最も資源を集中させ、グループの再成長を牽引する中心的役割を担う期待が高まっています。

なぜグッチが苦境に?

グッチはかつて、「クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ」時代に、斬新なデザインや若者へのアプローチで再ブームを巻き起こし、売上高は過去最高を更新しました。しかし、その後はデザイン転換以降、消費者の離反や競合他社の台頭もあり、近年は販売不振に悩んでいます。
さらに、ラグジュアリーマーケットの不透明感や、アジア市場の需要停滞、デジタルマーケティング競争の激化も逆風となっています。

ベレッティーニ体制の課題と展望

ベレッティーニ新CEOが直面する課題は多岐に渡ります。主なポイントを整理します。

  • ブランドイメージの再構築: グッチ独自のエレガンスや価値観を再定義し、幅広い顧客層に対して訴求力を高める必要があります。
  • クリエイティブチームとの連携: ブランドの顔であるデザイナーやクリエイティブディレクターとの協働が一層重要となります。
  • 収益性の改善: 不採算店舗の整理や経費削減、利益率の改善が要求されます。
  • デジタル戦略: EコマースやSNSを活用したデジタルシフトの加速と、若い世代へのブランド浸透が急務です。
  • グローバル施策の強化: 成長が期待できる市場での戦略的投資や商品展開が求められます。

関係者や業界からの反応

  • 多くの業界関係者や投資家が「求められていた抜本的な改革へ第一歩」「適材適所な人選」と高評価しています。
  • 一方で、実際の業績回復・ブランド再定義には時間を要するため、じっくりとした経営執行が望まれています。
  • クリエイティブ面での新たな試み、コラボレーション戦略にも期待が集まっています。

今後の具体的な動き

2025年下半期以降、ベレッティーニ新体制の下で以下のような動きが予想されます。

  • 組織・人事の再編: 各部門の責任者や執行役員の見直し、経営体制の刷新が進むとみられます。
  • クリエイティブ方向性の再確認: デザイナー陣との信頼構築を図り、新たなコレクション発表に向けて準備が進みます。
  • デジタル/直営施策の強化: オンラインとオフラインの融合、新サービス開発もさらに進められるでしょう。

まとめ

グッチは、再び世界のトップラグジュアリーブランドとして返り咲くため、経営体制を一新し、「適材適所」の人材配置と迅速な経営改革を目指します。
新CEOフランチェスカ・ベレッティーニ氏への期待はとても高く、今後のブランド再建には業界全体が注目しています。
グッチの“第二の黄金時代”は訪れるのでしょうか。今後の改革の行方が、大きな話題となりそうです。

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