バークシャー・ハサウェイ、アマゾン株をすべて売却しアルファベット株を買い増し デルタ航空にも新規投資

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社、バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)が、最新の四半期においてアマゾン・ドット・コム(Amazon.com)株をすべて売却し、一方でグーグルの親会社アルファベット(Alphabet)株を買い増ししたことが明らかになりました。さらに、新たにデルタ航空(Delta Air Lines)に対して約26億5000万ドル規模の投資を行ったことも判明し、市場関係者の注目を集めています。

アマゾン株を完全売却──2025年末の「77%売却」からの決断

バークシャー・ハサウェイは、以前からアマゾン株を保有してきましたが、2025年10~12月期にはすでに保有株の約77%を売却し、アマゾン株への投資規模を大きく縮小していました。この時点で、アマゾン株の評価額は約22億ドルから約5億2500万ドルへと急減しています。

そして今回、2026年1~3月期の保有状況の開示により、バークシャー・ハサウェイが残っていたアマゾン株をすべて売却したことがわかりました。これにより、同社の公開株ポートフォリオからアマゾンは姿を消したことになります。

アマゾンは世界有数のIT・EC企業であり、成長性の高さから多くの投資家にとって魅力的な銘柄とされています。そのアマゾン株を段階的に減らし、最終的に完全売却に至った動きは、市場でも大きな話題となっています。

アルファベット株は買い増し ITセクターへの見方の変化は?

一方でバークシャー・ハサウェイは、グーグルを傘下に持つアルファベット株を買い増ししています。アルファベット株は2025年時点で新規取得が明らかになっていましたが、その後も保有を維持・拡大している点が特徴です。

2025年には、アルファベット株の保有評価額は約43億ドルから約56億ドルへと増加していました。この増加には株価の上昇も影響していると見られますが、今回の報道ではさらに買い増しが行われたと伝えられており、バークシャーがアルファベットを中長期的に重視している姿勢がうかがえます。

同じIT大手であるアマゾン株を手放しつつ、アルファベット株は増やしていることから、バークシャー・ハサウェイがITセクターの中でも銘柄を選別しながら投資していることが読み取れます。

デルタ航空に約26億5000万ドルを投資 リアル経済へのシフトも

今回のニュースで、もう一つ注目されているのがデルタ航空への新規投資です。報道によると、バークシャー・ハサウェイは約26億5000万ドルをデルタ航空株に投じました。

デルタ航空は米国を代表する大手航空会社であり、ビジネス・観光需要の回復など、リアル経済の動きに大きく左右される企業です。テクノロジー企業とは異なり、航空事業は燃料費や景気動向などの影響を受けやすい一方で、景気回復局面では収益が大きく改善しやすい側面もあります。

バークシャーはこれまでも、鉄道会社や保険会社、エネルギー企業など、実体経済に根ざしたビジネスに多く投資してきました。デルタ航空への大型投資は、テック株から伝統的な産業への資金配分の一部シフトとして受け止められています。

潤沢なキャッシュと連続する「売り越し」

バークシャー・ハサウェイは、近年現金・短期国債などの手元資金を積み上げていることでも知られています。2025年末時点での手元資金は約3,733億ドルとされ、過去最高水準に近い巨額のキャッシュを抱えています。

また、13四半期連続で株式売却額が取得額を上回る「売り越し」となっていたことも報じられており、全体としては慎重なスタンスを維持している様子がうかがえます。自社株買いも一時的に手控える場面があり、「割安な投資機会を辛抱強く待っている」との見方も出ています。

その中で今回、アマゾン株の完全売却やアルファベット株の買い増し、デルタ航空への新規投資が行われたことは、バークシャーにとって「選択と集中」の一環と位置づけられます。

アップル・バンク・オブ・アメリカなど、既存保有株の調整も

バークシャー・ハサウェイはアマゾン株だけでなく、他の主要銘柄についても保有株数を調整しています。2025年には、

  • アップル(Apple)株の保有株数を約4%削減
  • バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)株の保有株数を約9%削減

といった動きが確認されています。アップルは依然としてバークシャーのポートフォリオの中核銘柄とみられていますが、一部利益確定を行う形でリスクの調整が進められているようです。

一方で、アルファベット株や一部の消費関連銘柄、そして今回のデルタ航空のような銘柄については、保有を維持・拡大している点が特徴的です。

バークシャー・ハサウェイの投資スタンスから読み取れるもの

今回のアマゾン株完全売却とアルファベット株の買い増し、デルタ航空への投資は、バークシャー・ハサウェイの現在の投資スタンスを映し出しています。

  • ITセクター全体から撤退するのではなく、銘柄を選別して投資している
  • アマゾンのような高成長株から、より評価が安定していると見なす企業へ比重を移している可能性
  • 依然として巨額のキャッシュポジションを維持しつつ、一部で魅力的と判断した銘柄には思い切って投資

こうした動きは、株式市場のボラティリティ(変動の大きさ)や金利環境、世界経済の先行きなどを総合的に踏まえたうえで、リスクとリターンを慎重に見極めた結果と考えられます。

特に、アマゾン株を段階的に減らし、最終的にポジションをゼロにした一方で、アルファベット株を保有・拡大している点は、バークシャーがIT企業の中でもビジネスモデルや収益構造を厳しく見ていることを示唆しています。

個人投資家にとっての意味

バークシャー・ハサウェイの投資行動は、世界中の投資家に大きな影響を与えますが、そのまま同じように真似をすれば良いわけではありません。バークシャーは規模も資金力も桁違いであり、投資期間も非常に長期で考えられているためです。

ただし、今回の一連の動きから、

  • 「保有銘柄を定期的に見直すことの大切さ」
  • 「高評価・高成長銘柄でも、状況に応じて利益確定を検討する姿勢」
  • 「現金ポジションを確保しつつ、好機には大胆に投資する柔軟さ」

といった学びを得ることができます。バークシャー・ハサウェイの動きは、個人投資家にとってもポートフォリオ管理やリスクコントロールを考えるうえでのヒントとなるでしょう。

今後も、バークシャー・ハサウェイがどのような銘柄を選び、どのようにポートフォリオを組み替えていくのかは、世界の株式市場にとって大きな関心事であり続けそうです。

参考元