米中首脳の電話会談とTikTok米国事業売却 APEC首脳会議での直接会談へ
2025年9月19日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席が、動画共有アプリ「TikTok」のアメリカ事業の将来を巡り重要な電話会談を行いました。本記事では、両首脳が合意したTikTok事業売却の経緯や背景、その後予定される首脳会議について、わかりやすく解説します。
米中首脳会談はどこで?
両国の首脳が直接対面する場として来月、韓国で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が予定されています。両首脳は電話会談で合意に達した後、このAPEC首脳会議でさらに詳細な協議や確認を行う見通しです。
TikTok米国事業売却の合意 主な内容と背景
- 国家安全保障の懸念:アメリカはTikTokを運営する中国企業バイトダンスが、アメリカ国内のユーザーデータを中国政府に提供する可能性を危惧し、以前から売却または禁止措置を求めていました。トランプ政権は「国家安全保障」の観点から、TikTokの運営主体をアメリカ企業に移すよう圧力をかけてきました。
- バイトダンスの方針:運営会社バイトダンスは19日、SNSを通じて「バイトダンスはTikTok USを通じてアメリカの利用者がTikTokを引き続き利用できるよう、適用される法律に従って対応する」とコメントし、両国首脳の尽力に公式に感謝を表明しました。
- 売却の枠組:今回の合意により、TikTokのアメリカ事業はアメリカ投資家グループに売却される見込みです。売却後も、Tiktokアメリカ版ではオラクル(Oracle)などのアメリカ企業が新運営体制に加わるとみられ、アルゴリズム技術もライセンス供与で運用が続く見通しです。
- アメリカ政府の収入:トランプ大統領は会見で、売却に伴いアメリカ政府に投資家から一定の「手数料」が入る可能性に言及しました。
- 中国側のスタンス:中国政府は「市場のルールに基づいた商業交渉」を重視する姿勢で、中国の法律や規制、両国の利害のバランスを保つ必要があるとしています。
両首脳の発言
- トランプ大統領:「習近平主席との電話会談は大変有意義だった。彼はTikTokの取引を承認した」「この合意が成立することを楽しみにしている」。
- 習近平国家主席:中国メディアは「TikTokに関する交渉を歓迎する」と報じつつ、「米中双方の交渉結果」については明確に言及していません。中国側は引き続き公正かつ非差別的なビジネス環境を米国側に求めています。
TikTok売却問題の経緯
アメリカではTikTokが中国企業により運営されていることから、近年「国家安全保障上のリスク」がたびたび取り沙汰されてきました。トランプ大統領は2025年に入ってからもバイトダンスに対し売却期限を設け、その期限はこれまで4度にわたり延期されてきました。最新の期限は今年12月まで延長されています。
今回の米中電話会談は、長引く議論に終止符を打つ大きな一歩と目されています。売却合意に必要な詳細については今後の首脳会談や関係当局間のやり取りで煮詰められる見通しです。
TikTokアメリカ事業の今後
- 1億7000万人の米国内利用者:TikTokはアメリカ国内だけでも1億7000万人以上の利用者を持つ大規模なSNSプラットフォームです。両国政府や企業は、利用者へのサービス継続を最優先に調整を進めてきました。
- アルゴリズムの所有権:売却交渉の難航点のひとつが、TikTokのコンテンツレコメンドアルゴリズムの所有や管理をアメリカ側企業がどこまで担うかという点です。オラクル等のアメリカ企業が技術をライセンス供与を受け、現地運営を主導する方向が模索されています。
今後のスケジュールと注目点
- 合意の署名手続き:トランプ大統領は「合意にはまだ署名が必要」と記者団に述べ、今後の手続きを経て正式な契約となると見通しを示しました。
- 来月のAPEC首脳会議 in 韓国で、両首脳が直接会談し、詳細な詰めを行う予定です。
- 中国側の反応:中国政府は、売却手続きが中国の法令や国益にも違反しない形で進行されるのかどうかに引き続き慎重な姿勢を崩していません。
2025年秋、TikTokアメリカ事業問題は大詰めを迎えています。国益や経済、そして1億7000万人を超える利用者の利便保護を左右するこの問題に、今後も国際社会の注目が集まり続けるのは間違いありません。